エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1474
2024.11.15 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
ここからはゲームプレイ時の挙動を再現するため、長時間のループ実行に対応したゲーム系ベンチマークを利用した検証を進めていく。まずはMMORPGの人気タイトル「ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー」の公式ベンチマークテストをチョイス。グラフィックスは「最高品質」、解像度は3,840×2,160ドットに設定し、テストはこれまで同様に30分間連続で実行した。
なお、ベンチマーク実行中の消費電力は最大485W。システム負荷率は57%ほどだった。
電圧の変動はテスト開始時が最も大きいものの、CPUが1%超、GPUで1%未満の下振れに留まった。Ryzen 9 9950XとGeForce RTX 4080 SUPERを搭載したシステムを問題なく動かせている。
ただしCinebench実行時と似通っているのは、CPUとGPUが同じ動作パターンながら徐々に数値を落としているところ。より負荷が大きいはずのOCCTや3DMark実行時は影響がなかったことから、プログラムによって多少の違いがあるのかもしれない。
ベンチマークテストの最後は、同じく長時間ループに対応した「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の公式ベンチマークを動かしてみよう。解像度は3,840×2,160ドットにセットしつつ、グラフィックス設定は「高品質」をベースに最も負荷がかかるように項目を選択。これまで同様に30分間連続で実行している。
なおベンチマーク実行中の消費電力は、FF14から50W上昇した最大535W。システム負荷率60%を上回る、重量級ゲームタイトルらしい負荷がかかっていた。
テスト開始時に一瞬落ち込むところはこれまで同様ながら、変動幅はどの数値も1%前後。上下のブレがともに限定的で、非常に安定した挙動を示していた。フルロード中は12V前後で推移していたほか、0.1~0.2Vの変動があるのみで常に出力は一定。パッシブ冷却であっても、Ryzen 9 9950XとGeForce RTX 4080 SUPER搭載のシステムを問題なく動かせる信頼性を備えているようだ。
最後は「X Silent Edge Platinum 850」を動かしている際の様子をサーモグラフィで撮影し、放熱の状況をチェックする。起動後何もせず放置した状態をアイドル時、「OCCT 13.1.0」実行時の状態を高負荷時として、どのように温度が推移しているかを確かめてみよう。
アイドル時のサーモグラフィ |
高負荷時のサーモグラフィ |
サーモグラフィ越しにチェックした表面温度は、アイドル時は内部コンポーネントも40℃台程度。しかしストレステストを実行するとたちまち温度が上昇、ヒートシンク形状のフレームも60℃程度になるなど、しっかり熱が伝わっていることが分かった。平均温度の高さからも、広い範囲に満遍なく熱が広がっていることが窺える。「X Silent Edge Platinum 850」の熱拡散は極めてうまく機能しているようだ。
ファンレス電源もここまできたか、というのが「X Silent Edge Platinum 850」の検証を進めながら感じた素直な印象だ。高負荷時には、ヒートシンク筐体に触るのに難儀するほどの熱が伝わっているなど、最新の特許技術を用いた放熱設計は極めて優秀。ハイエンドクラスのパーツ構成を万全に動かせる余裕があり、マシン構築にファンレス電源を絡める難易度はかつてなく低下したように感じる。
もちろん一切の休みなく長時間の負荷を与えるようなシチュエーションには、もとより不向きな点は承知の上。パッシブ冷却の特性を理解しながら運用するなら問題は発生しないはずで、万が一の場合に備えてファン増設用のピンヘッダも備えるなど、「X Silent Edge Platinum 850」の機能に抜かりはない。
しかし「X Silent Edge Platinum 850」の真骨頂は完全ファンレス。どちらかと言えば、ファンレスCPUクーラーなどと組み合わせつつ、無音を活かした構成の一部として運用するのに向いているはずだ。筐体選びやホットエアの誘導などに苦心しつつ、静かなハイエンドマシン構築のワンピースとして活躍させたい。
提供:Cooler Master Technology