エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1460
2024.09.27 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
ここからは実際のゲームプレイ時に近い負荷を再現するため、長時間のループ実行に対応したゲーム系ベンチマークで検証を進めていく。まずは人気MMORPGの最新アップデートである「ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー」の公式ベンチマークテストを動かしてみよう。グラフィックスは「最高品質」、解像度は3,840×2,160ドットに設定し、テストはこれまで同様に30分間連続で実行した。
テスト中の消費電力は最大452Wで、しかもピークに達した時間帯はそれほど長くはなかった。理想的な負荷率である50%には届かないものの、一般的なゲーミングユースではこのくらいの負荷が現実的かもしれない。
やはり度々ロードを挟みつつ、アクセルワークのように異なる負荷が断続的にかかるベンチマーク。それを反映してグラフの波形もよく動いているが、すべて1%の上振れ内に収まる安定した変動に留まっている。しかもグラフパターンがある程度規則的な動きをしているあたり、安定性の高さが窺える。
続いて同様に長時間ループに対応したゲーム系ベンチマークから、より重量級の負荷がかかる「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の公式ベンチマークを動作させる。グラフィックス設定は「高品質」をベースに最も負荷がかかるように項目を選択し、解像度は3,840×2,160ドットに設定。やはり30分間連続で実行し、その際の挙動をチェックすることにした。
テスト中の消費電力は比較的高めで推移しており、ピーク時は最大531Wに達していた。とは言え理想的な負荷率である50%に近く、1000Wの電源ユニットにとっては変換効率の面でちょうどいい環境と言える。
こちらも12V以下に割り込むことはなく、ATX/CPU/GPUいずれも1%以内の上振れ範囲に収まっていた。強力な負荷が連続するフルロード時に至っては、ATXとCPUはともに12.07~12.09Vの限られた範囲での出力を維持できており、GPUも規則的な波形を描く安定した挙動。「YS1000」は信頼のおけるハイレベルな安定性を備えているようだ。
冷却自慢の中堅メーカーとして、日本市場でも名前が売れてきた感のあるPC COOLER(CPS)だが、電源ユニットに関してはまだまだルーキーに近い印象。しかしさすがは高い品質に定評のあるSeasonic製造の“Powered by Seasonic”製品とあって、今回検証を行った「YS1000」にそうした不慣れな背景は一切感じられない。OEM品とは言え“本家”同等の安定動作を発揮しており、Cybeneticsの静音認証が示すように動作中の騒音もまったく気にならなかった。
その一方で、ある意味市場における最も直接的なライバルになり得る存在として、売れ筋の一角を占めるSeasonicの同等製品が挙げられるであろうことは、なんとも皮肉なところ。しかし「YS1000」の市場想定売価は約3万円に設定されており、想定されるターゲットと比べても値頃感がある。
これはCPSブランドの電源ユニット普及を担う製品として、戦略的な価格設定がなされているのかもしれない。ともあれ、高品質でサポートも最長クラスの12年間と手厚く、価格はお手頃。ミドル市場でかなりの競争力を発揮してくれそうな新シリーズの誕生だ。
提供:株式会社サイズ
PC COOLER(CPS)