エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1360
2023.11.18 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:pepe
「Silent-Master NEO Z790/D5」のパフォーマンスを一通り検証したところで、次はベンチマーク中におけるCPUおよびグラフィックスカードの挙動をチェックしよう。Noctua製クーラーと「Silent Master Graphics」は、それぞれどのように発熱を抑え込んでいたのだろうか。
CPUのストレステストには「Cinebench 2024:Minimum Test Duration:30 minutes」、グラフィックスカードのストレステストには「3DMark Speed Way Stress Test」を使用し、動作クロックと温度を「HWiNFO」で計測した。
テストの冒頭には5.8GHz程度までクロックが上昇、その影響で最大温度の100℃にタッチするものの、その後はパワーリミット設定に従って4.8GHzほどでクロックが推移。温度も概ね80~85℃程度を維持できており、空冷でCore i9-14900KFを実用レベルで冷やすというミッションは十分クリアできている。
続いてGeForce RTX 4070搭載の「Silent Master Graphics」を見ていくと、動作クロックは常時ブーストクロックに設定された2,500MHz前後をキープ、最大のパフォーマンスを引き出している。それでいてGPU温度は70℃未満、ホットスポットに限っても80℃未満に抑え込まれていた。
そして“究極の静音PC”として最も重要な要素と言える、動作中の騒音値も合わせてチェックしておきたい。ストレステストの「3DMark Speed Way Stress Test」を動作させ、マシンから約10cmほど離れた位置に騒音計を設置して計測した。
その結果は、なんと高負荷時でもアイドル時の38dBとほぼ変わらない38.8dBという、圧倒的な静音動作。騒音の目安としては静まり返った深夜と同レベルであり、オール空冷構成ながらクーラーが最大限に稼働するフルロード時においても、ファンレスクーラー採用時に近い水準まで騒音を抑え込むことに成功している。「Silent Master Graphics」を導入した意義は大いにあったと言うべきだろう。
最後は「Silent-Master NEO Z790/D5」の消費電力をチェックして、各種検証の締めくくりとしよう。「3DMark Speed Way Stress Test」を動作させた際の数値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した際の最低値をアイドル時として、それぞれワットチェッカーによる計測を行った。
その結果はアイドル時が70W未満、高負荷時も300Wを割り込むという控えめな消費電力に収まった。ただしカスタマイズメニューでCore i9-14900KFとGeForce RTX 4070の組み合わせを選択する場合、確実な安定動作を保証するため、750W以上の電源ユニットを選択しないとオーダーできないシステムになっている。仮に長期間の運用で電源ユニットがヘタってしまった場合でも、これだけのマージンがあれば安心だろう。
ここまでサイコムによる静音BTOの最新作「Silent-Master NEO Z790/D5」を検証してきたが、その最大のトピックは新要素たる「Silent Master Graphics」の標準採用に他ならない。静音のマエストロ・Noctuaのファンを取り込んだオリジナルの超静音グラフィックスカードは、自作派でも単体で欲しいと考える人が多いであろう出来栄え。豊富なグラフィックスカード改造のノウハウをもつ、サイコムならではのプロダクトと言える。
その「Silent Master Graphics」を組み込んだ「Silent-Master NEO Z790/D5」は、完全空冷構成ながら以前検証を行ったファンレスクーラー採用モデルと遜色ない静音動作。生活音の中にあっては無音とほぼ同じであり、それは膨大な試行錯誤の末に完成した「Silent Master Graphics」と、最適なパートナーとしてチョイスされたNoctua製クーラー・ファン、PCケースに至る構成部材の合わせ技で実現したものだ。
公的第三者機関の無響室を活用してまで突き詰められた静音へのあくなき追求は、ラストピース的存在だったグラフィックスカードの“究極静音化”により、一つの完成形に至ったという印象。パフォーマンスを犠牲にすることなく無音レベルの静音性を手に入れたい、そんな欲張りなニーズを大いに満足させるマシンがここにある。
提供:株式会社サイコム