エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1439
2024.07.19 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
「Terra」や「North」辺りからだろうか。これまで「Define」シリーズが代名詞的存在だったFractalは、デザインPCケースへのこだわりが強くなったように思う。派手なライティングやピラーレスデザインPCケースなどとは一線を画し、独自路線で勝負するメーカーのカラーは、日本市場のみならず各国からの絶大なる支持を集めている。
そんな期待に応えるべく用意したのが新モデル「Mood」だ。
Fractal Design「Mood」 市場想定売価税込35,800円前後(2024年6月28日発売) Mood Light Gray(型番:FD-C-MOD1N-01) 製品情報(Fractal Design/株式会社アスク) |
省スペースの柱状デザインは、外装素材からトール型スピーカーに似て、部屋のインテリアにも馴染みやすいスタイル。派手な発光は極力抑え、起動時にPowerスイッチ外周が白色に光るのみ。決してでしゃばらず、設置場所を選ばないコンパクトな筐体は、多くの自作派が好意的に受け入れていることだろう。
Fractal Design「Mood」 市場想定売価税込35,800円前後(2024年6月28日発売) Mood Black(型番:FD-C-MOD1N-02) 製品情報(Fractal Design/株式会社アスク) |
そんな「Mood」の初お披露目は、先に行われたCOMPUTEX TAIPEI 2024会期中の独自ブースのこと。台北市内を一望できる高層ビル「台北101」のスペースに設けられた展示会場には各国からのメディアが集結。小さいながらも一際目立つ存在のMoodは”イチバンの注目作”として、全世界へと一斉に配信され、われわれが知るところとなった。
そして異例とも言える販売開始の早さは、セールス担当の術中だろう。6月5日にはプレスリリースが配信され、6月19日には国内代理店の株式会社アスク(本社:東京都千代田区)から6月28日の発売と市場想定売価がアナウンスされている。
実機に触れる前に、スペック表からMoodの概要を確認しておこう。対応マザーボードは当然ながらMini-ITX。170mm四方の基板だからこそ実現するこのスタイルはモデル最大の魅力であり、設計者の腕の見せどころ。ある程度拡張性は覚悟しなければならないが、Fractalらしい仕掛けの数々には大いに期待してしまう。
そして外形寸法は幅212mm、奥行き212mm、高さ453mmで、重量は4.6kg。この数値からも分かるとおり、いわゆる「詰め込み系PC」なのは間違いなさそう。Moodは個性的かつ魅力的なPCケースケースだが、外観スタイルだけで選択すると、自作経験の浅いライトユーザーはやや苦戦する事になりそうだ。幸いにして現在検討中であるならば、本稿をじっくり見て”難関ポイント”を事前に把握してほしい。また随所に出てくるパーツ名については、基本的にマニュアル表記に準拠しているが、より分かりやすさを優先し、書き換えを行っている箇所がある。
なお、主素材はスチールで、副素材にプラスチック、さらに外装の大部分には布が使われている。パッケージサイズは幅287mm、奥行き303mm、高さ580mmで、付属品および緩衝材を含めた総重量は4.9kg。高さはミドルタワーPCケース並だが、店頭購入による持ち帰りは十分に可能なレベルだった。