「エルミタ的対談」
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短期連載Vol.2 日本と台湾ではこんなに違う・エルミタ的対談「台湾自作PC事情を聞いてみる」
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SSD人気は日本特有の現象なのか??
編集部)
さて、注目のアイテムSSDについてお伺いします。日本市場では容量単価が落ち始めた昨年から本格的なSSDの時代が始まったという感があります。当然これは日本だけでなく、業界的にもビッグウェーブ到来といったパーツになるわけですが。
Patrick)
台湾では売れていません。
編集部)
そうなんですか?
Patrick)
そんなに売れていないというのが本当のところです。もちろん掲示板では話題になっている事は間違いありませんが、やはりハードディスクに比べて容量単価がまだまだ高い事がネックです。スピードを追求するユーザー、たとえばオーバークロックをするような人が購入していますが、日本のような普及の仕方はしていません。
編集部)
確かに容量を単純にハードディスクの価格で比べると異常に高いという事になりますね。でも日本市場ではそこを超越した所に価値を見いだしているユーザーが多く、技術的に平均化されてしまうとNANDフラッシュという性格上、段階的に価格競争の時代に入っていってしまうのではないでしょうか。そうなると台湾ユーザーも飛びつく。
Patrick)
それはあるかもしれません。ただし価格競争は歓迎できるものではありません。
これはどのアイテムにも言える事ですが、価格競争になって得をする人は誰もいないんです。メーカーは利益が無くなるし、代理店も薄利でやらざるを得ない。またショップも厳しい中でたくさん売っても利益が出ない。その中でもユーザーが一番得をしているように思えますが、結局コストダウンによるクォリティの維持が難しくなる事や、構成部品が粗悪な製品が知らない間に使用される等、影響はあるはずです。この件に関してはどの会社でも一番の問題になっています。
編集部)
PCパーツは特に本格的価格競争に陥ってから淘汰されてしまった企業も多くなっているという面はありますね。このままだと大手しか残らなくなってしまうし、その大手が経営難に陥るとたいへんなインパクトと共にあちこちでダメージを受ける。非常によろしくない状況ではありますね。
Patrick)
SSDに話を戻すと、欲しいと思っている人はたくさんいると思います。ただメディアを中心に話題になっているだけで、冷静に見るとそれほど普及していないのではないかと思っています。欲しいのはストレージの容量であって、スピードへの要求はそれに勝るものではありません。もちろんその他の利点は十分理解していますが。
編集部)
これまでのお話から、台湾ユーザーの気持ちは解るようになってきました。超合理主義で見習うところがありますね(苦笑)。
Patrick)
個人的には欲しいアイテムです、SSDは。
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新しくなった台湾版秋葉原・光華商場の今と昔
台湾の熱心な自作ユーザーで賑わう光華商場“光華数位新天地”
編集部)
ではここからはパーツショップ事情について聞かせてください。
光華商場
は昔に比べすごく綺麗になりましたね。
Patrick)
はい、ビルが建って今はパーツショップがたくさん入っています。
編集部)
個人的には昔の方が好きです。古き良き秋葉原のイメージがそこにはありました。ところで光華商場と秋葉原の違いはどこに感じますか?
Patrick)
秋葉原のお店はどこも綺麗です。それに広いですね。台湾のお店はごちゃごちゃしている上、とても狭いです。あとは店員さんが秋葉原は親切ですが、台湾は買わない人にはすごく冷たい(笑)。文化の違いを感じます。
編集部)
以前の光華商場は、間口の小さなお店がひとつの建物にびっちり詰まっていましたよね。あれが良かったんだけどなぁ。
Patrick)
光華商場にはたくさんお店があります。200店舗くらいはあると思いますが、実は多くのお店は同じオーナーという話があります。
編集部)
そうなんですか?
Patrick)
はい、店員さんでも知らない人が多いようですが、上層部は同じ人物という事が非常に多いです。見た目や取り扱いアイテムはばらばらだし、時にはライバル店のように見えますが、ワンオーナーという事です。あと面白いのは、以前はほとんど店頭の商品に価格が掲示されていませんでした。気付きましたか?
編集部)
気が付きませんでした。という事は、お客さんは店頭で個別に価格を店員さんに聞くのでしょうか?
Patrick)
はい。これには理由があります。スパイが多いからですね。価格を他のお店に知られたくないという事です。だからお客様は店員さんに欲しいアイテムがあれば聞くしかないんです。
編集部)
なるほど、ワンオーナーでもお店をライバル関係にして競争させているわけですね。
Patrick)
ちなみに電話での問い合わせも答えてくれませんでしたよ。徹底しています。今では秋葉原のように価格表を作って張り出されています。
八徳路電気街
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社員割引はあるのか?
