2018.08.29 00:00 更新
2018.08.29 取材
さて「正統ベゼルレス派」に「大ノッチ派」、そして「小ノッチ派」による三国鼎立が成った・・・と思いきや、世界シェア第4位のOPPOと同第5位のVivoが異なる戦術で殴り込みをかけてきた。
異物は外部に取り出してしまえばいい、という新アプローチを採用したVivoの「Vivo NEX」。インカメラを潜望鏡のようなギミックとして分離、真のベゼルレスを実現した |
まずVivoはインカメラをスマホ本体に内蔵、利用する度に飛び出る“潜望鏡ギミック”を採用した「Vivo NEX」を完成させる。まさに真のベゼルレス、フルベゼルレスのスマートフォンで、有機ELで輝く全画面ディスプレイの美しさはさすがだ。
OPPOも同様にフルベゼルレスの「Find X」を投入。これはインカメラとアウトカメラを丸ごとユニット化するという、さらに大型化したギミックを搭載している。既存の勢力に続く第4のベゼルレス軍団「ギミック派」の出現だ。
マニアとしては至ってもいられず、私も「Vivo NEX」と「Find X」を2機種とも購入、そのギミックの完成度には驚かされた。特に「Find X」は顔認証の度に、つまりスマホをオンにする度に出てくるのだが、認証の速さと正確さはiPhoneとGalaxyに勝るとも劣らない。
フルベゼルレスの第2弾、OPPOは「Find X」で前後カメラを丸ごとユニット化して可動させるという、より大掛かりなギミックを搭載した。「Vivo NEX」もそうだが、通常の可動だけならかなりの耐久性をもっている |
そうなると「ギミック派」がベゼルレスの理想形ということになる。ディスプレイ上に邪魔者が一切なく、極限まで細いベゼルの美しさは「正統ベゼルレス派」でも勝てないだろう。しかしそもそもの話、ギミックを搭載することによる弱点があまりにも多いのだ。
いかにギミックの耐久性が高くとも、複雑な可動部分は、落下の衝撃を受ければ即破損の危険がある。また、端末の一部がせり出してくる以上、ケースで肝心な部分を保護することもできない。精密なギミックを通常のスマホサイズに収める技術的な難易度(部品数も増えるだろう)、それに伴う大きなコスト増も問題になってくるハズだ。限界に挑戦するガジェットとしての魅力はあっても、主流派にはなり得ないのではないだろうか。
「ギミック派」が現実的な支配力を持てない以上、他の3派のどれが正解になるのだろうか。もうすぐファーウェイが発表すると噂されている「Huawei Mate 20」は、控えめなノッチをもつ「小ノッチ派」の継承者になる模様。来月の発表が確実視されているアップルの新世代「iPhone」もまた、リーク情報によれば「iPhone X」のデザインをそのまま踏襲する「大ノッチ派」の端末のようだ。Galaxyもこのまま「正統ベゼルレス派」を続けるだろうし、しばらくは各社のやり方がそれぞれ続くのかもしれない。
ノッチの大きさを含め、各社ともに我が道を行く流れは変わりそうにない。これを覆すには、ノッチ自体が不要になるまったく新しい技術が必要になりそうだ |
もっとも、将来の技術までは予想ができない。最近はディスプレイ内に指紋認証センサーを内蔵する「画面内指紋認証」が可能になったワケだが、同じようにディスプレイ内にインカメラなどを搭載する時代がくるかもしれない。そんな夢のようなことができれば、ノッチ論争も無事に終結するだろう。大それたことのように思えて、案外どこかが簡単にやってきたりしないだろうか。
文: 太田 文浩(イオシス アキバ中央通ヨコ店)