エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1412
2024.04.12 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
相変わらず工作精度の高い、受熱ベース部を眺めてみよう。お断りするまでもなく、こちらもNH-D12Lと設計は同様ながら、受熱ベースプレートとヒートパイプにはブラック塗装&メッキ処理が施されている。唯一CPUと直接接触する表面はシルバー色で、この部分だけを計測すると幅約38mm、奥行き約40mmだった。なおベースプレートの厚さは約16mm。
そして2枚の上下プレートに挟まれているのが、φ6mmヒートパイプだ。ブラックメッキ処理が施された合計5本のヒートパイプは、第1/第2ヒートシンク共に縦一列に貫通し、ヒートシンク全体に熱を行き渡らせる役割を果たしている。とかくメッキ処理を施すと、多少工作精度の甘いCPUクーラーも見栄えが良くなるもの。ただし実際に負荷を掛けたテストを行うと、文字通りメッキが剥がれ、印象とは異なるパフォーマンスになる事がある。
4本のヒートパイプが等間隔で放熱フィンに貫通している事がよく分かる |
既に検証済みのNH-D12Lは良好な結果を叩き出しているが、さてブラック色で化粧されたNH-D12L chromax.blackは、見栄えと性能が両立できているのだろうか。最終セッションで明らかにしていこう。
NH-D12L chromax.blackに搭載される冷却ファン「NF-A12x25r PWM」は、実に4年以上の開発期間を費やして誕生した「NF-A12x25」(2018年5月発売)がベースと言われている。NH-D12L検証時にも詳しく説明しているが、要約するとローハイト120mmファン搭載CPUクーラーへの搭載が目的で誕生した”あつらえモノ”と言ったところ。
Noctuaの120mmファンを搭載する従来モデルに比べ、13mm低く設計することに成功。92mmファンクラスが限界だった小型PCケース内部に”120mmファン搭載CPUクーラー同等の冷却性能”が提供できるようになった。つまりこれを成立させるにはNF-A12x25r PWMがキモであり、NH-D12L chromax.black(またはNH-D12L)最大の存在意義というワケだ。
NH-D12Lの検証記事では「NF-A12x25」との画像比較を行っている。ネジピッチの違いや全高を低くする工夫が見て取れるフレーム設計を是非ご覧頂きたい |
なおヒートシンクにはワイヤークリップで固定。隣接するメモリスロットとの干渉を防ぐ目的から、2ブロックに分かれたヒートシンクの間にマウントするスタイルとした。なおNH-D12Lはオプションでデュアルファン運用ができるよう「Fan Clip」が付属していたが、NH-D12L chromax.blackでは省略されている。こちらはあくまでシングルファン運用と割り切られている。