2019.05.08 17:38 更新
2019.05.08 取材
シャープ株式会社(本社:大阪府堺市堺区)は2019年5月8日、最新世代のフラッグシップスマートフォン「AQUOS R3」を発表した。ユニークな動画撮影機能を備えた新モデルで、会場では期待が集まる5Gスマートフォンの試作機も披露された。
国内のAndroidスマホ市場では、長年大きなシェアを確保している「AQUOS」の最新モデルが登場 |
2019年夏モデルとして投入される、最新フラッグシップスマートフォン「AQUOS R3」がシャープから発表された。ちょうど1年前にリリースされた「AQUOS R2」の後継モデルにあたり、Snapdragon 855など最新構成のスペックに加え、新発想の機能を備えた高性能カメラ、新開発の高速ディスプレイを備える。
「AQUOS R3」を発表するシャープ通信事業部本部長の中野吉朗氏。5Gを含む、同社の今後の通信事業の見通しについても語った | 端末の技術的な解説を担当した、同社通信事業部事業部長の小林繁氏 |
ビジュアルコミュニケーションを重視するコンセプトから、特にカメラ機能に注力。AIが撮影中に被写体や構図を分析、笑顔の瞬間や動きに変化がある“見どころ”を自動的にダイジェストムービーに編集してくれる「AIライブストーリー」機能を新たに搭載した。
また、動画用と静止画用に最適化されたデュアルカメラは、設計を全面刷新。2,010万画素の動画用カメラは、解像度により画素配列を変換する特殊なセンサーを内蔵し、新たにHDR撮影にも対応した。1,220万画素の静止画用カメラは、従来比2.4倍明るいF値1.7レンズを採用、高速な全面位相差AFに対応している。
そのほか、フルリニューアルされた最新エンジン「ProPix2」を搭載し、特に手ぶれ補正を強化。静止画用の光学手ぶれ補正と動画用の電子手ぶれ補正に加え、被写体の動きをリアルタイムで検出する被写体ぶれ補正機能も盛り込まれた。
先代の「AQUOS R2」に続いて、動画と静止画にそれぞれ最適化されたデュアルレンズ構成のカメラを搭載。特に動画用カメラは、解像度に応じて画素配列を変換し、明るさと高解像感を両立させる仕様になっている |
動画を撮影する機会が増える一方で、撮影後の動画を視聴する機会が少ない“撮り放し動画”を解消するための「AIライブストーリー」。印象的なシーンを繋げ、プリセットからモードを選択するだけで、BGM付きのショート動画を作ってくれる |
動画撮影中に静止画を撮影できる「AIライブシャッター」機能も「AQUOS R2」から引き続き搭載。シチュエーションに合わせてアスペクト比を自動で変更するなど、AI機能が進化している |
第5世代の「Pro IGZO」ディスプレイを搭載。水滴型ノッチを採用するベゼルレス仕様で、指紋認証センサーも備えている |
ディスプレイは、液晶パネルの駆動性能を左右する電子移動度を先代モデル比で約2.5倍に向上させた「Pro IGZO」ディスプレイを搭載する。「第5世代IGZO」のスマートフォン向け仕様で、従来から明るさが倍増しつつ省電力性能は10%向上。さらに10億色表示に対応する「True HDR」により、HDRコンテンツのクオリティを正確に表現できるようになった。
画面サイズは6.2インチで解像度は3,120×1,440ドットと、「AQUOS R」シリーズで最大・再高解像度。リフレッシュレート120Hzの高速描画、直射日光下でも大幅に画面が見やすくなる「アウトドアビュー」にも対応する。
外形寸法は約W74×D156×H8.9mm、重量約185g。画面端に段差のない「Front 3D Glass」、持ちやすさと手当たりの良さを狙った「Emotional edge」形状が採用されている |
基本スペックは、プロセッサがオクタコアのSnapdragon 855(2.8GHz+1.7GHz)、メモリ6GB、ストレージ128GBなど。熱処理のコンセプトにも手が入れられ、放熱性能の向上に加え、グリップする部分の温度上昇を軽減する設計が採用された。
そのほか、生体認証は指紋認証と顔認証に対応。「AQUOS史上最高の電池持ち」を謳う3,200mAhのバッテリーは、最大11Wのワイヤレス充電(Qi/EPP仕様)、繰り返し充電でも劣化しにくい「インテリジェントチャージ」をサポートしている。なお、OSはAndroid 9.0を搭載する。
手に触れる部分には樹脂パーツを用い、熱が伝わりにくくすることで体感温度は約5℃低下しているという |
カラーバリエーションは、Premium Black/Platinum White/Elegant Green/Pink Amethyst/Luxury Redの5色展開だ |
発売は初夏以降を予定。どのキャリアから登場するのか、あるいはSIMフリーモデルの販売はあるのかといった予定については、現時点では未定となっている。
シャープが現在開発している、5G対応スマホの試作モデル。今日発表された「AQUOS R3」がベースになっている |
会場には、2020年春に商用サービス開始が迫った5G対応スマートフォンの「5Gプロトタイプ」も展示されていた。「AQUOS R3」をベースにした、文字通り実験用の試作機だ。
完全密閉のシールドボックスに収められたデモ機は、アンリツ株式会社製の5G基地局/LTE基地局シミュレータに接続され、実測で3Gbpsに迫る転送速度をマーク。「国内の5G対応スマートフォンメーカーの先頭集団になるために、現在製品化に向けて開発中」という。
「AQUOS R3」に5Gをそのまま載せた状態のため、3mmほど分厚くなっている。「ちょうど1枚基板が増えたようなイメージ」(担当者)とか |
アンリツ製の5G基地局シミュレータとLTE基地局シミュレータに接続されていた |
ただし「5Gプロトタイプ」はあくまで試作用のため、5Gモジュールが別基板として内蔵されている状態。実際に製品化されるモデルについては、「フォルダブル(折りたたみ)スマートフォンになるかを含め、コンセプトから設計している最中」とのことで、まったく違う形状になる。5Gの全周波数に対応している試作機の仕様も、提供されるキャリアなどに合わせて変更される想定だ。
通信デモでは、3Gbpsに迫る数値をマーク。なお、現状では法的に5G電波を飛ばせないため、テスト中はシールドボックスに収められていた |
文: エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
シャープ株式会社: http://www.sharp.co.jp/