エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1420
2024.05.10 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
CPUの冷却にはオールインワン型水冷ユニット、Thermaltake「TH360 ARGB Sync V2 Snow」(型番:CL-W365-PL12SW-A)を選んだ。2023年12月より販売がスタートしたハイエンドモデルで、ポンプキャップにインフィニティミラーデザインを採用。型番からも分かるように、360mmサイズラジエーターには120mm ARGB LEDファンを3基搭載し、高い冷却性能とイルミネーションによる魅せる要素を兼ね備えている。
唯一の搭載スペースである右側面に360mmサイズラジエーターを固定。120mm冷却ファンは筐体の内側にマウントされるため、ラジエーターに冷却ファン固定→筐体内へ挿入の順で作業を行う。420mmサイズラジエーターに対応するとは言え、ラジエーター厚の27mmと冷却ファン厚25mm=52mmにもなる長モノを所定の位置へセッティングするには、既に搭載済みの電源ユニットがあるだけにスペースが限られるため、慎重に行う必要がある。ご存じの通りラジエーターのフィンは少しの接触で曲がってしまうからだ。
配線を済ませた状態で起動テストを行った。ポンプの駆動、冷却ファンの回転、ARGB LED発光状態など、全てにおいて問題はなかった。また裏配線のケーブルマネジメントも容易に行う事ができている |
なお360mmサイズラジエーター搭載後のクリアランスは、ボトム面までが残り70mmといったところだった。また電源ユニット右側面のストレージ搭載スペースは”排他仕様”につき、利用はできなくなる。ストレージ収納力を減らしたくないなら、ラジエーターサイズは240mmまでになる。
120mm冷却ファンの電源ケーブルとARGBケーブルは予め接続しておく必要アリ ※ウォーターブロックおよびラジエーターのチューブ接続位置はThermaltakeの作例に準拠 |
次はグラフィックスカードだ。搭載テスト用にはGIGABYTE「GV-N407TSAERO OC-16GD」を用意した。WINDFORCE 空冷システムには3基のオリジナルブレードファンを実装。外形寸法は幅130mm、長さ300mm、厚さ57.6mmとされる。
なお搭載可能なグラフィックスカードの長さは、電源カバー搭載時で最大280mm、電源カバー非搭載時で最大400mm。厚さは最大92mmまでがサポートされている。
グラフィックスカードは左側のピラーに沿って、縦にマウントする格好。正面および左側面が開放状態にできるため、一般的ミドルタワーPCケースよりも楽に搭載作業ができた。なにより垂直にマウントする事で、ハイエンド志向のグラフィックスカードで陥りがちな”垂れ下がり”の心配がなく、搭載姿勢が自然な状態になるのはThe Tower 300の設計に由来する思わぬ利点だろう。
グラフィックスカード搭載後のクリアランスは、ボトム面まで約105mmだった |
ここまでの作業を終え、再度起動テストを実施。各構成パーツの動作やLEDパーツの発光に問題は見当たらなかった |
組み込み作業を(ほぼ)終えたところで、マザーボードのバックパネルと接続したケーブルの経路を確認しておこう。組み込み状態の画像でお気づきだと思うが、マザーボードは筐体内部へスッポリと収納されるため、本来露出するバックパネルは通常のような使い方ができない。ではどうするのか。
PCケース内部に収まる、本来露出すべきマザーボードのバックパネルI/O部。接続したケーブルはトップパネル後方の開口部を経由して外部へ排出される格好 |
マニュアルや製品サイト等に具体的な方法は明記されていないが、トップパネル内部に搭載される冷却ファンブラケットを外し”開放状態でケーブルの抜き挿しする”が正解だろう。もちろん、ファスナー(ピン)固定のトップパネルも一旦取り外す必要があり、やや面倒にも思えるが、バックパネルI/Oの各コネクタへのアクセス頻度は思いのほか低い。多少の個人差はあるものの、恐らく日常の使い方では、フロントないしトップに装備する外部アクセスポートで事が足りるだろう。
ちなみに同じスタイルのPCケースのほとんどがこのパターンを採用している。そしてひどく不便といった声はあまり聞こえてこない。
電源ユニットはリアパネルの開口部から背面が全て露出できている。ちなみにのちほど紹介する「Chassis Stand Kit」使用時でも、ACケーブルが邪魔になったり、ON/OFFスイッチにアクセスができなくなる、といった制限はおきない |