エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1472
2024.11.09 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
UEFIの「EZ Mode」でも設定できる「AI Overclocking」。右上の項目を「AI Optimized」にセットするだけと簡単だ |
「ROG MAXIMUS Z890 HERO」は、UEFIや「Armoury Create」上から有効化できる簡易オーバークロック機能の「AI Overclocking」に対応している。機能をオンにするだけの極めて簡単なチューニングだが、それによる効果やマザーボードへの影響を見ていこう。CPUのパフォーマンスをチェックするため、ベンチマークは「CINEBENCH」系の4種類を使用した。
標準ではPL値が250W/250Wに設定されていたところ、「AI Overclocking」を有効化すると無制限に変更されるようだ |
その効果を見ていくと、シングルコアではほぼ同じ結果になり、簡易チューニングによる恩恵はあまりない。その一方でマルチスレッド処理時にはどのテストもスコアが上昇。最大で5%程度スコアが改善したテストもあり、マルチタスク時には効果が見込めそうだ。
ちなみに簡易チューニングによりどのように挙動が変化したのか、動作クロックやPackage Powerをストレステストの「Cinebench 2024:10minutes(Test Throttling)」を使用して確認してみた。なお、テスト実行時は「ROG Ryujin III 360 ARGB Extreme」に内蔵されたVRMファンはオフにしている。
標準設定時における高負荷時のサーモグラフィ | 「AI Overclocking」有効時における高負荷時のサーモグラフィ |
標準時はPackage Powerが概ね220W程度のところ、「AI Overclocking」有効時は約250W前後まで上昇。その影響でPコア/Eコアともクロックが上昇している。その一方で電源回路のヒートシンクをサーモグラフィで確認してみると、チューニングの前後でほとんど違いはなし。表面温度が最大2℃ほど上昇したのみで、大規模な冷却機構の安心感はかなりのものだ。
周囲に風が存在しない環境での検証のため、空冷クーラーや「ROG Ryujin III 360 ARGB Extreme」のようにファンを内蔵した水冷ユニットなどを組み合わせれば、さらなる低温動作や強めのチューニングも問題なしだろう。