「エルミタ的速攻撮って出しレビュー」
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エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vo.142 -自作派なら1度はやってみたい- 身近になった極冷 サイズ「EXTREME COOLING CUP」
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テストを開始、極冷体験の始まり 〜実践編〜
諸々の下準備が終了したところで、いよいよテストセッションに入る。まずはパーツ類が正確に取り付けられているかを確認し、塗布したグリスを馴染ませるという意味も含め、冷媒を投入しない状態で一度PCを起動する。あまり放っておくとPCが落ちてしまうが、目安としては「EXTREME COOLING CUP」本体がほんのり暖かくなる程度。動作テストも兼ねて比較的軽めのベンチマークを回すのもよい。
養生も終わり全てのパーツ類を接続して準備が整ったテストPC。ようやく極冷体験のスタートとなるが、まずは暖機運転が必要だ。慌てず動作テストも兼ねた起動確認をしておこう
暖機運転が終了したら、いよいよ冷媒となるドライアイスの投入だ。金鎚を使って砕いた小片をCoolig Cupの半分程度まで入れる。その後、無水エタノールを注ぎ込む。この時注意したいのが、エタノールの入れ過ぎ。ドライアイスは気化するため投入量は問題とならないが、エタノールは水分なので注ぐほどにたまっていく。そこで予めCoolig Cupの3分の1程度、多くても半分程度にしておきたい。ドライアイスの投入量によっては、Coolig Cupからエタノールが飛び散る可能性もあるのだ。
また冷却を行うにつれ、その温度差が原因でカップ本体の締め付けが甘くなる場合もある。その際はリテンションの“増し締め”を行い、圧力がキッチリとかかるように調整するのも忘れないようにしたい。
ドライアイスをカップに入れやすいサイズまで砕く。前述通り、直に触れるのは危険なので軍手などを用意しておく。なお液体窒素冷却の際は、なるべく液体を通さない革製の着用が必要だ
続いて無水エタノールを注ぎ込む。ドライアイス独特の白煙とコポコポという音を小刻みに上げながら、周囲は冷気に包まれてゆく
ものの数秒で-60℃を突破し、カップ本体には結露が発生。キンキンに冷えた状態となった。ここまでくればオーバークロックを開始しても問題ない。ちなみに、PCの電源は入れたまま、暖機からそのまま極冷に入って問題はないとのこと
しっかり目標の温度まで冷えたのを確認したら、オーバークロックおよびベンチマーク計測に入る。まずはオーバークロックアプリケ―ションを使い、動作クロックや電圧の変更を行う。その後、うまく動作しない場合は各種の設定を見直し、最適な数値を探る。ベンチマーク実行中は負荷がかかるため温度変化も激しい。冷媒の加減も見極めながらの温度調節も必要だ。これらの作業を繰り返しながら、空冷では味わえない“極冷”オーバークロックを楽しむというわけだ。
空冷の世界では考えられないような設定もなんなく可能となる極冷。冷媒の加減も見極めながらの温度調節もあるなど、オーバークロックがより楽しめる
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身近な極冷のためのマメ知識 〜極冷によるスコアメイク〜
「EXTREME COOLING CUP」開発に携わったOVERCLOCK WORKSの渡邉氏
ここまで来ればあとは使う側の腕次第。オーバークロックを存分に楽しんでほしいところだが、押さえておきたいポイントをもうひとつ紹介しておこう。
覚えておきたいのは基本的な“詰め”の設定は、OS上で動作するオーバークロックアプリケ―ションを使うこと。BIOS上の設定から無理な状態で起動した場合、故障の原因となり易いからだ。電圧設定などを行う際には空冷の限界値でBIOSを起動し、その後OCツール等で詳細な設定を詰めていくという方法がオススメだ。例えば「液体窒素なら電圧2V、クロック6GHzなどといった設定でいきなりBIOS起動するパターンもある」(OVERCLOCK WORKS)ようだが「最初は空冷で1.4Vあたりが限界なら、そこからスタートするのがよい」とのこと。
それに付随し、空冷/水冷でのオーバークロックの場合は起動しない設定でも、極冷の場合は立ち上がることがある。その場合、無理が生じて壊れる原因となるという。今まで到達できなかった設定をあまりにあっさりとクリアするので、より過剰な設定にしてしまい、その結果壊れてしまう。極冷といえどもオーバークロックは慎重に行いたい。
“極冷”ではあまりにも簡単に到達するクロック6GHz(FX-8150使用時)。とはいえ、常に壊れる危険性をはらんだ電圧設定となっているという点を忘れてはならない。オーバークロックを楽しむリスクも十分考えておくのが大人の遊びというもの
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“極冷”は見切りが肝心、テスト終了から撤収へ
“極冷”オーバークロックを楽しむ際は“引き際”が肝心。しっかり養生を行ったとしても、数時間にわたる極冷は、やはりパーツに過度な負担をかけるだけでなく、動作も不安定になる。ここでは撤収までのプロセスを確認しておこう。
とにかくマザーは通電していなければ、多少濡れても平気。まずはマザーボードに接続されている電源ケーブルやグラフィックスカード、メモリなど可能なパーツ類は全て外す
Cooling Cupは手で持ってグリグリと左右に動く程度まで放置、あるいはドライヤーなどで温める。凍った状態でそのまま取り外そうとすると、凍結し強力に固まったグリスが剥がれずに、CPUがソケットごと“スッポン”する可能性もあるので要注意
Cooling Cupを外したら、マザーボードをドライヤーやエアダスターを使い乾燥させる。言うまでもなくしっかり乾燥させないと故障の原因になる。念には念を入れキッチリとおこないたい作業だ
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ようこそ「CPUの極冷」の世界へ
自作ユーザー全体から考えると、“極冷”に挑むオーバークロッカーは稀な部類になるだろう。そんなコアユーザー向け製品である「EXTREME COOLING CUP」が製品化されたことは、大いに歓迎したい。
これまではハードルが高かった、大掛かりな“極冷”。空冷や水冷の限界を一気に超える冷却能力が体験できるアイテムがリリースされたことで、自作PCの“もうひとつの楽しみ方”がより身近になったことは間違いない。世界のオーバークロッカーが競い合う、数多あるオーバークロックコンテストにエントリーできる準備は整った。
機材協力:株式会社サイズ
取材協力:OVERCLOCK WORKS
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