エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1424
2024.05.24 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
テストセッションのラストはサーモグラフィの結果を確認していこう。PL1/PL2=219W、ファンはデフォルトモードに設定し、アイドル時は起動してから10分間放置した際の温度を、高負荷時は「Cinebench 2024:30 minutes(Test Stability)」を実行して20分経過した際の温度を撮影している。
アイドル時のサーモグラフィ |
高負荷時のサーモグラフィ |
アイドル時、高負荷時ともヒートパイプの温度は明らかにヒートシンクより高く、ヒートパイプを伝って温度が移動している様子が見て取れる。さらに高負荷時はヒートシンク全体の温度が上昇しており、効率よくCPUから発生した熱をヒートシンクに伝えることができているようだ。
ご紹介のとおり、Noctua「NH-L12Sx77」はデフォルトがボトムフロー型CPUクーラーだが、冷却ファン「NF-A12x15 PWM」を付け替えることで、トップフロー型CPUクーラー「High-clearance mode」としても運用できる。
ボトムフロー型のデフォルト状態は、Fractal Design「Terra」など全高77mmに合う小型筐体向けに設計されている。側面に通気孔を持つサイドパネルが必須だが、CPUの熱を即外排気するスタイルは実に都合がいい。PCケース内部に収めることで条件は異なるが、性能テストの結果はCPUの選択肢を明確にし、システムに見合った冷却環境を整える事ができるだろう。L.N.Aの有無に関わらず静音性が確保できる点もメリットだろう。
一方、High-clearance mode(トップフロー型)に冷却ファンを置き換えると、PL1/PL2=219Wで4~5℃の冷却性能差があり、やはり精度の高いヒートシンクに直接風を当てる格好は、CPUクーラーにとって真っ当なスタイルである事を再認識した。
明確な目的をもって設計・企画されたNH-L12Sx77だが、その性格を”正確に把握”し、適切な環境と適切なスタイルで運用すれば、最大限のパフォーマンスを引き出せる事が分かった。
今回も非常にNoctuaらしいCPUクーラーに触れたが、間もなく「COMPUTEX TAIPEI 2024」が開催される。出展内容は現時点「秘密」だが、また複数の興味深い製品がお届けできるだろう。今からスウェーデン発の直送便が楽しみだ。
協力:Noctua