エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1483
2024.12.06 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
テストセッションのラストは、AMDのレビューワーズガイドを元にPrecision Boost Overdriveから、「Precision Boost Overdrive Scalar」を「10X」、Max CPU Boost Clock Override(+)を「200」に設定する手動オーバークロックを試してみることにした。
ベンチマークによって若干ブレはあるものの、シングルコアテスト、マルチコアテストとも約3~5%パフォーマンスが向上している。オーバークロックはあくまでも自己責任だが、動画のエンコードや画像処理、レンダリングなど時間がかかる作業を行う場合には手動オーバークロックを試してみる価値はあるだろう。なお今回全てのテストをDDR5-8000の設定で行っているが、不安定な挙動を示すことはなかった。
アイドル時のサーモグラフィ | 高負荷時のサーモグラフィ |
「Cinebench 2024:10 minutes(Test Throttling)」による負荷テストで挙動を確認しても、Package Powerは150W前後、動作クロックは5,150MHz前後で常に安定している。またMOSFETの温度は確認できなかったが、ヒートシンクの温度を確認すると高負荷時は全体的に温度が上昇しており、電源回路から発生した熱を効率よく放熱できていることがわかる。
歴代シリーズでおなじみだったデジタルカモフラージュ柄から、ホワイトで統一したデザインへと刷新されたこともあり、まずその外観の変化に注目した人も多いだろう。しかし従来モデルである「X670E Steel Legend」や「B650 Steel Legend WiFi」に比べると、帯域幅40GbpsのUSB4やMLOに対応するWi-Fi 7などインターフェイス周りの強化は見逃せない。
また高速なPCI Express 5.0(x4)接続のNVMe M.2 SSDを安定動作させることができる両面の冷却機構や、ツールレスで着脱できるM.2ヒートシンクなど、細部にわたって改良が加えられている。欲を言えば、グラフィックスカード用のクイックリリース機構「グラフィックカードEZリリース」が搭載されていればなお良かったが、気になる点といえばその程度だ。
手動オーバークロックでも安定動作を可能にする堅牢な電源回路や、8,000MHzの高クロック動作に対応するメモリ回路によって、Ryzen 7 9800X3Dの性能を存分に引き出すことができる「X870 Steel Legend WiFi」は、Ryzen 9000シリーズのハイエンドモデルとの組み合わせなら間違いなくオススメ。また現在Socket AM5プラットフォームを使用していて、インターフェイス周りに不満がある人にとってもアップグレードパスとして魅力的な存在と言えるだろう。
提供:ASRock Incorporation