エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1470
2024.10.30 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 Tawashi/撮影:pepe
まずは「MAG 255XFV」の映り具合を確認していく。パネルには今年になってMSIでの採用モデルが一気に増えつつあるRAPID VAを採用。コントラスト比は3,000:1、最大表示色は約10億7000万色(8bit+FRC)で一般的なsRGBを90%、デジタルシネマ向けのDCI-P3では79%の色域をサポートする。クリエイター向けモデルに比べると色の再現性は高く無いため、動画編集など正確な色が求められる作業は避けたほうが無難だろう。ただし、トーンジャンプなどはなく、締まりのある黒で美しい映像のため、ゲームを楽しむには問題ないレベルだ。
輝度は250cd/m2と控えめだがパネル全体の均一性は高くフレーム端まで一貫した画質を保ち、ゲームだけでなくマルチメディアコンテンツの視聴にも向く。VAパネルの特性上仕方ないところだが、角度をつけると全体的に輝度やコントラストの低下が顕著だ。ただし、24.5型のパーソナルサイズであることや主要な用途がゲームであることを踏まえれば、角度をつけて使うことはないので問題はない。
また、PlayStation 5やXbox Series X/Sといったコンシューマゲーム機では、フルHD/120Hzの高速リフレッシュレートでの表示が可能だ。PCでのリフレッシュレート250Hzプレイがメインとなるが、ソロプレイなどライトにコンシューマゲームを遊びたいという場合でもPS5やXboxのパフォーマンスをフルに引き出す事ができる。
なお、動作中の消費電力を計測したところ、アイドル時(リフレッシュレート60Hz/Windows起動後10分何もしていない状態)で18W、リフレッシュレート250Hz環境でゲームをプレイした時は21Wとほとんど変わらなかった。
続いて、実際のゲームで有用な補正機能のひとつ「ナイトビジョン」と「AI Vision」の効果を見ていこう。暗闇や夜といった暗いシーンの映像を見やすく補正してくれるもので、ゲーム中に薄暗い場面で見にくいアイテムを発見したり、敵と遭遇した場合などに役立ってくれる。設定は「オフ」と自動で効果を調整してくれる「A.I.」のほか、効果のレベルに応じて「通常」から「最も強い」の5段階から選択できる。
比較映像を見ると「オフ」では見にくかった暗いシーンが、機能を有効にすると通常/強い/最も強いの順に見やすくなっているのがわかる。検証に使用した「BIOHAZARD RE:4」は、ホラー要素の強いゲームだけに暗いシーンが多い。ゲームの雰囲気とのバランスもあるが、「ナイトビジョン」を強めに設定すれば効果は抜群。怖がりのプレイヤーにとってはありがたい機能となってくれるだろう。
「ナイトビジョン:A.I.」と「AI Vision:オン」の比較。「AI Vision:オン」では、画面全体の輝度とコントラストが向上した印象だ |
なお、「AI Vision」はシーンに合わせて、暗い部分を明るくするだけでなく、全体の輝度とコントラスト(色の彩度)を向上させるというもの。「ナイトビジョン」のほか、MPRTや輝度調整などいくつかの機能とは排他動作となるが、「ナイトビジョン“強”設定では明る過ぎる」という人は、バランスのいい「AI Vision」がオススメかもしれない。
テストセッションの最後は、ゲーミング液晶ディスプレイを選択するうえで重要な要素であるリフレッシュレートをチェックする。テストでは、それぞれ60Hz/120Hz/165MHz/250Hz設定における違いを比較していく。できるだけ分かりやすく体感するために、レースゲーム「Assetto Corsa」のリプレイを使用。ディスプレイ同期を有効化するとともに、デジタルスチルカメラのスーパースローモーションにより画面を直接撮影している。
MSIの液晶ディスプレイで採用実績が高いパネルと言えばRAPID IPSパネルだが、「MAG 255XFV」が採用するRAPID VAパネルがもつ応答性能の高さにも驚かされる。検証動画を確認すると、60Hzのリフレッシュレート設定でも低残像であることが分かり、250Hzのオーバークロック動作においても、ゴーストやオーバーシュート等の画質劣化は皆無だ。カジュアルなゲーミング用途はもちろんのこと、その圧倒的な滑らかさと低残像は競技シーンのようなハイレベル場合でも絶大なアドバンテージを発揮するはずだ。
「MAG 255XFV」のポイントを整理しよう。まず画面描写の美しさよりも高速描写を重視するFPS/TPSゲームでは、24.5型サイズで解像度がフルHDというスペックは集中力も維持しやすくピッタリ。リフレッシュレートはコンシューマゲーム機では実現できないな250Hz動作が可能で、動きの激しいアクションシーンでも、クリアな視界を確保できる。一瞬の差が勝敗を分けるタイトルで特に威力を発揮する。
リフレッシュレートの違いについては、現在60Hzや120Hz環境の液晶ディスプレイでゲームをしているという人には是非とも体験してほしい。Nintendo Switchなら約4倍、PS5でも約2倍速くなる世界は、普段プレイしていたゲームでより体感できるはずだ。
唯一気になるところは、各部の調整機構が上下角度調節(チルト)のみとなる点。画面回転(ピボット)や左右角度調整(スイベル)は不要だとしても、ゲームをする際に重要な位置調整が、上下角度調節(チルト)のみというのはいただけない。とはいえ、VESA100準拠に対応するので、最近低価格なモデルも増えてきたモニターアームを取り付けることで解決できる。そもそも本体価格が税込28,000円前後(2024年10月現在)と250HzクラスのRAPID VAパネル採用モデルながらぐっと抑えた設定になっており、パネル機能を優先するユーザーにとっては小さな問題だろう。
解像度もフルHDのため、PCに要求されるスペックもエントリーからミドルクラスのグラフィックスカードでも手が届きやすい。高価なハイエンドグラフィックスカードを用意する必要がない点は、誰にとっても嬉しいところ。FPS/TPSゲームを思う存分プレイしたい。初めてのゲーミングPCに最適な液晶ディスプレイを探している。そんな人にオススメできる1台だ。
提供:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社