エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1438
2024.07.16 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
冷却性能テストを行う前に、マザーボードへの取り付け手順を見ていこう。本稿では検証用機材に合わせ、Intel LGA1700マザーボードへの固定を試みた。NH-D15 G2には図説マニュアルが付属し、英語表記ながらイラストだけでも十分に理解できる。文字が見づらいなら製品サイトからPDFデータをダウンロードし、スマホ片手に作業を進めてもいいだろう。ちなみに筆者の場合、両手が空くためタブレットに表示して作業する場合が多い。
NM-IBP4 backplateの末端にNM-IBT5 boltsを挿し込む。なおソケット毎に向きが決められている | NM-ICS1 clip-on spacersを使い固定。これを四隅の4箇所で行う |
NM-IBP4 backplateは向きがあるのでマニュアル記載の文字をしっかり確認しよう |
四隅にNM-IBT5 boltsを装着したNM-IBP4 backplateを、マザーボードのCPUクーラーマウントホールへ挿入 |
マザーボード表面から4本のNM-IBT5 boltsにNM-IPS3 (blue)を挿入 |
NM-IPS3 (blue)の上にNM-IMB3 mounting barsを載せる。2つある末端の穴は(2)がLGA1700/1851用 |
NM-SD1 Torx T20 screwdriverを使い、NM-STS1-TX thumb screwsでNM-IMB3 mounting barsをしっかりネジ止めする(max. torque 0.6 Nm) |
中央の冷却ファンを外した状態でNH-D15 G2を載せ、ヒートシンクを固定。ここでもNM-SD1 Torx T20 screwdriverが活躍 |
中央の冷却ファンを元に戻せばマザーボードへの固定は完了 |
付属の1mm厚樹脂製ワッシャー「NM-ISW1」についても触れておこう。LGA1700ソケットのILM(Independent Loading Mechanism)にNM-ISW1を追加することで圧力を下げ、CPUの変形を軽減。密着性を向上させるアイテムは、NH-D15 G2との組み合わせにより効果が期待できる。ここではマニュアル記載の組み込み手順をチェックしてみよう。
なおこの作業は保証の対象外になるため、Noctuaでも一切の責任を負わない旨が記載されている。使用する場合はくれぐれも自己責任にて。
レバーを上げてCPUを載せる | トルクスドライバーでILM固定ネジを外していく |
合計4箇所のILM固定ネジを外し、2ピース構成のILMをマザーボードから取り外す |
1mm厚の樹脂製「NM-ISW1 SHIM WASHERS」をILMマウントホールにセット。ILMを元に戻せば搭載作業は完了 |
この後行う検証はIntel系につき、AMD Socket AM4/AM5への搭載手順は割愛した。簡単に作業の流れを紹介すると、マザーボード備え付けのバックプレートを流用。樹脂製の台座を外し、そこにプラスチック製スペーサーを載せた状態でリテンションを置き、ネジ留めを行う。Intel系よりも簡略化されており、詳細な図説により迷い無く作業ができるだろう。
なおリテンションには、クーラーのソケットを7mmずらして取り付ける「Offset mounting option for AMD AM5」が付属。CCDに合わせたポジションに受熱ベースプレートが固定できる。
Offset mounting option for AMD AM5 |
マザーボードへの固定が完了したところで、メモリスロットクリアランスをチェックしたい。一般的にツインタワー型サイドフロータイプのデュアルファン仕様となれば、隣接するメモリスロットへの影響は避けられない。NH-D15 G2も例外ではなく、CPUソケットに最も近いメモリスロットへの張り出しは目視でもハッキリと分かる。
マニュアルによると、メモリスロットクリアランスを確保するためには、フロントファン(表記ママ)を上方向へずらす事で回避できる記載されている。ただし注意書きとして「全高が168mmを超える」とあり、PCケース側の有効スペースを気にしなければならない。
メモリスロットの上端に当てた定規はフロントファンの下部まで約28mmを示しているが、最大32mmまでのメモリ対応が謳われている |
なお搭載テストにCORSAIR「VENGEANCE RGB DDR5」の装着を試みたところ、フロントファンを約10mm上部へずらす事で搭載ができている。緻密な計算の上に成立しているNoctuaのCPUクーラーだけに、ヒートシンクへのエアフロー効率が落ちる点は不問にはできないが、100%の冷却性能を得るなら背の低いメモリを選択するしかない。
ちなみにマニュアルには「Additionally, the cooler may also be used with the centre fan only in order to guarantee best compatibility with tall RAM modules.」の記載もある。中央の冷却ファンのみの運用に言及しているくだりはやや意外だが、放熱フィンに凹みを設けているため、最大59mmまでのメモリに対応できるという。また「RAM互換性リスト」も公開されているので、こちらも合わせてチェックしておこう。
10ゾーンRGBライティングが特徴のCORSAIR「VENGEANCE RGB DDR5」。全高は実測で約45mmで、互換リストでは×印がつけられている |