エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1435
2024.07.01 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
CPUの冷却にはオールインワン型水冷ユニット、Antec「Vortex 360 ARGB」を用意した。ラジエーターサイズは幅120mm、奥行き397mm、厚さ27mmで、25mm厚/120mmファンを含めた厚さは52mm。当然”push pull radiatorのメモリ高制限35mm以下”には引っかからないため、周辺クリアランスにも問題はない。
オールインワン型水冷ユニットのマニュアルに従って作業を行えば、問題無く搭載は完了。フロントが開放状態になっているため、なにかと滞りなく作業できる事はありがたい。面倒なケーブル類の配線もスムーズにできた。ただ1点トラブルも発生している。
撮って出しレビューでは通常、(1)マザーボード、(2)電源ユニット(各種配線)、(3)CPUクーラー、(4)グラフィックスカードの順で解説を行っている。時にマニュアルの手順を無視し、分かりやすさを優先しているが、Constellation C5 ARGBの場合(2)CPUクーラー、(3)電源ユニットが正解だった。
CPUクーラーマウントホールを完全に覆い隠す、縦置きマウントの電源ユニット |
デュアルチャンバー設計でありがちなトラブルだが、電源ユニットがマザーボードの真裏に縦置きになると、CPUクーラーのバックプレートを装着する隙間が足りなくなる。学習しない筆者は複数回同じような目に遭っているが、今回もおおよそ配線が完了した電源ユニットを一旦取り外す事になってしまった。搭載手順は多少の個人差があると思うが、物理的に解決できない事象は作業を巻き戻すしか解決方法はない。
最後にグラフィックスカードを搭載してみよう。Constellation C5 ARGBの拡張カード有効スペースは長さ410mmまで。現行のコンシューマ向けグラフィックスカードならどんなモデルも選択できる。贅沢な搭載スペースだが、ここでは以前検証を行った「C3」「C8」と同様、長さ243mmのNVIDIA GeForce RTX 4070 Founders Editionをチョイスした。
搭載手順は、外部拡張スロット右手の化粧カバーを外し、インチネジで固定された拡張スロット金具(2本)を取り外す。ここにグラフィックスカードを装着し、インチネジで固定。化粧カバーを元に戻せば一連の搭載搭載は完了。あとは12VHPWRコネクタケーブルを挿せばいい。広い拡張カード有効スペースだけに、GeForce RTX 4070 Founders Edition固定後の空きスペースは実測で165mmだった。
なおオプション扱いとなるが、グラフィックカードの可動式縦置きブラケット+ライザーケーブル「Antec AT-ARCVB」(ブラック)/「AT-ARCVB-W200-PCIE4」(ホワイト)が用意されている。グラフィックスカード垂直マウントは魅せるPC構築におけるインパクトのあるカスタマイズだけに、大いにキニナル存在と言える。
2023年12月より販売がスタート。PCI Express 4.0(x4)対応のライザーケーブル付属で市場想定売価はブラックが税込9,980円、ホワイトが税込10,980円 |
「Constellation」シリーズ3部作(注※筆者が勝手にそう呼んでいるだけ)、「C3」「C5」「C8」。今回で全ての詳細検証を終え、後発だったAntecのピラーレスデザインPCケースは「完成」した。いずれもPCケースメーカーの老舗らしく、抜かりのない設計と工作精度には、誰もが納得できる出来映えだろう。世界各国の販売チャンネルが盤石だけに、市場想定売価も魅力的な設定。圧倒的な視界のパノラマビューを一度体験したいと思う自作派には、太鼓判を押す。
そして”一度体験したい”と言えば、背面コネクタマザーボードだろう。賛否両論がある事は確かで、ミドルタワーのマザーボードトレイをただカットしただけのPCケースでは、ケーブルの処理やコネクタの出っ張りなど、面倒が解決できない。これを解消するのがデュアルチャンバー設計であり、Constellationシリーズの中でも「C5」がその役割を担う、まさに相応しい存在だ。
電源ユニットと同居状態ながら、マザーボードトレイ真裏から右サイドパネルまでは95mmを確保。ケーブルマネジメントが苦手な自作派にとって、かなりハードルが低く感じるだろう。背面コネクタマザーボードによる究極の魅せるPCを構築したいなら、(またもや)太鼓判を押す。
提供:Antec
株式会社リンクスインターナショナル