エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1471
2024.11.06 更新
文:撮影・編集部 池西 樹
オープンワールド型アクションゲーム「Watch Dogs Legion」のゲーム内ベンチマークのスコアを確認していこう。「グラフィック品質」と「レイトレの反射効果」は“最大”を選択し、解像度はフルHD、WQHD、4Kの3種類で計測を行っている。
4K解像度ではフレームレートに大きな差は出ていない。しかし、WQHD解像度ではRyzen 7 7800X3Dより約3%、Ryzen 9 9950Xより約6%、Core Ultra 9 285Kより約14%、フルHD解像度ではそれぞれ約10%、約20%、約31%上回り、GPUの負荷が低くなるにつれてCPUの影響が大きくなる。
ゲーム系ベンチマークのラストは、オープンワールド型アクションRPG「Cyberpunk 2077:Phantom Liberty」のゲーム内ベンチマーク結果を確認していこう。「クイックプリセット」は“レイトレーシング:オーバードライブ”、「解像度スケーリング」は“DLSS Super Resolution”、「DLSS Super Resolution」は“バランス”、「DLSS Ray Reconstruction」は“オン”、「DLSS Frame Generation」は“オン”に設定し、解像度はフルHD、WQHD、4Kの3種類で計測を行っている。
4K解像度ではスコアは横並び、WQHD解像度でもCore Ultra 9 285Kが約4%低いのを除けば大きな差はついていない。またフルHD解像度でも「X3D」モデル同士ではほぼ横並びだが、Ryzen 9 9950Xとの比較では約4%、Core Ultra 9 285Kとの比較では約13%高いスコアを記録した。
テストセッションのラストは消費電力を確認していこう。なお「Cinebench 2024」は「Cinebench 2024:10 minutes」実行時の平均値を、各ゲームはフルHD解像度でテストを実行した際の平均値を採用している。
「Cinebench 2024」実行時の消費電力を確認すると、Ryzen 7 9800X3Dでは冷却効率が向上し、ブースト状態を維持できるようになったことから約50W上昇している。またゲーム中の消費電力はRyzen 7 7800X3Dとの比較では約20W上昇し、Core Ultra 9 285Kとほぼ同等。Ryzen 9 9950Xとの比較では40~50W低く、ゲーム性能を考えるとワットパフォーマンスはとても優秀だ。
また「Cinebench 2024」実行中のCPU温度(最高値)を計測するとCCDが1基で、クロックも高いRyzen 7 9800X3Dでは86.6℃まで上昇した。このことから最高温度が95℃に引き上げられているとは言え、Ryzen 7 9800X3Dの性能を最大限に引き出すためにはCPUクーラーには高性能なものを用意したい。
先代モデル「Ryzen 7 7800X3D」では、CCDの熱処理の問題によって動作クロックが低めに設定されていたこともあり、マルチスレッド処理を中心に純粋なCPU性能はやや低調だった。しかし「Ryzen 7 9800X3D」では、Zen 5アーキテクチャと第2世代3D V-Cache技術を組み合わせることでこの欠点を解消。マルチスレッド処理でも8コア/16スレッドモデルの中では最高クラスのパフォーマンスを発揮する。
そして期待のゲーム性能については、GPU負荷が高いゲームなど効果があまりないものも確かにある。ただし、3D V-Cacheが有効なものならフラッグシップモデルRyzen 9 9950XやCore Ultra 9 285Kを圧倒する。Ryzen 7 7800X3Dとの比較でも確実にパフォーマンスは向上しており、現行のCPUの中では間違いなく最高峰のゲーム性能を備えている。
特にフルHD解像度やWQHD解像度でフレームレートを追求したいユーザーにとって「Ryzen 7 9800X3D」は魅力的な製品になるだろう。さらに今後登場が予定されているCCDを2基搭載した「X3D」の上位モデルについても、そのパフォーマンスには大いに期待ができそうだ。
協力:AMD