Patrick)
実は学生時代に光華商場でアルバイトをしていました。
編集部)
そうなんですか。だから裏事情にも詳しいわけですね。Patrickさんは自作が好きだからアルバイト時代は色々得をしたんじゃないですか?
Patrick)
それはあまり感じませんでした。確かにパーツに囲まれての仕事は楽しいですが、社員割引のようなものは存在しませんでした。
編集部)
日本のショップでは社員割引が当たり前のようになっていますが、そういうメリットはないんですか。
Patrick)
逆に高くなりますよ(笑)。店頭価格はお客様のために安くしている価格なため、非常に薄利になっています。そんなアイテムでこれ以上の割引は社員でも認められないし、逆にお客様じゃないんだから普通の価格で買えという事ですね。ここも合理的といいますか、徹底されています。
編集部)
厳しいですねぇ。確かに日本でもCPUやハードディスクなどは驚くほどの薄利なので、社員割引が適用できない事はあると思いますけれど。そういえば台湾のショップさんで通販はやられているんでしょうか?
Patrick)
あまり成熟していません。これは国土の問題もあると思います。台湾は日本のように広くない上、バイクでみんな直接買いに行ってしまいます(笑)。バイク多いでしょう?ただ一部では日本のように自社サイトでの通販ではなく、Yahoo!やamazon、日本の楽天のようなポータルサイトでの通販を行っています。
編集部)
欲しければ自分で買いに行くという精神ですね。台湾国内の送料が高いのかなぁ。
Patrick)
いえ、日本よりも台湾は安いですよ。それでも通販はあまり利用しない。
編集部)
自分の目で見たいというのもあるんでしょうね。解るような気がします。
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ポイント制度と驚くべきレシート宝くじ事情
編集部)
ちなみに光華商場の裏の通りに出ると、量販店のような規模のお店がありますよね。
Patrick)
はい。その辺りは昔とあまり変わっていません。
編集部)
ちょっと思ったのですが、日本には量販店クラスになると、ポイント制度というものがあります。ご存じですか?
Patrick)
はい。日本には頻繁に来るので、自分でも持っています。よく利用します。
編集部)
台湾の量販店でもポイント制度は存在するのでしょうか。
Patrick)
はい。ただし日本の量販店のように5%や10%などありえません。せいぜい2%程度じゃないでしょうか。ちょっと話はそれますが、クレジットカードを使うと手数料が加算されるお店も存在します。
編集部)
その話はよく聞きますね。日本でも同じですよ。
Patrick)
本当は手数料をお客様に請求してはいけないんですよね?
編集部)
はい。あくまでもお店が負担しなくてはいけない規約になっているのですが、薄利なPCパーツでクレジットカードで支払いがなされると、たとえば3%の利益設定ならばマイナス2%くらいになってしまいます。お店は赤字ですね。
Patrick)
台湾の場合、規制はよく解りませんが手数料はよく請求されているようです。大きなお店でも極たまにそんな話を聞きますね。そういえば、レシート宝くじはご存じですか?
統一發票・・・「JF」以下8桁に注目
編集部)
それ、驚きました、初めて聞いたときは。買い物をしたレシートが日本で言う宝くじのようになっていて、抽選でお金が当たるんですよね?それも宝くじ並の金額が。
Patrick)
そうなんですよ。台湾はおもしろい国です(笑)。レシートを宝くじのようにした理由は、脱税対策です。台湾は個人商店が非常に多く、それに比例して脱税が横行していました。当局側はその不正を減らす措置として、宝くじのような制度を設けたのです。
編集部)
つまり、お店側は今まで履歴の残らないいわば「どんぶり勘定」だったものが、お客さんは当然レシートを欲しがるので、出さざるを得ない。
Patrick)
その通りですね。ごまかしにくくさせるためです。合理的ですよね(笑)。ちなみにレシートをたくさん持っている方が当然くじに当たる確率が上がるので、一回に買い物をせず、数回に分けて買い物をし、レシートを集める人もいます。
編集部)
さらに合理的ですね、、、台湾の人には勝てないなぁ、、、
Patrick)
ただし夜市ではもらえませんよ。
編集部)
そうでしょうねぇ。
(第3回「台湾自作PC事情を聞いてみた」に続く)
・さて次回は、台湾に多く存在するPCパーツメーカーの事情や、Lynnfieldのフライング販売に関する顛末について、深く聞いてみることにする。驚くべき台湾の自作事情に関する対談は、まだまだ続く、、、
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文中で登場する用語のミニ解説
光華商場
・台湾台北市にある通称「光華数位新天地」。台湾版秋葉原的な場所で、周辺には「八徳路電気街」もあり、自作マニアには秋葉原よりも魅力を感じる面白さと活気に満ちている
光華商場公式サイト
・・・「あまり見ている人はいません」とのこと
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