エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1439
2024.07.19 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
電源ユニットはSFX(SFX-L)規格に対応。以前に比べれば選択肢は増えているが、ATX 3.0準拠で12VHPWRコネクタを備えた高出力モデルとなれば限られてくる。FractalのSFX規格には「Ion SFX Gold」シリーズがあるものの、今回はFSP「DAGGER PRO ATX3.0(PCIe5.0) 850W White」(幅125mm、奥行き100mm、高さ63.5mm)を用意した。
搭載方法は冷却ファンをトレイの通気孔側に向け、左側面からインチネジで固定。「Power Extension Cable」(PSU延長コード)を接続すれば準備は完了。必要分だけモジュラーケーブルを接続すればいい。
なお画像からも分かる通り、電源ユニット搭載後のコネクタ側には空きスペースが確認できる。つまり電源ユニット固定後でもモジュラーケーブルの抜き挿しができるというワケだ。
電源ユニット搭載の冷却ファンとトレイ部の通気孔。グラフィックスカードの居住エリアから吸気を行う格好になる |
次にオールインワン型水冷ユニットを搭載してみた。Mood特有の組み込み手順は既にご理解頂けている前提で、ここではもうひとつの「マウントルール」について解説する。
なお搭載テストには、Fractal Design「Lumen S28 v2」(型番:FD-W-L1-S2811)を用意した。国内市場では2023年1月より販売が開始された、280mmサイズラジエーターのオールインワン型水冷ユニット。140mmファン「Aspect 14 PWM」を2基搭載し、ウォーターブロックにはアドレサブルRGB LEDを内蔵。Moodでは内部に閉じ込めてしまうものの、冷却性能に期待してのチョイスだ。まずはマニュアル記載の「C Layout」と「Z Layout」を理解しよう。
両者の違いはラジエーターとウォーターブロックを水平に置いた状態で、チューブがウォーターブロックの左右どちらに接続されているか。限られた内部容積だけにユーザーへの負担を軽減する事を目的として、異なるチューブレイアウトによる搭載手順が詳細に記されている。ちなみにLumen S28 v2はZ Layoutに該当する。
「Z Layout」に該当するLumen S28 v2。なお「C Layout」については、マニュアルのP35を参照頂きたい |
Z Layoutに関する6ページにわたる説明に目を通すと、ラジエーターに140mmファン2基を固定し、ウォーターブロックをCPUソケットに装着するまでは共通。重要なのは、低浸透性ゴムとナイロン製網組スリーブで構成された、チューブ(長さ400mm)の取り回し方法だ。
長さ400mmのチューブを上手に内部へ収めるには、ラジエーターをシャーシに固定する際に、両側面の空きスペースからチューブを開き、筐体の外側に曲げるような格好でテンションを外側に逃がす。
この状態でラジエーターをネジ留めし、最後に両側面からはみ出したチューブを、冷却ファンに干渉しない場所へ配管する。マニュアルには「Make sure all cables or tubes are contained within the frame」の記載があり、チューブがきちんと収めるよう注意書きが記されていた。
オールインワン型水冷ユニットに、2タイプがある事を意識していなかった自作派もいるだろう。若干のコツが必要なMoodだけに、Fractalでは非常に丁寧な解説をつけている。とは言え、限られた内部空間ゆえ、おのずと推奨される通りの手順と完成形にはなりそうだ。選択肢が限られているだけに、ユーザーが工夫する余地が少ない点は、Moodの短所であり長所だろう。
手順通りでキレイに収められたLumen S28 v2。搭載後のクリアランスは、ラジエーター搭載ファンから電源ユニットまでが約15mm、同じくマザーボードまでが約70mmだった。ちなみにオールインワン型水冷ユニットのラジエーター搭載スペースは、1箇所しかない。ストレージ収納力を優先し、空冷クーラーを選択するパターンもあるだろう。ここは組み込み前に、じっくりと構想を練る必要がありそうだ。