2018.10.03 12:00 更新
2018.10.03 取材
ガジェットライフにどっぷりハマる、ギークな野郎は毎日何を考えている?「ギークの殿堂」でお馴染みなアノ人が、スマホやデバイスのアレコレから、業界事情やオトクな契約プランに至るまでを徒然に語る。今回の話題は、その驚きの価格にたじろいだ人も多そうな、最新の大型iPhoneである「iPhone Xs Max」について。
今年もやってきた新型iPhoneの季節。ひょっとしなくとも、最も驚かされたのは製品そのものより価格だったかもしれない。最大ストレージ512GBの「iPhone Xs Max」に至っては、税込17万円オーバー!少なくとも日本市場においては、過去最高額のスマートフォンになるはずだ。
雨が降りしきる中、寒さを我慢してゲットした「iPhone Xs Max」。機能やスペックはともかく、高すぎる価格がネックで購入を見送った人もいるのでは? |
確かに周囲でも「ちょっとカメラが良くなって、ビールかけても大丈夫になったりしただけ(?)でしょ」だの「こんなの買うの、一部のマニアだけじゃない」などという声も聞かれた。ただし世間的には新しいiPhone(特に「iPhone Xs Max」)は、ひとまず一定の成功を収めているようだ。
かくいう私は発表会のストリーミングを見ながらすでに購入を決めていたということもあり、発売日の朝6時から銀座に並んで256GBの「iPhone Xs Max」を購入。これが「買わない理由が見つからない」というほど魅力的な1台だった。いったい何がそれほどスゴイのか。
いきなり話が逸れて恐縮だが、かつて大画面スマホとして一世を風靡した「Xperia Z Ultra」をご記憶だろうか。6インチのちょうど真ん中な6.44インチという絶妙なサイズ感で人気を呼んだ端末だ。その後はソニーが同クラスの端末を出すことがなかったため、国内ではいわゆる“ズルトラ難民”が発生。海外では同サイズの端末もいくつかリリースされてきたが、日本のユーザーにとっては、長く“ズルトラ級”の機種は絶えた状態だった。
かつて大画面スマホの代表格として名を馳せた「Xperia Z Ultra」。その絶妙なサイズ感をもつiOSデバイスがあるとしたら、その存在こそがブレークスルーと言える! |
ところがそこにきて、今回発売された「iPhone Xs Max」は6.5インチ。そう、「Xperia Z Ultra」とほぼ同じ画面サイズであり、後継機種としてピッタリなのだ。しかもiOSデバイスとして初の6インチ台機種!普段はメインにiPhoneを利用している私にとって、サブ機に大画面ディスプレイのAndroidを持つ必要がなくなった。サイズ感で端末を使い分けていた場合、同様に「iPhone Xs Max」に統合できてしまったという人は、他にもいるのではないだろうか。
広大かつ絶妙な6.5インチサイズながら、端末としての大きさは5.5インチの「iPhone 8 Plus」と変わらない |
スマホをレビューしていると「スペックが高いのに防水がない」とか「ワイヤレス充電がない」、あるいは「スピーカーがモノラルだ」などなど、何かしら惜しい点が存在するもの。しかし今回は欠けている物を見つける方が難しい。
圧倒的なプレミアム感に優れた機能、高い価格にはワケがある? |
例えばスピーカーはステレオどころか強化された音質になっており、防水は水深2mに30分放置しても大丈夫なIP68にアップグレード。さらに。Felicaは電池が無くなっても改札を通過できる予備バッテリーを内蔵、やや懸念だった顔認証機能も改善されるなど、どの角度から見ても他のスマホや今までのiPhoneを凌駕している。
カメラも強力だった「iPhone X」からさらに進化。夜景でも白飛びが目立って抑えられるようになり、動画撮影での手ブレ補正も著しく良くなっている。撮影後にボケ味を調整できるポートレートにはもちろん対応、カメラだけでも魅力的だ。
ついにデュアルSIMに対応したiPhone。国内版ではeSIMとの組み合わせだが、香港版はリアルデュアルSIM。マニアも勢いで追加購入してしまった |
「いやいや、でも結局シングルSIMじゃないか」というツッコミがあるところ、iPhoneは最新世代からついにデュアルSIMに対応。国内版は物理SIM+eSIMという組み合わせだが、物理SIMが2枚入る香港版という怪物も存在する。それを踏まえれば、いよいよ死角がなくなってきたと言えそうだ。
そして極めつけに期待度を高めてくれるのが、機械学習を行うニューラルエンジンを内蔵した「A12 Bionic」チップだ。近頃つとに騒がれるようになったスマホの“AI”機能というヤツで、ファーウェイから昨年発売された「Huawei P10 Pro」やASUSの「Zenfone 5」シリーズなど、Androidでも盛んに使われるようになっている。
ただしその機能はカメラ撮影のシーン判別や画像認識に重点がおかれており、他の分野ではまだまだ未発達。一方のアップルは顔認証システムの改善や人間の行動パターン、ARKitなど幅広い分野で活用されている。
マニアを感動させた、バスケットボールのAIデモ。まだまだタスク全体でのごく一部にしか使われていないAIだが、アップルは数年先を見据えたビジョンをもっているようだ |
発表会でもアップルは興味深いデモをやっていた。バスケットボールのシュート練習の様子をiPhoneで撮影すると、姿勢から投げ方までを全て記録し、改善策を出してくれるというものだ。これを見た時は、「機械学習でスマホが賢くなる時代がきた!」と大いに感動、購入の大きなモチベーションにもなった。
もちろん機械学習で何ができるかは、開発者のアイデアや今後のアプリ開発次第ということで、買ってすぐに色んなことができるわけではない。ただしアップルの場合は、より実用性のあるアプリが登場する土台が整っており、同じAIでも数年先を見据えているように感じられる。
確かに「iPhone Xs Max」を筆頭とする新しいiPhoneは高い。正直スマートフォンに15万円や17万円を使うのは、どうなんだろうという気もする。ただしその価値はあるのか、という話になれば、その価値は大いにあると言えるだろう。
高すぎるけど満足感はそれ以上!数年使うつもりで頑張って購入しても、そのリターンは大いにアリ、とマニアが申しております |
正直マニア的には、6.5インチという絶妙なサイズ感のiPhone、というだけで買いだったりもするのだが・・・そこに強化された顔認証や防水性能、高音質スピーカーに電池切れFeliCa決済への対応、さらにスマホの未来を感じる真のAI機能と、非の打ち所がない。さらに「スマートフォン史上、最も強靭なガラス」を謳う、筐体の高級感もハンパではない。これはいいモノなのだ。
実際に3年前に発売された「iPhone 6s」が現役で使えるように、iPhoneが2~3年で過去の遺物になることはない。向こう数年は使えることだし、もし迷っているなら48分割でもなんでも、あらゆる手を使って買ってこよう!恐らく後悔はしないハズ・・・私も決して飲み会で自慢したり、Twitter専用機のように終わらせないように、肝に銘じて使っていく所存です。
文: 太田 文浩(イオシス アキバ中央通ヨコ店)