エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1473
2024.11.11 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
技術の粋を詰め込んだNoctuaの集大成である「NF-A14x25 G2」。ここまで開発にまつわるエピソードや、スペックシートの内容を中心に解説を行った。そして最終セッションでは、よりテクニカルな部分に踏み込んでいく。
ハイエンド空冷クーラー「NH-D15 G2」の検証記事で、搭載ファン「NF-A14x25r G2 PWM」(ラウンド形状)については解説済みだが、待望の量産モデル「NF-A14x25 G2」(スクエア形状)の製品サイトには、各項目ごとの詳細が記されている。多くのメーカーでは開示しない「技術資料」を惜しみなく開示する姿勢はNoctuaらしく、グラフや図説をふんだんに使った内容は、信頼感の獲得に直結している。
ここで取り上げる内容は一部抜粋(または要約)したもので、より深く冷却ファンについて知りたい場合は、各モデルの製品サイトからひも付けられた資料に目を通して頂ければと思う。Noctuaの冷却ファンを知る事で、決して安価ではない理由が分かるだろう。最後に気になるchromax.black versionのNF-A14x25 G2シリーズについて触れておくと、最新のロードマップ(2024/10)によると2025年Q1のリリースでスケジュールされている。その前にNext-gen 120mm fanのデビューもあるようだ。
NF-A14x25 G2シリーズは、空気力学的設計(aerodynamic design)により、重要とされる中間セクションで静圧とエアフロー(P/Q)の曲線が高くなっている。この特性から、静圧とエアフローを必要とするラジエーターなどの冷却機器と組み合わせることで、最も効果的な性能を引き出すことができるという。
冷却ファンはPCから発生する、最も中心的な騒音源。特にヒートシンクやラジエーターからは不快な高音のノイズが発生してしまう。これを最小限にすべく、NF-A14x25 G2シリーズでは微調整が行われており、背圧に逆らった状態で稼働する場面では、スムーズで心地よい周波数と、低い音圧レベル(SPL=Sound Pressure Level)を生成するようチューンされている。
Noctua独自のProgressive Bend impeller(プログレッシブベンドインペラ)は、連続的にRが付けられた合計9枚の羽で構成。ハブの付け根部分では後方にスイープされ、外側へ行くほど前方へ曲げ角度がつけられているのが特徴。次に触れる遠心タービュレーターハブ(Centrifugal Turbulator hub)と連動し、外側のエリアに空気をより多く押し出す力が生まれるという。
出典(https://noctua.at/en/nf-a14x25-g2-aerodynamic-design-innovations) |
出典(https://noctua.at/en/nf-a14x25-g2-aerodynamic-design-innovations) |
遠心タービュレーターハブ(Centrifugal Turbulator hub)は、タービュレーター(Turbulator)として機能。ハブ領域で発生する流れの付着を改善する効果が期待できる。さらに遠心力により低回転時の低効率なハブ領域から、ブレードの外側(高効率領域)へ向けて空気を押し出し、インペラ全体のエアフローを最適化。インペラ全体のエアフロー効率が向上されている。
これもインペラデザインにまつわる項目で、空気を取り込む吸引側のエアフローを加速させるもの。外周に近い領域でエアフローの流れを速めることで、吸引側の流れの分離が減少。結果的に全体的な効率が向上するため、渦流によるノイズを抑えている。
インペラ末端のウイングレットは、圧力差により発生する先端渦の減少が目的。ただし良い事ばかりではなく、高速度領域における流体変位が発生することで効率が低下するリスクもあるという。そこで両者のバランスをとるべく、NF-A14x25 G2シリーズでは微調整により効率向上が図られている。