エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1373
2023.12.24 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
CPUの冷却にはオールインワン型水冷ユニットの新製品、ZALMAN「Reserator5 Z36 ARGB White」を用意した。ラジエーターは360mmサイズで、120mm ARGBファンを3基搭載。これをP30のトップパネルに固定した。
搭載手順については一般的なAIO水冷と大きく変わらないが、P30はフロントパネルが開放状態になるため、特に横方向の作業はしやすかった。ラジエーター搭載スペースは十分なので問題なく、チューブも余裕を持ってレイアウトできている。また配線にはグロメット付きスルーホールを活用し、裏配線スペースも大いに役立った。
仕上がりはご覧の通りで、ケーブルの露出を最低限でまとめる事ができている。P30はコンパクトなミニタワーだが、スルーホールを複数設け、さらにケーブルを接続する両者の距離が近いこともあり、非常に配線がしやすい事が分かった。
グラフィックスカードの有効スペースは公称420mmまで。ここまで広ければモデルを選ぶということにはまずならないだろう。搭載テストには以前詳細検証をお届けしたASRock「AMD Radeon RX 7700 XT Steel Legend 12GB OC」(型番:RX7700XT SL 12GO)を用意。カードサイズは幅131mm、長さ304mm、厚さ56mm(2.8スロット占有)で、有効スペースに対し116mm短いだけに、問題なく搭載できるはずだ。まずは搭載後の様子をご覧頂こう。
搭載方法はシンプルで、拡張スロット2段を使い、拡張スロット金具が固定されていたインチネジを流用。AMD Radeon RX 7700 XT Steel Legend 12GB OCをネジ留めするだけだ。
グラフィックスカード搭載後のクリアランスを計測してみると、VGAクーラーの先端から強化ガラス製フロントパネルの内側まで約125mm。計算上の空きスペースよりも若干広い空間が確保できている。なお懸念されるサイドファンとの物理的干渉については、搭載面に段差が設けられているため、グラフィックスカードは避けきれている。これなら公称値の420mmまで目いっぱいスペースを利用できる。
サイドファンが一段下がってマウントされているため、グラフィックスカードと物理的に干渉を起こすことはない。この辺りはよく考えられている |
冒頭で、2023年はピラーレスデザインPCケースの本格普及元年と位置付けた。数あるライバルの中に飛び込んできた「P30」は、市場想定売価税込14,080円前後(ブラックは税込13,640円前後)と手頃な価格ながら、思いのほかよくできている。
最もそう感じたのはボディサイズに見合う剛性の高さだ。ピラーレスを感じさせないのは、フレームがしっかり組み込まれているからだろう。空の状態はもとより、構成パーツがギッチリ詰め込んだ後でもボディが捻れるという事は無かった。恐らくボトムカバーの存在が強度を高める重要なポイントになっている。
そして構造上有利なボトムカバーは、本来の役割も十分に果たしている。煩雑になるケーブル類を裏配線スペースだけに収めるには限界がある。ボトムカバーがあるだけで多少開放感はスポイルされるが、見映えを損なうほど邪魔にはなっていない。P30に限ってはこのスタイルは正解だった。
魅せる事に特化したピラーレスデザインのPCケースは、組み込み後の見映えが重要。P30はミニタワーだから各構成パーツ間の距離が近く、ケーブルの露出も最小限に抑える事ができる。そしてスルーホールの全てにホワイト色のグロメットを装着し、付属ネジはシルバーだ。コストが掛からない些細な事ながら、これらはP30が見映えを軽視していない表れだろう。普段着ではなくキチンと「よそ行き」に仕立てているところから、メーカーとしてのZALMANの進化を感じた。
提供:ZALMAN
株式会社アスク