エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1477
2024.11.23 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
テストセッションのラストは、「CLICK BIOS X」に実装された1クリックオーバークロック機能「Game Boost」を試していこう。なおメモリクロックについては最も高クロックなDDR5-9200に設定した状態でテストを実行しているが、テスト中に動作が不安定になることはなかった。
「CINEBENCH」系のシングルコアテストについては、いずれのベンチマークでも最高クロックに変化がないためスコアはほぼ横並び。一方で、マルチコアテストについては最も差が小さい「CINEBENCH R15」で約3%、最も差の大きい「Cinebench 2024」では約6%スコアが上昇し、動画や画像の編集、3Dレンダリングなどのマルチスレッド処理ではその恩恵を受けることができる。
アイドル時のサーモグラフィ | 高負荷時のサーモグラフィ |
また「Game Boost」設定時のMOSFET温度を確認すると、Package Powerは275~300W前後まで上昇するにも関わらず、最高70.5℃までしか上がらなかった。放熱面積を最大50%拡大した「ウェーブフィンデザイン」や「ダイレクトタッチクロスヒートパイプ」のお陰で、CPUソケット周りにエアフローが全くない状態でも冷却性能には全く不安はない。
MSIのIntel Z890チップセットマザーボードの中でもハイエンドに位置づけられる「MEG Z890 ACE」。その豪華装備の数々は、そのまま税込約12万円という市場想定売価に反映され、誰にでもお勧めできるマザーボードではない事は明らかだ。
とは言え、「Game Boost」でのチューニングでもびくともしない28フェーズにおよぶ堅牢設計の電源回路や、それを支える強力な冷却システムは、限界までCPUのパフォーマンスを引き出したいユーザーにとっては決して「過剰な装備」ではなく、安心感も含めた魅力的なマザーボードと言えるだろう。さらに最適化したメモリ回路と「Memory Try It!」のお陰で、9,000MHzを超えるようなメモリのオーバークロックもこれまでになく簡単に行うことができる。
さらに10ギガビットLANや、Thunderbolt 4、Wi-Fi 7といった高速なインターフェイスも充実していることから、ハイエンドゲーミングPCのベースとしてはもちろん、クリエイターやAIなどのワークステーションのベースとしても大いに力を発揮してくれることだろう。
提供:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社