Kevin Hu氏
理由は2つあります。80 PLUSの検査項目は3~4ほどですが、Cybenetics社が提供するCybenetics認証は実に細かく、効率やノイズだけでなく電圧レギュレーション、リップル、その他の重要なデータを最小負荷から最大負荷まで、1,450通り以上の組み合わせで検証します。よりユーザーの環境に近いテストとも言えますので、電源ユニットの素性をより明確に把握できるわけです。もうひとつはコストです。80 PLUSの認証を受けるには1モデルにつき約7,500ドルの費用がかかりますが、Cybeneticsはずっと安いです。
編集部
今後はCybenetics認証が指標基準となりそうですね。
Kevin Hu氏
より正確なのはCybenetics認証ですが、80 PLUSについても、ユーザーの認知度が高いため依然として必要でしょう。ちなみにSeasonicは、Cybenetics認定プログラムの立ち上げから協力関係にあるため認証費用については優遇されており、年間契約になっています。
編集部
続いて開発や設計について教えてください。電源ユニット開発において苦労する点はどこですか。
Kevin Hu氏
内部構造の設計です。どのパーツをどこに配置するのかという点に最も多くの時間を使います。また個々のパーツ性能は高いのに、組み合わせると予想外のトラブルが発生する場合も多く、その場合は修正対応を繰り返すことになりますね。
編集部
パーツのレイアウトを決める際に、電源ユニットの奥行きは最初に決めてしまうのでしょうか。
Kevin Hu氏
ある程度の数字を前提として進めるのですが、例えば当初140mmに設定したところ設計の途中でどうしても収まらなくなった・・・という事もありますね。余談ですが、現在は奥行125mmのATX電源を開発中です。
編集部
電源ユニット1シリーズの開発期間はどれくらいかかりますか。
Kevin Hu氏
短いもので半年、長いもので1年程度です。例えば「FOCUS V4 GX」シリーズでは、発売までに約1年かかっています。
編集部
内蔵ファンを選ぶ基準はどこですか。
Kevin Hu氏
まず奥行によりファンのサイズが決まります。最近は、静音性能を重視する傾向があるため、大部分のモデルがFDB(高性能流体動圧軸受)ファンですが、中にはDBB(ダブルボールベアリング)ファン採用品もあります。
編集部
ファンを製造しているメーカーはどこでしょうか。
Kevin Hu氏 HONGHUA TECH(中国・湖南省)という組み込み向けファン専門のメーカーです。著名なメーカーから販売されているファンやグラフィクスカード用冷却ファンの製造も行っています。
Kevin Hu氏
まず日本メーカー製コンデンサは、耐久性、安定性に優れています。また、某海外製のコンデンサでは、スペックシート通りの性能が出ないことが多々ありますが、日本メーカー製コンデンサはスペックシート通りの性能でしっかりと動作するという信頼性があります。我々は「3コン」と呼んでいますが、ニチコン、ルビコン、ケミコンの「3コン」が主要な採用メーカーです。