エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1358
2023.11.14 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
テストセッションのラストは第14世代Intel CoreプロセッサのフラッグシップCore i9-14900Kの動作を確認していこう。なおPower LimitはPL1/PL2=4,096Wに設定している。
「OCCT 12.1.10」では、無制限設定でもPackage Powerが250~270Wに留まるため、CPU温度も概ね78~85℃の間で推移している。一方「CINEBENCH 2024」では、Package Powerは最高325W、CPU温度は97~101℃の間で激しく変動している。ちなみにテスト終盤のPackage Powerは315W前後で落ち着いており、このあたりが「DE360 BLACK」の冷却性能の限界になるのだろう。
ファン回転数はやはり公称最大値である1,800rpm前後、騒音値も46dBA前後でほぼフラットなグラフになった。
今年を振り返るにはまだ少し早いが、2023年の後半は数多くの新作オールインワン型水冷ユニット(AIO水冷)に触れた。半導体関連のPCパーツに比べ、大型アップデートや劇的な変化が少ない冷却機器カテゴリにあって、AIO水冷は少しずつ地道に進化し続けている。
いずれの新製品も佳作揃いで、粗悪品と呼ばれるものはほとんど見当たらず、市場に流通する製品はいずれもしっかりと仕事をしてくれる。豊富な選択肢から選べる我々ユーザーは実に恵まれているとは言え、どれを選べば良いのか判断がしにくいといった声も少なくない。そんな現状にあって、システムの心臓であるポンプ一体型ウォーターブロックや冷却性能を左右するラジエーター、クーラント液を循環させるチューブの”AIO水冷3本柱”にはそれぞれの特徴を持たせ、差別化を図りることで独自性がアピールされている。
今回の主役であるPC COOLER(CPS)「DE360」もまた、要所における特徴が数多く詰め込まれており、見どころの多い製品だった。そして検証を終えたところで感じるのは、冷却性能の高さは同クラスの平均的な水準からやや上回り、加えて騒音値の低さが印象的だった。
仕様書を見直したところで、冷却ファン自体のスペックは数あるライバル製品と大きく変わらない。この結果が意図的な「味付け」か「偶然の結果」かはハッキリしないものの、優れた静音性はDE360の強みだ。今後増えるであろうCPSブランドのAIO水冷が”高冷却・低騒音”を特徴として存在感を発揮できるかは、少し様子を見る必要がある。とは言え、CPSとは”気にしておかなければならないブランド”である事は、間違いなさそうだ。
協力:PC COOLER(CPS)
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