エルミタ的「編集部で使ってみた」
2024.03.09 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
ここからは、早速Crucial「T705」をPCに搭載して注目の転送速度をチェックしていきましょう。検証用PCには、Intel Z790チップセットを採用するASRock「Z790 NOVA WiFi」とCore i9-14900Kを搭載するハイエンドPCを用意し、ベンチマークは「CrystalDiskMark 8.0.5」、データサイズは「16MiB」「1GiB」「64GiB」の3種類を選択。なおOS、ドライバ、ベンチマークテストをインストールしたシステム用SSDは別途用意しています。
16MiB(MB/s) | 16MiB(IOPS) |
1GiB(MB/s) | 1GiB(IOPS) |
64GiB(MB/s) | 64GiB(IOPS) |
シーケンシャルアクセスについては、読込が最高14,174MB/s、書込が最高12,268MB/sで、いずれも公称値に迫る良好な結果になりました。データベースのスコアを確認しても間違いなく、読込、書込ともこれまでの中では最高で、まさに最速のPCI Express 5.0(x4)SSDの謳い文句通りの性能です。またデータサイズによるブレもほとんどなく、常に安定した転送速度が期待できるのも大きな特徴です。
ただし、ランダムアクセスについては読込が最高1,572,985 IOPSで製品版「T700」とほぼ同じ、書込が最高1,430,014 IOPSで製品版「T700」より低く、ES版「T700」に近いスコアになりました。
AMD X670EとRyzen 9 7950Xの「CrystalDiskMark 8.0.5」の結果 |
ちなみにAMD X670EとRyzen 9 7950Xの環境でも「1GiB」のスコアをチェックしてみましたが、シーケンシャル・ランダムとも性能に大きな違いは出ませんでした。このことからプラットフォームによる相性はないようです。
続いて「CrystalDiskMark 8.0.5」のデータサイズ64GiBを3回連続で実行するストレステストを実施して、標準ヒートシンクの冷却性能をチェックしてみましょう。
テスト1回目のCrystalDiskMark 8.0.5の結果 | テスト3回目のCrystalDiskMark 8.0.5の結果 |
テスト1回目はシーケンシャル書込のラストで80℃に達していますが、公称値通りの性能を発揮することができています。ただし、2回目以降は序盤のシーケンシャル読込テストから温度が80℃を超えてしまい、サーマルスロットリングが発生。性能も大きく低下することから、長時間負荷がかかる作業では標準ヒートシンクは力不足です。
もともと高速だった「T700」をベースに最適化を施すことで、さらなる性能向上を謳う「T705」ですが、シーケンシャルアクセスについては読込・書込ともほぼ公称値通りの転送速度を記録し、間違いなく現行のNVMe M.2 SSDでは最高クラスの性能を発揮します。さらにデータサイズやプラットフォームの違いによるブレもなく、どのような条件でも転送が安定しているのも大きな魅力でしょう。
一方で、ランダム書込についてはまだチューニングが完璧ではないのか、製品版の「T700」より低くなったのは気になります。今後ファームウェアのアップデートで改善してほしいところです。そして、これまでのPCI Express 5.0(x4)SSDと同じく発熱はかなり大きく、標準のヒートシンクでは短時間の処理が限界でした。長時間高負荷が続くような処理を行う場合には、ヒートシンクなしモデルを選択して、ファン付きヒートシンクやより大型のヒートシンクの導入を検討したほうがいいかもしれません。
協力:Crucial