エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1333
2023.09.09 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:pepe
「G2712」が実際にどのようなスペックや機能を備えたゲーミング液晶なのか、ここからはそれらの要素を順を追ってチェックしていこう。
動きの激しいシーンが連続するゲームプレイにとって、ディスプレイが映像を更新する頻度を指すリフレッシュレートは、特に重要なスペック面の指標だ。「G2712」のリフレッシュレートはDisplayPort接続時(かつオーバークロック設定時)に最大170Hzで、これは一般的なディスプレイ(60Hz)の約3倍にあたる。2万円台のゲーミング液晶は概ね最大でも165Hzのため、数値の上ではややアドバンテージがあるというわけだ。また、HDMI接続時は最大144Hzに対応、コンシューマゲーム機でもフルHD/120Hz環境でプレイできる。
さらに応答速度は1ms(MPRT)をサポート。こちらも一般的なディスプレイ(4~8ms)に比べて大きな違いがあり、動きのあるシーンでも圧倒的に残像感の少ない映像を楽しむことができる。
「G2712」の場合は画面を秒間170回でリフレッシュして切り替えているわけだが、その際にリフレッシュレートとゲームのフレームレートが食い違う場合、表示が崩れるティアリングやカクつき(スタッタリング)が発生してしまう。どちらもゲームプレイ中に発生すれば視認性が悪化してストレスになるところ、それを補正してくれるのがAMDの可変リフレッシュレート技術「AMD FreeSync Premium」だ。
ティアリングとスタッタリングを解消するAMD FreeSyncの上位機能にあたり、それらの条件に加えて1,080p解像度と120Hz以上のリフレッシュレート、低フレームレート補正(LFC)が要求される。AMD Radeonシリーズのグラフィックスカード(またはAPU)との組み合わせで使用可能だ。
ゲーミング液晶はパフォーマンスを重視するとは言え、普段使いの満足度を追求するなら色彩表現にもこだわりたいところ。「G2712」の液晶パネルは、発色の豊かなIPSパネルを採用。さらに表示色は約1,670万色と一般的ながら、色域はsRGBカバー率99.32%、デジタルシネマ向けのDCI-P3もカバー率81.1%に達し、よりリアルな色彩が楽しめる。
「G2712」が搭載するゲーミング向け機能の中で、代表的なものが暗部補正機能の「ナイトビジョン」だ。暗い場所を明るく表示し、それでいて明るい部分も白飛びなど不自然な明るさにならないよう自動調整してくれる。機能の強度は4パターンから設定が可能で、オフの状態ではまったく見えないような暗さでも、問題なく視認できるようになる。実際の効果のほどは、後半のテストセッションでチェックしておこう。
長時間ディスプレイを凝視するゲームプレイやデスクワークにおいて、心配なのは目への負担。それを和らげるために、「G2712」には画面のチラつきを抑える「アンチフリッカー」、有害なブルーライトを軽減する「ブルーライトカット」といったアイケア機能を備えている。
「G2712」は、MSIが提供する専用カスタマイズユーティリティ「Display Kit」に対応している。ウインドウ分割、ローテーション・解像度・リフレッシュレート・ビット数、カラー設定といった、ディスプレイ関連の設定項目を網羅。マウスポインタ動作や電源の設定項目も用意されている。製品のサポートページから無償でダウンロード可能なため、インストールしておくことをオススメしたい。