自作PCユーザーなら一定周期で必ずシステムドライブを換装する機会が巡ってくる。特に最近はパフォーマンスに優れるSSDの台頭が著しく、これまでHDDを使用してきたユーザーにとっても、SSDへシステムドライブを切り替えるタイミングは熟しているといえる。
今回はそんな境遇のユーザーにピッタリなシステム環境移行用のデバイス、Apricorn, Inc.(本社:アメリカ カリフォルニア州)製の「SATA Wire 3.0」を取り上げる。国内正規代理店の株式会社アスク(本社:東京都千代田区)の協力のもと、ユーザーを面倒なOSインストール作業の苦労から解放してくれる「SATA Wire 3.0」の魅力について検証してみよう。 |
|ユニークで確かな製品を送り出すApricorn
検証の前に、まずは発売元となるApricorn社について簡単に触れておこう。トライアングルのロゴが特徴的なApricornは、アメリカ・カリフォルニア州を本拠地とするストレージメーカーだ。PCI-Expressストレージの自作キット「Velocity」シリーズや、指紋認証システムを備えた暗号化ストレージ「Aegis」シリーズなどユニークな製品群を世に送り出していることで知られている。
そのApricornから今年の2月より国内で新たに販売を開始されたのが今回の主役「SATA Wire 3.0」だ。同梱されるクローンソフトウェア
「EZ Gig W Cloning Software with Date Select for Windows」(以下:EZ Gig Cloning Software)も同社の開発によるもの。ラインナップには企業ユースの製品も多く、パフォーマンスや信頼性には定評があるだけに、「SATA Wire 3.0」の使い勝手がどのようなものかは今から気になるところだ。
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SATA to USB変換ケーブルとクローンソフトウェアがセットになった「SATA Wire 3.0」。USB3.0に対応し、高速な転送速度が期待される |
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|とかく面倒なシステム移行手段の正解とは
さて、そろそろ本題に入るとしよう。今回取り上げる「SATA Wire 3.0」は、Serial ATA(SATA)のHDDをUSB3.0に変換するためのケーブルと、クローンソフトウェア「EZ Gig Cloning Software」がセットになった製品だ。
そもそもOSブート領域を含むシステドライブのデータ移行は、単純にドライブを接続してコピー&ペースト、というわけにはいかない。そのためにWindows Vista以降にはシステムイメージの作成機能が搭載されているものの、イメージ作成元ドライブよりも小さい容量のドライブを移行先に指定できないため、ほとんどの場合でSSD移行に対応できないところが難点だ。その代わりに様々なクローンソフトウェアが巷に出回っている事はご存じの通り。ただし中には多機能過ぎることで難解なソフトウェアも多く、さらにできる限りコストは掛けたくないと考えている人は筆者だけではないはずだ。
つまり早い話が、接続したドライブを1on1で、かつクリック一発で簡単にシステム移行をやってくれるような低価格なソリューションが欲しいわけである。そこでこの「SATA Wire 3.0」が登場するというわけだ。
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SSDを装着した「SATA Wire 3.0」。大きさを比較すると、非常にコンパクトなのが見て取れる |
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実用性の鍵を握るクローンソフトウェア「EZ Gig Cloning Software」。Apricornが開発し、同社製のデバイス以外には対応しない |
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|シンプルな構成の「SATA Wire 3.0」。実勢価格約3,000円の価値は試してから見えてくる?
「SATA Wire 3.0」の構成はいたってシンプル。前述の通り、内容物は変換ケーブル(SATA Wire 3.0本体)とソフトウェアCDの2つだけで、それらが簡便なブリスターパッケージに収められている。
コネクタ部分はSATAコネクタと電源コネクタが一体化したタイプで、見た目にもコンパクトな印象。そのため外部から電力を供給することはできず、利用できるドライブはバスパワー駆動が可能な2.5インチHDD、もしくはSSDに限られる。加えて、ケーブル長は実測値で約15cmほどと短いため、デスクトップPCの背面ポートに接続する場合は延長ケーブルを用意した方がいいかもしれない。
ちなみにパッケージには「Notebook Drive Upgrade Kit」とはっきり明記されていた。
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「SATA Wire 3.0」のコネクタは、SATAコネクタと電源コネクタの一体型だ。変換コントローラなどもここに収められている |
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USBコネクタ部分は信号劣化を抑える金メッキ処理が施されている。3.0対応を示すブルーの端子がのぞく |
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ケーブルの長さからも本来はノートPC用か。バスパワー動作のため、3.5インチHDDには対応しない |
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ちなみに「SATA Wire 3.0」の市場における実勢価格は約3,000円(2012年4月現在)。専用コネクタとソフトウェアのセットでこの値段ならば筆者にとっては十分許容範囲内。次から実際に検証を行い、この価格が妥当なのか否かをじっくりとみていく事にしよう。 |