エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1459
2024.09.25 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 Tawashi/撮影:pepe
レビューの最後は、実際に「MAG 342CQR E2」とゲーミングPCを使った実動インプレッションをお届けしよう。動作検証にあたっては、Core i7-13700KFとGeForce RTX 4080を搭載するMSIのハイエンドゲーミングマシン「Aegis Ti5 13NUG-257JP」を用意。UWQHD解像度(3,440×1,440ドット)でリフレッシュレート180Hz動作をさせても、まったく問題のないスペックだ。
まずは「MAG 342CQR E2」の映り具合を確認していく。アスペクト比は21:9、サイズは34型でUWQHD解像度(3,440×1,440ドット)、1,500Rの曲面を目の前にするとその迫力に圧倒される。
また液晶パネルは3,000:1の高コントラストに対応するVA方式で、締まりのある黒色を表現を得意とする。ゲームはもちろんのこと明暗差の大きな映画などの動画コンテンツの視聴にも向く。さらに最大表示色は約10億7000万色(8bit+FRC)で、色域は一般的なsRGB 99%、より広域なAdobe RGB 93%、デジタルシネマ向けのDCI-P3 95%をサポートし、トーンジャンプを抑制して意図した映像や画質で表現を可能にしている。
湾曲タイプ液晶ディスプレイの特性上、どうしても角度をつけると左右端で画質の変化が大きく、輝度やコントラストが低下しやすい。それも画面に対し中心に頭が入るようなポジションを取ることでほぼ気になることはない。
最近のゲーミング液晶ディスプレイでは 当たり前の機能となってきたが、PlayStation 5やXbox Series X/Sといったコンシューマゲーム機では、フルHD/120Hzの高速リフレッシュレートでの表示が可能だ。一般的な液晶テレビに接続するよりも滑らかな映像でゲームをプレイすることができる。ただし、アスペクト比21:9に非対応のPS5では、画面の左右に余白が出る。個人的にはそれほど気にならなかったが、ゲームでの没入感を求めるならPCゲームでの使用がオススメだ。
なお、動作中の消費電力を計測したところ、アイドル時(リフレッシュレート180Hz/Windows起動後10分何もしていない状態)で34W、リフレッシュレート180Hz環境でゲームをプレイした時も同じく34Wと変わらなかった。一般的な24型クラス(動作時約40W前後)のゲーミング液晶ディスプレイを2台使用するよりも低い消費電力で運用できる。
続いて、実際のゲームで有用な補正機能のひとつ「ナイトビジョン」の効果を見ていこう。暗闇や夜といった暗いシーンの映像を見やすく補正してくれるもので、ゲーム中に薄暗い場面で敵と遭遇した場合などに役立ってくれる。設定は「オフ」と自動で効果を調整してくれる「A.I.」のほか、効果のレベルに応じて「通常」から「最も強い」の5段階から選択できる。
比較映像を見ると「オフ」では見にくかった暗いシーンが、機能を有効にすると通常/強い/最も強いの順に見やすくなっているのがわかる。検証に使用した「BIOHAZARD RE:4」は、リメイク版で改善されたとはいえ、暗い場所に設置されたアイテム(木箱)が見えにくいシーンが多々ある。見落としを防ぐという意味で「最も強い」でプレイしたいところだが、ゲームの雰囲気を損なうという人もいるだろう。そんな人に勧めたいプリセットが新たに追加された「AI Vision」だ。
「AI Vision」はシーンに合わせて、暗い部分を明るくするだけでなく、全体の輝度とコントラスト(色の彩度)を向上させるというもの。「ナイトビジョン」のほか、MPRTや輝度調整などいくつかの機能とは排他動作となるが、あれこれ設定を変更するのが面倒という人は初めから「AI Vision」にしておくといいだろう。
「ナイトビジョン:A.I.」と「AI Vision:オン」の比較では、大きな差は無かったが「AI Vision」を設定した場合、わずかに彩度が強化されている印象を受ける |
テストセッションの最後は、ゲーミング液晶ディスプレイを選択するうえで重要な要素であるリフレッシュレートをチェックする。テストでは、それぞれ60Hz/120Hz/180Hz設定における違いを比較していく。できるだけ分かりやすく体感するために、レースゲーム「Assetto Corsa」のリプレイを使用。ディスプレイ同期を有効化するとともに、デジタルスチルカメラのスーパースローモーションにより画面を直接撮影している。
スローモーションで確認すると、一般的な60Hzのリフレッシュレートはコマ送りのようにフレーム更新されるが、3倍の速さで画面が書き換わる180Hz環境ではより滑らかに画面更新がされており、どちらの環境がゲームプレイで優位であるかは一目瞭然だ。
さらに120Hzと180Hzの比較は、PS5とPCの性能差でもある。60Hzと120Hzほど明確な差はないものの、わずかだがはっきりとした違いは確実にある。一瞬の判断が勝負を分けるFPSゲームやバトルロイヤルゲームでは、PCが有利になるのは言うまでもない。
MAG 342CQR E2最大のセールスポイントは、34型の大画面にフルHDの約2.5倍にあたる高解像度を実現したUWQHD解像度(3,440×1,440ドット)と曲率1500RのVAパネルを採用する点だ。それにより得られる圧倒的な没入感は、一般的なフラットタイプの液晶ディスプレイでは決して味わえない。20型クラスの湾曲液晶ディスプレイと比較しても、画面サイズが大型化することでその迫力は倍増する。湾曲液晶ディスプレイを購入するなら、30型以上の大型モデルを選択したほうが幸せになれるだろう。
難点を挙げるとすれば、UWQHD解像度に非対応のゲーム(またはゲーム機)や動画コンテンツがまだまだ多いというところ。画面の左右に余白が出るのをストレスに感じるという人は、実際どの程度気になるのかを、店頭のデモ機などで事前に確認しておいたほうがいい。
オススメしたいのは、FF XIVに代表されるMMORPG系タイトルを中心に遊ぶという人。大画面の臨場感と包み込まれるような高い没入感に加えて、プレイを少しでも有利に進める事ができるのは大きなアドバンテージになる。実勢売価が税込59,800円と、UWQHD解像度対応の34型としては高めの設定かと思いきや、リフレッシュレート180Hzやゲームで実用的なMSI独自機能が豊富という点を考慮すればコストパフォーマンスは悪くない。自宅PCの環境をガラリと変えるMAG 342CQR E2は、PCゲーマーこそ導入する価値のある1台だ。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社