2017.08.31 16:01 更新
2017.08.31 取材
株式会社ロジクール(本社:東京都港区)から、キーボードカテゴリ最高峰のシリーズが誕生。スイスのLogitech本社からキーボード部門の責任者が来日し、メディア向けに新シリーズ「KX」の第1弾モデルが披露された。クリエイターやオフィスワーカーにとっての究極ツールを目指した意欲作、はたしてその出来栄えとは。
ロジクールが「かつて巻き起こしたイノベーションを再現する」と豪語する、ハイエンドキーボードの新シリーズがデビュー。マウスの「MX」シリーズと対をなす、同社製キーボード最高位の製品だ |
本日の情報解禁に先立ち、ロジクール本社で行われた製品発表会にて、ハイエンドキーボードの新モデルがメディア向けに披露された。ロジクールの最高級マウス「MX」シリーズに並ぶ、キーボード最高位のハイエンドシリーズとして立ち上げられた「KX」シリーズの第1弾モデル。スイスのLogitech本社より、キーボード部門の総責任者であるArt O Gnimh氏が来日し、直接解説を行うという気合の入れようだ。
今回の発表会のため、スイスのLogitech本社から駆けつけたキーボード・コンボ部門シニアディレクターのArt O Gnimh氏 |
「Logitechはかつてキーボードにイノベーションを巻き起こした。今回、この製品で再びイノベーションを起こす」とは、O Gnimh氏の談。これは1998年にLogitechがコンシューマ向け初のワイヤレスキーボードを製品化したことに由来する表現で、それに匹敵するインパクトの再現を狙っている。
主要ターゲットとなるのは、クリエイターやオフィスワーカー。特にクリエイティブワークの効率と生産性を高めるため、Adobe社のデザイナーやプロダクトマネージャー、エンジニアとの共同開発によって製品化が進められたという。今後のシリーズの展開や方向性については明かされなかったものの、今回発表された第1弾モデルはロジクールが提案する究極のクリエイターズデバイスとして、市場の評価を試されることになる。
冒頭挨拶に立った、ロジクール代表取締役社長の笠原健司氏。同氏によれば、ロジクールはLogitechグループの中でも最大級の成長率を実現しているという | ゲストとして登壇した、アドビ システムズ 株式会社マーケティング部の岩本崇氏。「KX」シリーズ第1弾モデルは、Adobe社の協力を受けて開発が行われた |
ロジクールが、クリエイター・オフィスワーカー向けの最高級キーボードとしてリリースする「CRAFT」。ロジクールらしいデザインと、クリエイティブな作業に没頭できる機能性が融合している |
ロジクール「KX」シリーズの第1弾モデルとしてデビューするのは、「CRAFT」こと「ロジクール KX1000s マルチデバイス ワイヤレス キーボード」(型番:KX1000s)。アルマイト加工が施されたトップフレームと極薄デザインが印象的な、プレミアム感漂う高級キーボードだ。
最大の特徴は、左上に搭載されたマルチ入力ダイヤル「CROWN(クラウン)」。左右の回転はもちろん、トップのタッチと押し込み(クリック)、サイドタッチと、合計5つのアクションに対応する。標準でAdobe Creative CloudやMicrosoft Officeに最適化されており、独自ユーティリティ「Logicool Options」を使用することで、クリエイター・オフィスワーカー向けツールを自在に操ることができる。
最大のキモとなる装備が、左上に搭載された“クリエイティブ入力ダイヤル”の「CROWN」。タッチやクリック、回転を駆使することで、10種類以上のソフト・アプリを自在に操作できる |
実際にPhotoshopを使った検証では、目の移動やマウスクリックなどの無駄が激減。キーボード上のダイヤルに手を伸ばすだけでいいことから、全体的な作業工程や作業時間を大幅にカットできている |
具体的には、「Adobe Photoshop CC」の明るさやブラシサイズ、コントラスト、「Adobe Illustrator CC」の線幅調整や透過率変更といった、各ソフトウェアに対応した複数のプロファイルを標準搭載。タッチでコマンドを呼び出し、ダイヤルで選択するだけの手軽さで、複数のアクションを素早くこなすことができる。(ユーザーによる機能割り当てにも対応する)
いわばMicrosoftの「Surface Dial」のような機能だが、ロジクールでは「外部のデバイスに気を取られることなく、オールインワンで直感的な操作が可能になる」ことを重視。独立したデバイスではなく、キーボードに一体化させることに意義を見出している。同社の検証ではPhotoshopの作業効率が2倍に向上するという見通しもあり、機能の有効性にはかなりの手応えを感じているようだ。
ちなみに「CROWN」のダイヤル回転は、滑らかに回転する“スムース”と、クリック感を伴う精密操作向けの“ラチェット”の2タイプを選択可能。スイス時計譲りのメカニカルな機構で実現しているとのことで、任意で操作感を切り替えることができる。
クリエイターを代表して、キャッシュビー株式会社の斉藤舞佳さんが「Illustrator CC」(Mac環境)を使ったデモを披露。タッチするだけでメニューが出現、パレットに触れることなくダイヤルのみで設定を軽々と変更していた |
Microsoft Officeを使った、Windows環境のデモはロジクール シニアカテゴリマネージャの山口英明が担当。こちらもExcelのメニューをいちいち選択するまでもなく、ダイヤルのみで多彩な操作を披露した |
キースイッチは、あえてメカニカルスイッチや静電容量式ではなく、パンタグラフ式機構を採用。それでも打鍵感やキートップのフィット感など、入力しやすさは考え抜かれている |
ちなみにキースイッチには、最高級モデルながらパンタグラフ式機構を採用。これは「作業への没入を阻害するメカニカルスイッチ特有の騒音など、様々な要素のトレードオフを考慮して決定した」(O Gnimh氏)とのこと。「ミニマルでフラットなデザインを追求した」(同)という、デザイン上の理由も大きかったようだ。
なお、キーピッチは一般的なフルキーボード同等の19mmで、キーストローク1.8mm、押下圧60±20g。中央を窪ませたエルゴ形状のキートップにより、指を滑らせるような感覚で入力できる。
また、全キーに環境光に連動して自動で輝度調整するバックライトLED「スマートイルミネーション」を内蔵。手を近付けると自動点灯する、手を離せば自動で消灯するスマート仕様だ。
薄くできるパンタグラフ式により、非常にスリムなデザインに。チルトスタンドは非搭載のため、高さ調節はできない |
そのほか、接続インターフェイスはUnifyingアダプタによる2.4GHzワイヤレスとBluetooth LEに対応。最大3台の接続をワンタッチで切り替え可能な「Easy-Switch」、「MX MASTER 2S」で導入され話題になった「Logicool Flow」もサポートする。
外形寸法はW430×D149×H32mm、重量960g。内蔵のリチウムポリマー電池の充電で動作し、充電時間は最大4時間、バッテリーライフは1週間以上とされる。
気になる市場想定売価は税抜23,750円(オープンプライス)で、9月15日より販売が開始される予定だ。
背面には、電源スイッチと充電用のType-Cコネクタを搭載。なおサンプルは英語配列モデルだったものの、実際には113キー日本語配列モデルが発売される |
文: エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
株式会社ロジクール: https://www.logicool.co.jp/