エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.7
2009.05.19 更新
文:テクニカルライター Jo_kubota
続いて、他のECO 80+シリーズもテストしてみよう。
と言ってもCore i7-965 EE+GeForce GTX 285のテストをEES350AWTがクリアしてしまっているため、どこまで耐えるかの負荷テストはあまり意味がない。そこでここからは効率を見ていくことにする。
テーマは「Core i7-965 EE+GeForce GTX 285」でもっとも効率のよい電源容量ユニットはどれか?だ。
Corsair電源ユニットの回でも言及したが、電源ユニットには容量に応じてベストな負荷、つまり効率のよいポイントが存在する。Core i7-965 EEとGeForce GTX 285を使った場合、どの電源ユニットがもっとも効率よく、言い換えれば省電力なのか、という点を見てみようというわけだ。
用意したのは、350WのEES350AWTのほか、以下の製品だ。
「EES400AWT」 ECO 80+シリーズの中でも人気の高いモデルだ |
「EES400AWTのコネクタ」 EES350AWTとの大きな違いとして、PCI Express補助電源コネクタに(6+2)ピンが追加されている |
「ERV850EWT」 ENERMAXが誇る、ハイエンド電源ユニット「REVOLTION85+シリーズ」。写真は850Wだが、950Wモデルも外観は変わらない |
「ERV850EWTのコネクタ」 デバイスケーブルなどはすべてモジュールコネクタを採用し、繁雑になりがちなPCケース内をすっきり配線することができる |
REVOLTION85+シリーズは、12Vが6系統、すべて30Aというモンスター電源ユニットでありながら、80PLUS SILVER認証を受けた非常に効率の高い製品だ。この電源ユニットについては、改めて別記事で紹介したい。
さて、EES350AWTと同じテストを電源ユニットごとに行ったのが、グラフ4だ。
アイドル時は500WのEES500AWTがもっとも低く120Wを記録、逆にREVOLTION85+シリーズの2製品は5W高い、125Wを記録した。次にCPUの負荷テスト、OCCT CPUだが、これはほとんど差異はなく同列に並んでいる。
様相が異なってくるのが、OCCT GPUテストだ。350WのEES350AWTが最も高い384Wを記録し、最も省電力だったのはREVOLTION85+シリーズの850Wモデルとなった。最後に、OCCT P/Sテストを行ったが、こちらもOCCT GPUテスト結果に準じた並びとなっている。
グラフの結果から、Core i7-965 EE+GeForce GTX 285でもっとも効率がよいのは620WのEES620AWT、850WのERV850EWTの2つということが分かる。別媒体で筆者が独自に設定した電源ユニットを選ぶ計算式を、ここでも披露しておくと、
この合計値に1.5を掛けたぐらいが、効率よく、なおかつ適正と思われる電源ユニットの総容量となる。
今回の使用した機材の合計を計算すると、
となるので、これに1.5を掛けると、651Wとなる。この数字はちょうど620Wと850Wの間となり、どちらかの電源ユニットを選べば、最適というわけだ。
1.5を掛けているのは、効率よく使える容量を算出するに必要な数字。ほとんどの電源ユニットがもっとも効率を発揮できるのは負荷が45~70%くらいの間のため、70%の逆数を求めると1.43くらいになるが、これでは暗算が面倒なので1.5としている。ちなみに1.5の場合は、想定される負荷率が約67%となる。
これをEES350AWTに当てはめて考えると、80PLUS認証ということで最大80%とすると、システム構成が280Wまでということになる。Core i7 965 EEを使う場合、上の計算式で算出すると、80Wくらいまでのグラフィックスカード、例えばATI Radeon HD 4770や、GeForce 9600 GTなどで使うのが望ましい、ということになる。
筆者が改めて力説することもないのだが、この電源ユニットは本当に静かだ。EES350AWTにムチを打ったテストでは、半ば強制的に電源ユニットのファン回転数を上げさせるという効果もあったが、それでもCPUクーラーやGPUクーラーの音にくらべれば圧倒的に静かで、ファン回転数が上がっていることを視認しつつも音が大きくならないのは不思議な感じもする。
今回は、普通の媒体では絶対スルーするであろう、EES350AWTにフォーカスをあてて、あれこれ試してみたが、予想を超える結果に筆者も少々驚いている。無論、前項で述べたように、効率よく使える範囲を超えて、常に105%などという状態で使うことは、どんな電源ユニットであっても、寿命を縮めることになる。よって、良い子の皆様は真似をしないで欲しい。また、OCCTによるP/Sテストは、本当に負荷の高いテストなのでCPU温度やGPU温度が極端に上がり、思わぬ故障を招く恐れもある。万人にお勧めできるテストではないので、OCCTを使う場合は、くれぐれも自己責任でお願いしたい。(ちなみに予備テストで、筆者所有のグラフィックスカードが1枚壊れました)
さて、テスト結果のみに登場した、ENERMAXの「REVOLUTION85+シリーズ」については、また後日改めて、大容量向けの負荷テストレポートをお届けする予定なので、乞うご期待!