エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1333
2023.09.09 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:pepe
ここからは、実際にシステムに「G2712」を接続し、そのゲーミング液晶たる性能のほどをチェックしていこう。検証用のPCには、Core i7-13700KFとGeForce RTX 4080を搭載するMSIのハイエンドゲーミングPC「Aegis Ti5 13NUG-257JP」を用意。「G2712」の性能を最大限に発揮できる環境で検証を行った。なおゲーミングPCの詳細については、以下のレビュー記事を参照のこと。
【関連記事】最新パーツでパフォーマンスが劇的向上。新生ゲーミングノブ搭載PC、MSI「Aegis Ti5 13NUG-257JP」検証(2023.03.22 更新)
「G2712」の液晶パネルは、視野角が水平垂直ともに178°と広いIPSパネルを採用。角度をつけるとやや輝度やコントラストの低下が確認できるが、ほぼ正面から凝視することになるゲーミング液晶としては、その変化を認識するシーンは少ないだろう。
ちなみに輝度は250cd/㎡と最近のモデルとしては控えめなため、使用環境次第ではやや暗さを感じるかもしれない。必要に応じて輝度の調整、ゲームプレイ時には「ナイトビジョン」といった機能を活用することで、より満足度が向上するはずだ。
「ナイトビジョン」は、「G2712」も搭載しているゲーマー向けの暗部補正機能。暗いシーン、あるいは明暗差が大きなシーンで暗部の明るさを持ち上げることで、視認性を改善することができる。液晶の輝度調整では画面全体が一律で変化するのに対し、「ナイトビジョン」は白飛びを抑えてゲームの雰囲気を損なうことなく視認性を高められるのがメリットだ。
設定は「オフ/通常/強い/最も強い/A.I.」の5段階が用意され、OSDメニューで手軽に切り替えることができる。実際に切り替えつつ、自身が最も見やすく感じた設定を利用したい。
テストセッションの最後は、レースゲーム「Assetto Corsa」のリプレイ機能を使用し、実際にリフレッシュレートの違いを体感してみよう。テストではディスプレイ同期技術を有効化し、デジタルスチルカメラのスーパースローモーションにより画面を直接撮影。リフレッシュレート60Hz/120Hz/170Hzの違いを比較した。
「G2712」は、DisplayPort接続時のオーバークロック設定時にリフレッシュレート170Hz動作が可能だ。ハイエンドモデルに搭載されるRAPID IPSパネルと比べれば残像感はあるものの、リフレッシュレートが高くなるにつれてスムーズに描画されていることが見て取れる。負荷のかかるオーバークロック駆動をさせてもゴーストなどは発生しておらず、画質の破綻はない。FPSなど動きの速いゲームジャンルにおいて、滑らかでストレスのないプレイが楽しめそうだ。
コストパフォーマンスモデルである「G2712」は尖った部分こそないものの、2万円台という価格帯の中では、極めて高水準にバランスのとれた性能を備えている。170Hz/1msという描画性能はクラス最高レベルであり、広色域でクッキリしたIPSパネルを採用する点も好印象。解像度は“ゲーミング標準”のフルHDだけに、PC側へのスペック要求も抑えられている。
ミドルレンジ級の環境でプレイするユーザーにとっては、ニーズをほぼ満たす性能を備えている“ちょうどいいゲーミング液晶”と言ったところ。手頃なコストで一般的な60Hzとは次元の異なる170Hz環境が手に入るほか、コンシューマゲーム機をフルHD/120Hzで遊べる汎用性の高さも見逃せない。
さらにAmazon専売モデルという性格から、すぐ“ポチれる”入手性の良さも大きなメリットだろう。ミドルユーザーにピッタリな、お手頃かつ身近なゲーミング液晶というわけだ。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社