SAMSUNG電子(本社:韓国ソウル)は2011年4月19日、同社のHDD事業をSeagate Technology(本社:アメリカ カリフォルニア州)に売却する事を発表した。
■加速するHDD業界再編。早くも消耗戦突入の声も
2011年3月7日、HDD事業世界第1位のWesternDigital(本社:アメリカ カリフォルニア州)が株式会社日立グローバルストレージテクノロジーズ(HGST/本社:神奈川県小田原市)のHDD事業買収発表に続き、今度は韓国SAMSUNG電子が同社のHDD事業を世界第2位のシェアを持つSeagate Technologyへ売却する事が明らかになった。Seagateからは既にプレスリリースが配信されている。
発表によると、今年内にSAMSUNGのHDD事業を譲渡。Seagateから現金6億8,750万ドルおよびSeagate株9.6%(4,520万株/6億8,750万ドル相当)を譲り受ける事で合意した。SAMSUNGは赤字事業であるHDD部門を手放す事で自社ブランドのPC生産コストを削減。SeagateからHDDの安定供給を可能とする狙いがある。
今回の合意により、両社は既存特許クロスライセンス契約を拡大させる事で、SeagateはSAMSUNGの出資によるSSD用NANDフラッシュメモリ供給のメリットを活かし、Intel Corporation(本社:アメリカ・カリフォルニア州)およびMicron Technology(本社:アメリカ アイダホ州)の圧倒的シェアに攻勢を掛け、SAMSUNGが得意とする中国や東南アジアマーケットの顧客拡大を狙う。
なおSAMSUNG製HDDの磁気ヘッドを供給するTDK株式会社(本社:東京都中央区)は厳しい立場に追いやられそうだ。HDD部門売却先であるSeagateは内製率が高く、供給減少という話が出ている。ただしSeagateからはこの件に関し、「TDK海外グループ会社SAE Magnetics Ltd.(本社:香港)との関係は強化されるだろう」という内容の声明も発表されており、真意のほどは定かではない。
先に発表されたWesternDigitalのHGST買収と、今回のWesternDigitalとSAMSUNGの合意により、年度末までに2大勢力体制によるHDD業界再編が完了する見通し。ただし、現在のHDD価格下落から、業界に精通する関係者からは早くも「2大巨頭による消耗戦に突入する」との見方もある。 |