エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1444
2024.08.04 更新
文:撮影・編集部 池西 樹
画像によるチェックが一通り完了したところで、ここからは「SIREN GD120S AIO SSD Cooler Black」の冷却性能を確認していこう。テスト用のSSDにはPCI Express 5.0(x4)接続のTeam「GE PRO」シリーズ2TBモデル「TM8FFS002T0C129」を使用し、ストレステストには「CrystalDiskMark 8.0.5」をデータサイズ64GiB、テスト回数を5回に設定して3回連続で実行した。
またファンの回転数はマザーボードのファンコントロール機能を使い、フル回転(約2,200rpm)と最低回転(約600rpm)の2段階で検証を行い、比較対象として「T-FORCE Dark Air Flow I」(ファン回転数約8,300rpm)と、マザーボード標準ヒートシンクを搭載した場合でも検証を行っている。
テストにはInnoGrit製PCI Express 5.0(x4)コントローラIG5666を採用するTeam「GE PRO」シリーズを使用した |
SIREN GD120S AIO SSD Cooler Black:フル回転 | SIREN GD120S AIO SSD Cooler Black:最低回転 |
T-FORCE Dark Air Flow I | マザーボード標準ヒートシンク |
マザーボード用ヒートシンクでは、コントローラの温度が100℃を超えてしまい、2回目以降のテストではサーマルスロットリングにより大きくパフォーマンスが低下する。一方、「T-FORCE Dark Air Flow I」を使用することで、テスト中の温度は60℃半ばまで低下し、サーマルスロットリングと思われる症状は解消される。
そして期待の「SIREN GD120S AIO SSD Cooler Black」だが、ファンをフル回転にした場合は平均温度約48.6℃、最高温度52℃、最低回転でも平均温度約50.1℃、最高温度54℃という圧巻のパフォーマンスを発揮する。アイドル時と高負荷時の差はいずれも10℃に留まり、PCI Express 5.0(x4)対応コントローラの発熱を完全に押さえ込むことができる。
また騒音値を確認するとフル回転でも40.2dBA、最低回転では32.9dBAに留まり、バラックでのテストでもノイズはほとんど気にならなかった。冷却性能についても最低回転で全く不安が無いことから、静音性を重視するのであればマザーボードのファンコントローラーで回転数をギリギリまで抑えた運用をおすすめする。
アイドル時のサーモグラフィ | 高負荷時のサーモグラフィ |
最後にファン回転数を最低にした場合のサーモグラフィの結果を確認したところ、アイドル時、高負荷時とも目立った違いは出なかった。
SSDの中では非常に発熱が多いPCI Express 5.0(x4)対応製品。しかし、CPUやグラフィックスカードの冷却にも使用されるオールインワン型水冷ユニットにとっては決して難しい相手ではなく、ファンの回転数を最低に絞った状態でもファンレスヒートシンクや、空冷クーラーとは一線を画すパフォーマンスを発揮する。
これまでのM.2 SSDの冷却に比べるとラジエーター搭載スペースが必要になるなど大掛かりで、ウォーターチューブの取り回しや配線も煩雑になるといったデメリットはある。しかし、その高い冷却性能と静音性に魅力を感じる人は多いのではないだろうか。ただ、検証を終えてふと冷静に考えると、オールインワン型水冷ユニットを使わなければならないほど発熱するPCI Express 5.0(x4) SSDの“ジャジャ馬”ぶりには、いかんともしがたい感情を抱かざるを得ない。
協力:Team Group