AMDの28nmプロセス世代GPU Radeon HD 7000シリーズは、3月にアッパーミドルクラスにあたるHD 7800シリーズをラインナップに加え、ひと通りの布陣は完了したといえる。価格帯ごとに各クラスがバランスよく配置され、ニーズに合わせて自由なチョイスができるのはユーザーにとっても嬉しいポイントだ。
しかしすべてのモデルが均等に存在感を発揮しているかというとそうではなく、特にハイエンドの下位モデルHD 7950とアッパーミドルの上位モデルHD 7870のような、各クラスの“境界線上”に位置するGPU同士の競合は避けられない。そこで今回はCFD販売株式会社(本社:愛知県名古屋市)よりGIGABYTE TECHNOLOGY(本社:台湾)製のハイエンドグラフィックスカード「GV-R797OC-3GD」と「GV-R795WF3-3GD」の2モデルを借り受け、HD 7950にフォーカスした検証でその存在意義をレポートしていきたい。果たしてオリジナルクーラーを搭載するHD 7950のカスタムモデルは、危うい立ち位置を脱却して最上位に迫ることができるのだろうか。 |
|優秀なHD 7800シリーズ登場で影が薄くなったHD 7950の活路とは
Radeon HD 7000ファミリーの中でHD 7800シリーズは、ハイエンドクラスHD 7900シリーズとミドルクラスHD 7700シリーズ間の性能格差を埋める形で登場したアッパーミドルクラスのGPU。ストリームプロセッサ数やメモリ周りではハイエンドクラスに遅れをとるものの、1GHzを超える動作クロックをもつ上位モデルのHD 7870をはじめ、優れたパフォーマンスは周知の通り。ハイエンドクラスに迫るスコアを叩き出すこともあり、Radeonシリーズの中でも店頭での売れ行きは好調のようだ。それでいて上位のHD 7950との価格差も大きいため、ショップによっては「HD 7800シリーズの発売以来、HD 7950は目立たない存在になってしまった」との声も聞かれる。
確かにRadeonシリーズの中からグラフィックスカードをチョイスする場合、パワーユーザーなら最上位のHD 7970、コストパフォーマンスを追求するミドルユーザーならHD 7800シリーズやそれ以下のクラスから選択することが多いかもしれない。その点クラスの境界線上に位置するHD 7950は厳しい立ち位置に身を置いていると言わざるを得ず、ある意味でスキマ的なGPUになってしまっているのが現状だ。
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AMD Radeon HD 7970を搭載するハイエンドグラフィックスカードGIGABYTE「GV-R797OC-3GD」 |
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AMD Radeon HD 7950搭載グラフィックスカード「GV-R795WF3-3GD」 |
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|GIGABYTEのRadeon最上位OCモデル「GV-R797OC-3GD」
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発売前にファーストインプレッションをお届けした「GV-R797OC-3GD」。大型の高性能クーラー「WINDFORCE 3X」を搭載するオーバークロックモデルだ |
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「GV-R797OC-3GD」は国内発売を前に、ファーストインプレッションでご紹介しているRadeon HD 7970グラフィックスカードだ。GIGABYTEのオリジナルクーラー「WIND FORCE 3X」を搭載し、その冷却能力を生かしてコアクロックが1,000MHz(リファレンス:925MHz)にオーバークロックされている。
それ以外はリファレンスに準拠したスペックで、ストリームプロセッサは2,048基、メモリバス幅は384bitで、メモリクロック5,500MHzのGDDR5 3GBメモリを実装する。
外部出力はDVI-I×1、HDMI×1、mini DisplayPort×2が用意される。なお8pin+6pinのPCI-Express補助電源が必要で、推奨搭載電源は550Wとされている。
|ハイエンドの入り口、HD 7950を搭載するカスタムモデル「GV-R795WF3-3GD」
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同様に「WINDFORCE 3X」を搭載することもあり、ほとんど同じ外見をした「GV-R795WF3-3GD」。HD 7950を搭載する“境界線上”のハイエンドモデルだ |
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今回借り受けたグラフィックスカードの内主役となるのはこちら、Radeon HD 7950を搭載する「GV-R795WF3-3GD」。同様にGIGABYTE製オリジナルクーラー「WIND FORCE 3X」を採用し、動作クロックが900MHz(リファレンス:800MHz)にチューンされたオーバークロックモデルだ。
それ以外はリファレンスに準拠し、ストリームプロセッサ数は1,792基、メモリバス幅は384bit、メモリクロック5,000MHzのGDDR5 3GBメモリを実装する。
外部出力はDVI-I×1、HDMI×1、mini DisplayPort×2を備える。PCI-Express補助電源は6pin×2構成で、推奨搭載電源は500Wとされる。
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