株式会社サイズ(本社:千葉県市川市)から発売予定となっている、極冷用CPUクーリングカップ「EXTREME COOLING CUP」(型番:RECC-01)。秋葉原のパーツショップ「OVERCLOCK WORKS」では予約受け付けをはじめるとともに、来店者に向けたデモも実施している。
■極冷オーバークロック挑戦のハードルを大幅に下げるコラボアイテム
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サイズと冷却機器メーカーREEVEN、PCパーツショップ「OVERCLOCK WORKS」とのコラボレーションモデルとして発売予定の極冷用CPUクーリングカップ「EXTREME COOLING CUP」 |
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デモ機はASUSTeK製マザーボード「Crosshair V Formula」とCPUにAMD「FX-8150」を搭載。また製品には取り付けマニュアルが付属する。さすがに自作初心者でもというわけにはいかないが、オーバークロックをより楽しみたいと考えている中級以上のユーザーならば試してみる価値はある |
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サイズと冷却機器メーカーREEVEN、さらに秋葉原に店舗を構えるPCパーツショップ「OVERCLOCK WORKS」とのコラボレーションモデルとして発売予定の「EXTREME COOLING CUP」は、これまで入手が難しかった冷却升を“極冷入門用”として製品化したアイテム。
専用リテンションにより特殊なベンチ台を必要とせず、入門用としてドライアイスなどを用いた手軽な極冷が楽しめるのが特徴。ボディ素材はアルミニウム(AL-6063)、樹熱ベースおよびCPU接触面には銅(C1100)を使用。ボディ断熱材は-200℃〜125℃までサポートされたAREOFLEXで、本格的な液体窒素冷却にも対応する。
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対応ソケットはIntel LGA2011/1366/1155/1156/775、AMD Socket FM1/AM3+/AM3/AM2+/AM2。底面部には熱電対温度計用のセンサー差込口付も用意されている |
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週末の「OVERCLOCK WORKS」を訪れると、同店の渡邉氏が早速実演してくれた。使用するデモ機は、ASUSTeK製マザーボード「Crosshair V Formula」とCPUにAMDの「FX-8150」を搭載したマシン。発砲スチロールに保管されていたドライアイスの板を、慣れた手つきで金づちを使い小さく砕いてゆく。デモ機にセットされた「EXTREME COOLING CUP」の周囲には「なんでも良いですが、念入りに敷き詰めてください」という結露防止のティッシュペーパーがメモリスロットやVRM周りに詰め込まれた。
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極冷に使用するドライアイスは大凡約3kgで2300円程度とか。「EXTREME COOLING CUP」に入れると、中から白煙がモクモクと発生。見ているだけで冷えそうな印象だ |
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詳しくは科学のお話なので割愛するが、エチルアルコールを使うことでより冷却されるという寸法。さらに冷やしたい場合は液体窒素を使用する |
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電源を入れたデモ機のCPU温度は、ほぼファンレス状態(「EXTREME COOLING CUP」の外側から120mmファンの風を当てていた)のためにグングン上昇してくが「では、始めます」というかけ声とともに、砕かれたドライアイス片が投入される。さらに「エチルアルコールを使うとより効果的です」と、少量を注ぎ込む渡邊氏。ドライアイス独特のポコポコという小さな音を立てながら、いかにも冷えていますと言わんばかりに「EXTREME COOLING CUP」の周囲が凍りつきはじめた。接続された温度センサーの表示も、ほんの数分も経たずにマイナスを計測。
その間も同氏は「ドライアイスを使った極冷ですが、実はハードなオーバークロッカーにとっては難しいものなんです。液体窒素のほうが蒸発しますので温度調整がし易いんですね。AMD系の石は冷やしてなんぼというところがありますが、Intel系の石は意外と温度をキープしてやらないといけない場合もあったり。微調節していると結露も出やすくなりますし」と分かり易い説明を交えながら、作業を続けていく。
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何度か繰り返すうちに計測温度はマイナス30度を突破。指でカップの淵に触れると、そのままくっつく場合もあるので危険。容器は完全に凍った状態だ |
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3回目にドライアイス片を放り込んだあたりだろうか。ついに計測温度がマイナス30度を突破した。「では、少し回してみましょう」ということで、CPUのオーバークロックをスタート。いきなりCPUコア電圧の設定スライドを1.6V(FX-8150の定格電圧は1.2625V、クロックは3.6GHzだ)まですっと上げる。空冷や液冷クーラーでは完全にアウトな設定と思われるが、さすが極冷。5.7GHzを突破したところでCPU-Zを取得。その後も6GHzオーバーまでの動作を確認することができた。
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やはり極冷となると別の世界。空冷の場合にはまずあり得ないCPUコア電圧の設定は、のっけから1.6Vに。調子にのって上げるとCPUが壊れるので注意したい |
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「え?こんなに簡単に6GHz越えするの?」というほど呆気なく6GHzまでオーバークロックされたのだが、同氏いわく「そうなんです。空冷だとおそらく1.5V前後が限界かと思いますが、ドライアイスを使った極冷の場合、誰でも1.6V程度なら入って(動いて)しまうんですよ。ただ、そこが注意点でもあり、入るからといってどんどん上げていっては危険です。おそらく1.8V〜1.9Vあたりまではいけると思いますが、2.0V前後になると完全な危険ゾーン突入です。おそらく壊れるので、回るからと言って上げすぎないことですね」とのこと。なるほど、確かに奥が深いオーバークロックの世界。なんだか遥か向こう側だと思っていた極冷ワールドが随分身近に感じられた体験となった。
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CPUコア電圧1.632V、クロック周波数5719.0MHzでまずは記念ショット。このあと数回フリーズを繰り返したが、6GHzはあっさりと越えていった |
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同店では現在19,800円(内金として2,000円)で予約を受け付け中。発売は4月18日頃予定している。実際に渡邊氏によるデモを体験したいというユーザーは、4月14日(土)と21日(土)もデモの準備をして待っていますとのことなので、少しでもオーバークロックに興味のある人は是非一度体験することをお勧めする。
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まずは「極冷が初めてなんです」という人こそ大歓迎。手始めにデモだけでも見ておく価値はある。同店を訪れ、気軽に相談してみるとよいだろう |
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