エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.17
2009.09.08 更新
文:テクニカルライター Jo_kubota
次にSandra 2009のCPUベンチマークを見ていこう。まずは「Processor Arithmetic」だが、総合性能で見ると、Core i5-750はQ9550をわずかに上回る程度。その要因となるのが、浮動小数点演算の「Whetstone iSSE3」の結果に鍵があるようだ。
「Processor Multi-Media」の結果を見てみると、「x2 iSSE2」の結果が、前述の「Whetstone iSSE3」と近い傾向を示していることが分かる。Sandra 2009だけで断じることはできないものの、Core i5-750は、何らかのデチューンが施されているのかもしれない。
もう一つ、CPUテストとしてコア間のパフォーマンスを「Multi-Core Effciency」で見てみると、Core i5-750は、Core i920に比べて著しく低く、なおかつQ9550にも及ばないという結果となった。要因はいろいろ考えれるが、(1)L2キャッシュ容量に依存するケース、(2)Hyper-Threadingが効くケースなどの要因が重なった場合、パフォーマンスが思ったよりも伸びないケースが出てきそうである。
ここからは、実際のアプリケーションにてスコアを見ていこう。
まずは、動画のトランスコードだ。ソースはAVCHD(1920×1080)の5分のソースを、それぞれ、DVDサイズ程度にトランスコードしている。一つ目のアプリケーションは、CyberLinkの「Media Show Espresso」だ。ここでは、ハードウェアの支援機能(NVIDIA CUDA)を有効にしている。その結果は、ある意味、予想どおりキレイに並ぶ形となった。
二つ目はTMPGEnc Xpress 4.0でのトランスコードだ。こちらはCUDAをOFFにして計測している。こちらも並びは、Media Show Espressoと変わらないものの、若干Core i5-750とCore i7-920の差が開いている。Q9550を圧倒するものの、Core i7-920には及ばないというのが実状のようだ。
では、実際のゲームパフォーマンスはどうだろうか。まずは、FPSの「Far Cry 2」付属のベンチマークにて、DirectX 10モード、設定は「VeryHigh」でテストを行ったのが次のグラフだ。高解像度で、Q9550にCore i5-750が劣ってしまうのは、Sandraのテストで見た傾向によく似ている。
続いて、もう少し重いベンチマークということで、「バイオハザード5」の結果を見てみると、Core i5-750は、Q9550を圧倒するばかりか、Core i7-920さえも凌ぐ結果となった。ここまでのテストを見る限り、このスコアは予想しなかっただけに、理由は皆目不明。全くもってナゾの多いCPUである。
巷では、消費電力が低いと言われているCore i5-750だが、実際はどのくらいだろうか。OSが起動してから30分放置した状態をアイドル時、そして3DMark06および3DMark VantageのCPUテストをそれぞれ実行した場合の消費電力を計測したのが次のグラフだ。
Core i5-750はアイドルで101W、Core i7-920は137Wとなり、その差は36Wもある。3DMarkをそれぞれ実行した場合も、Core i5-750はQ9550よりわずかに高い程度に済んでおり、かなり省電力なCPUであることが伺える。