エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1391
2024.02.14 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
グラフィックスカードの搭載テストには、NVIDIA GeForce RTX 4070 Founders Edition(全長約243mm)を用意した。C8にはグラフィックスカード等拡張カードを固定する延長線上にこれらを妨げるものが一切ない。よって、本体の奥行き464mmに対し、内部グラフィックスカード有効スペースは440mmまでが確保されている。さすがにそこまで長いカードは見当たらないだけに、C8のグラフィックスカード選定は長さに限って気遣いは不要だろう。
なお搭載手順もシンプルで、拡張スロット金具固定用のハンドスクリューをそのまま使用し、グラフィックスカードをネジ留めする。モデル特有の仕掛けもなく、マニュアル不要で作業は完了できる。
GeForce RTX 4070 Founders Edition搭載後のクリアランスは、強化ガラス製フロントパネルまでが約200mm |
C8の評価には、2つの見方をしなければならない。まずひとつ目はPCケースとしての出来映えだが、そこはAntecらしさがカタチとして表れており、なかなか良くできている。そもそもピラーレスデザインPCケースの後発だけに、完成度の高さはプラス評価よりもベースラインだ。さらにAntecブランドとしての基準値は既に高く、市場からの期待も大きい。それらを考慮しても、想像以上に上手くまとめられているのは、さすがにAntecだ。
決して出遅れを取り戻すべく慌てて作り上げた印象は感じられず、構造上の強度を確保しながら開口部を広く持ち、各構成パーツの配分も計算されている。工作精度の高さはAntecのそれで、質の高い良いPCケースだった。
そしてふたつ目は避けられないコスト面だ。C8はデュアルチャンバー設計を軸に、冷却ファンを最大で10基搭載できるだけのスペースが確保されている。その要である「VERTICAL COOLING AIRFLOW」は、ボトム面に冷却ファンを敷き詰め、さらにサイドファンからも外気を取り入れることで高い「正圧状態」を構築。リアとトップから熱を排出させるカタチが理想型=完成形のはずだ。
しかしこれを完成させるには、冷却ファンがフルオプションである以上、それなりのコストは覚悟しなければならない。言い換えれば、C8を「完成させるためのコスト」はユーザー側の負担なのだ。つまり「C8は未完成状態」にある。
完成したC8を眺めると、空の状態の右サイドファン搭載エリアが目立ってしまう。冷却ファン(ラジエーター)増設が基本線だろうが、必要としないユーザー用に化粧板(カバー)が欲しい |
とは言え構成パーツの選択によっては、過剰なエアフローを必要としないケースもあるだろう。提唱通りにする事は強制ではなく、ユーザーが判断する自由は残されている。
繰り返しになるが、C8が思い描く理想型のエアフローを構築するには、確実に複数の冷却ファンが必要になる。「出来栄え点」は極めて高いPCケースだが、別途コストを要する点は十分に考慮しなければならない。
提供:Antec
株式会社リンクスインターナショナル