2009年9月8日、販売解禁と同時に一斉販売がスタートした新アーキテクチャ、Intel P55 Expressチップセットと、その対応プロセッサとなるLGA1156 LynnfieldことCore i7 8xx、Core i5-750。発売日がちょうど月曜日0:01とあって、恒例となった秋葉原PCパーツショップによる深夜販売は22:00頃から各ショップで用意された“深夜販売向け特価品”はやや盛況となった反面、終電が迫る解禁時間の頃には少々寂しい状況となってしまった。
確かに今回のモデルはミドルレンジクラスの普及帯となり、睡眠時間度外視で誰よりも早く手に入れたいという欲求の強い自作マニアの琴線にはやや触れにくかった点は否めない。とはいえ興味が尽きたわけでは決して無く、Core2世代からのバトンタッチをすべく、各社こぞってそれに対応するパーツを市場にどんどん投入してきた事は、今年最後の大きなトピックスとなっただろう。(除く:Windows 7)
しかしながら今回のP55 Expressマザーボードは、どう選んでよいか解らない程のラインナップの多さで各ショップも我々メディア側もたいへんな事態に陥った。ラインナップが豊富=選択肢が多いという図式が成り立つと安易に思いがちだが、逆に特定のモデルに一極集中してしまう恐れもあり、購入する側(ユーザー)も発注する側(バイヤー)も非常に悩ましい所だ。
そんな混乱醒めやらぬ中、まだまだP55チップ搭載マザーボードが後に控えている事を忘れてはいけない。発売解禁日は毎度お馴染みのメーカーがずらりと陳列棚を埋めたワケだが、一段落したところで“伏兵”が登場するのも慣例で、今回はその中の8枚を紹介したいと思う。
■意外に登場が早かったEVGA P55 Expressマザーボード
ハイエンドクラスのグラフィックスカードベンダーというイメージが強いEVGA(HQ:アメリカ・カリフォルニア州)から、早くもP55マザーボードが登場している。
発売解禁日に登場したのは、「EVGA P55 FTW」(型番:132-LF-E657-KR)と「EVGA P55」(型番:132-LF-E655-KR)の2モデル。ちなみにEVGAグローバルサイトではこの他にATXで3モデル、MicroATXで1モデルがラインナップされている。
発売が始まった「EVGA P55 FTW」(実勢価格税込29,000円前後)は、拡張スロットにPCI-Express2.0(x16)x2、PCI-Express(x4)x1、PCI-Express(x1)x1、32bitPCIx2を備え、NVIDIA 2-way SLIとATI CrossFireX両対応となる上位モデル。12+2フェーズPWMのVRMを備える他、DDR3メモリソケット2600MHz(OC)サポートの4スロットとなり、ストレージはSATA2(3Gb/s)x8でUltraDMA133は省略されている。
一方の「EVGA P55」(実勢価格税込25,000円前後)は、同じくNVIDIA 2-way SLIとATI CrossFireXに対応し、拡張スロットを初めとするスペックは同様。ただしVRMが8+2フェーズPWMとなる他、対応メモリも2200MHz(OC)で、上位モデルとの差別化が図られている。
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「EVGA P55 FTW」(132-LF-E657-KR) |
「EVGA P55」(132-LF-E655-KR) |
なおこのモデルをはじめとするEVGAのP55 Express搭載マザーボードで目を引くのは、「EVGA Duble Play Heat Sink」。各モデルにはLGA1156用とLGA775用のCPUクーラー取り付け用の穴が設けられており、Intelの微妙な“変化球”によりピッチが違う両CPUクーラーにも対応できるようになっている。ユーザビリティとはまさにこういう点を指し、Intelには大いに見習って頂きたい所だ。
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丸で囲んだ部分が「EVGA Duble Play Heat Sink」と呼称するLGA1156およびLGA775の各CPUクーラー取り付け用穴。これは象徴的な絵柄で、たったこれだけのピッチ違いにより、CPUクーラーメーカーもユーザーも資産活用が妨げられる事になっている。ちなみにEVGAでは「EVGA Duble Play Heat Sink」に野球のボールをイメージに使用している。2者の出塁をEVGAが“併殺”にしたという事が言いたいのだろう |
また現時点発売は確認されていない、その他EVGAのP55 Expressマザーボードは以下4モデル。紙幅の関係上、各詳細は製品URLよりご確認いただくとして、特筆すべきは「EVGA P55 Micro」(型番:121-LF-E652-KR)で、MicroATXながら、NVIDIA 2-way SLI、ATI CrossFireXに対応する。カラーリングから一瞬ASUSTeKの「Maximus III Gene」を連想させる1枚で、こちらの10フェーズの電源回路に対しEVGAは6+2フェーズとなっている。なお価格は179.99ドル(USD)。
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「EVGA P55 Classified 200」(160-LF-E659-KR) |
「EVGA P55 FTW 200」(141-LF-E658-KR) |
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「EVGA P55 LE」(123-LF-E653-KR) |
「EVGA P55 Micro」(121-LF-E652-KR) |
■DFIもLANPARTY DKシリーズを用意。ECSもラインナップ
DFIは、LANPARTY DKシリーズ「LANPARTY DK P55-T3eH9」がグローバルサイトにラインナップされている。 9フェーズ電源回路を装備し、4本のDDR3メモリスロットは、1800MHz(OC)までをサポート。拡張スロットは、PCI-Express(2.0)x2、PCI-Express(x4)x1、PCI-Express(x1)x2、32bitPCIx2で、NVIDIA 3-way SLIおよびATI CrossFireXに対応する。
ストレージは、SATA2(3Gb/s)x6(P55)+ x2(JMB322)等となり、JMicron JMB363のPower eSATA x1を装備する。
また、少々おとなしい印象のECSもすでにP55マザーをラインナップしている。「P55H-A (V1.0)」は、「ECS 2009 Black Series」として発表された1枚で、マルチグラフィック機能はATI CrossFireXのみ対応。拡張スロットは、PCI-Express(2.0)x2、PCI-Express(x4)x1、PCI-Express(x1)x1、32bitPCIx1で、ストレージにSATA2(3Gb/s)x6、Ultra DMA133x1、eSATAx1を備える。なおメモリは、DDR3 x4で、2130MHz(OC)までが明記されている。
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DFI「LANPARTY DK P55-T3eH9」 |
ECS「P55H-A (V1.0)」 |
このように、“伏兵”とするには憚られる製品群がまだまだ控えている。さらにCOMPUTEX TAIPEI等で発表されているモデルを含めると、本当の“伏兵”が用意されているかもしれない。初回から40枚近いP55 Expressチップ搭載マザーボードがラインナップされ、早くも食傷気味な貴兄も多いと思うが、ここはひとつ気を引き締めて(?)今後の魅力的なモデルの登場も楽しみたいと思う。 |