エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1375
2023.12.28 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
テストセッションのラストは、サーモグラフィを使いヒートシンクの温度をチェックしておこう。なおストレステストは「CINEBENCH 2024」で、CPUにはPL1/PL2=253W設定のCore i9-14900Kを使用している。
アイドル時のサーモグラフィ結果 |
高負荷時のサーモグラフィ結果 |
まず2つのヒートシンクの温度を確認すると、アイドル時、高負荷時とも冷たい空気がファンから吹き付けるメモリスロット側のヒートシンクのほうが温度低くなった。また高負荷時の結果を確認するとヒートパイプ部分の温度は周辺のヒートシンクより明らかに高く、ベースプレートで吸収した熱がヒートパイプを伝って移動している様子が確認できる。さらにヒートシンク温度はソケットから遠くなるに連れて温度が低くなる順当な結果になった。
MASTERAIR MA824 Stealthは紛う方なき、現存する空冷CPUクーラーにおけるトップクラスの製品だろう。そう断言するには3つの要素が挙げられる。
まずは高い冷却性能だ。冷却機器たる最も重要な評価基準だが、とにかく冷える。これまで歴代の名だたるハイエンド志向の空冷クーラーを検証してきたが、現行システムを余裕を持って冷却できるパフォーマンスは、検証結果を見れば明らかだ。
そして特筆すべきは低い騒音値。冷却ファンの風量によって力任せに冷やすという印象は薄く、スタッガード状にレイアウトしたデュアルファンが生み出す「プッシュ&プル構成」が、非常に精度の高い冷却性能を低騒音で実現している。見た目は巨大なCPUクーラーだが、その外観とは異なる繊細かつ確実な仕事ぶりは、Cooler Masterの技術力の高さの結果だろう。
3つ目の要素は高い市場想定売価だ。トップクラスの売価はネガティブ要素だが事実であり、クローズアップされる事は避けられない。これをどう解釈すればいいのか、実は検証を終えた今でも明確に説明する事は難しい。
ただし思うことは、徹底したプッシュ&プル構成を軸としたスタイルは、結果的にCooler Masterにおける空冷クーラーの「最適解」であり、これを完璧な形で実現させるには「どう頑張ってもコストが掛かってしまう」という事だろう。多少擁護すると、決して為替の影響で日本市場だけが高額ではなく、グローバル市場でも同様に売価についての注文は付けられていると聞く。
モヤモヤした部分を残して心苦しさはあるものの、ハイエンド志向のオールインワン型水冷ユニットよりも静かに動作し、冷却性能も高い空冷である事実に揺るぎはない。
本稿を書き上げてしばらく後、価格改定が実施された。執筆現在(2023年12月25日)、秋葉原・ツクモパソコン本店では税込16,980円の改定価格で販売されている事を確認。高冷却なサイドフロー型CPUクーラー「MASTERAIR MA824 Stealth」がちょっと身近な価格で入手できるようになった事は朗報だろう。
ツクモパソコン本店(2023年12月25日取材)では新価格で販売中。Cooler Masterから正式なアナウンスは出ていないが、販売店によると価格改定が行われた模様。※各販売店(通販を含む)での販売価格はご自身でご確認ください |
提供:Cooler Master株式会社