エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1402
2024.03.10 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:pepe
ゲーム関連のベンチマークが一段落したところで、「Prestige-16-AI-Studio-B1VFG-8003JP」の消費電力をチェックしておこう。ストレステストには「Cinebench 2024:Minimum Test Duration:10 minutes」と「3DMark Speed Way Stress Test」を使用し、高負荷時ではテスト開始後約5分、アイドル時は起動後10分間何もせず放置した際の最低値を採用した。
アイドル時の消費電力は省電力機能によってクロックやPackage Powerが同等レベルまで下がるため、いずれも15W台で横並び。一方、高負荷時の消費電力は「究極のパフォーマンス」のほうが「Speed Way」で約7W、「Cinebench 2024」では約30Wも高くなった。外出先など長時間充電ができない場合、若干パフォーマンスは落ちるが「MSI AI Engine」を選択しておいたほうがいいだろう。
99.9Whrの大容量バッテリを内蔵し、4K動画再生時でも12時間を超える連続駆動が謳われている「Prestige 16 AI Studio B1V」。そこで実際の作業でどの程度連続動作するのか「PCMark 10 Battery Benchmark」を使い試してみることにした。なおプリセットは一般的なオフィスワークを想定した「Modern Office」を選択し、ディスプレイの輝度は50%に調整している。
駆動時間は10時間を超え、オンラインミーティングやプレゼンテーション、資料の作成といった作業が中心なら丸々1日外出するような用途でもACアダプタを持ち歩く必要はないだろう。また「Modern Office」のテストはシングルスレッド処理が中心の作業ということもあり、プリセットによる違いはほとんど出なかった。
テストセッションのラストは、「Prestige-16-AI-Studio-B1VFG-8003JP」に実装されている冷却システム「Cooler Boost 3」の実力を確認していこう。ストレステストには消費電力のチェックと同じ「Cinebench 2024:Minimum Test Duration:10 minutes」と「3DMark Speed Way Stress Test」を使用し、プロファイルは「究極のパフォーマンス」を選択している。
まずは「Cinebench 2024」実行時の結果を確認すると、テスト実行中はPコアが3.7~3.9GHz、Eコアは2.8GHz、LP Eコアは1.1GHzで、Pコアはベースクロック(1.4GHz)の約2.7倍、Eコアはベースクロック(0.9GHz)の3倍以上、LP Eコアはベースクロック(0.7GHz)の約1.6倍といずれも大きく引き上げられている。にも関わらずCPU Packageの温度は概ね90℃前半で推移しており、Tjunctionの110℃まではまだ余力が残されている。
続いてGPUの温度を確認するとこちらは最高68.9℃で頭打ち。動作クロックも1,800MHz前後を常に維持することができており、給気口や排気口を塞がないという条件はあるものの、「究極のパフォーマンス」での運用でも「Cooler Boost 3」の冷却性能が不足することはないだろう。
アイドル時のサーモグラフィ |
高負荷時のサーモグラフィ |
「Cinebench 2024」実行時のサーモグラフィの結果を確認すると、アイドル時はキーボード面、裏面とも平均温度は30℃、最高温度も35℃を超えることはない。また高負荷時でもキーボード面は平均温度が30℃半ば、最高温度も47.1℃で不快に感じることはなかった。ちなみに裏面では最高54.2℃まで上昇しているが、これはメッシュパネル越しに見えているヒートシンク部分が測定されているため。熱くて触れなくなるようなことはなかった。
NVIDIAの外部GPU GeForce RTX 40シリーズを搭載しながら、厚さわずか18.95mmの薄型筐体を採用する「Prestige 16 AI Studio B1V」。ゲーミングノートPCの技術を生かした強力な冷却システム「Cooler Boost 3」を組み合わせることで、クリエイティブな作業はもちろん、ゲームでもミドルレンジクラスのデスクトップPCと同等かそれ以上の性能を安定して発揮することができた。
また99.9Whrの大容量バッテリを内蔵し、実作業を想定した処理で10時間を超える駆動時間は、外出先での作業が多いユーザーにとって大いに魅力的な存在だろう。
唯一、WQXGA解像度のモデルでもリフレッシュレートが最高60Hzに制限される点は、良好なゲーム性能を考えるとややもったいない印象を受けるが、メインの用途がクリエイター向けと考えれば致し方ないところ。Core Ultraを搭載し、AI処理性能も優秀な「Prestige 16 AI Studio B1V」は、これ一台で様々なシチュエーションに対応できるオールマイティな一台だ。
提供:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社