2019.05.29 01:23 更新
2019.05.28 取材
In Win Development(本社:台湾)ブースに立ち寄ると、どうにも形容しがたい物体が我々を出迎えてくれた。In Win's 9th Generation Signature Chassis「蛹(Yǒng)」だ。
毎年度胆を抜くデザインケースで自作派たちを楽しませてくれるIn Win。昨年は立ち上る”気”をイメージした「Z-Tower」で、思わず道行く人を立ち止まらせた。そして2019年のIn Winは巨大なさなぎ”を用意。なんとも奇妙な物体「蛹(Yǒng)」だ。
デザインを担当したIn WinのWendy Chang氏。彼女のイマジネーションが工業用3Dプリンタでカタチになって現れた |
正直「何に見えるか」と問われても返答に困るこの物体。モデル名「蛹(Yǒng)」は、さなぎを意味し、これがモチーフになっているという。In Winのプロダクトデザイナー・Wendy Chang氏曰く、過去発表されたコンセプトPCケースが、ようやく”さなぎ”まで成長。今は”成虫”になる進化の過程にあるそうだ。さておき、じっくり観察してみよう。
たくさんの”さなぎ”を持ち込んだ展示スペース。異なる形状の”さなぎ”はオブジェと化し、「蛹(Yǒng)」のデザインコンセプトを表現している。ここまで筆者は付いていくのがやっとであった |
外観は工業用3Dプリンタで出力され、なんと1週間を要するという。そしてデザインは全部で5種類。ベースはいずれもホワイト色で、これに赤や黒の塗装が施されるという。よく見ると継ぎ目が確認でき、パカッと取り外しが可能。解放状態でPC構成パーツを組み上げていく。お忘れかと思うが、れっきとしたPCケースなのだ。
恐らく誰が見ても奇妙である事に違いはないが、意外によくできている。円形のメタル製台座に支えられたボディは、360°デザインにより正面という概念がそもそもなく、設置場所に縛りがない。PCパーツはマザーボードトレイを中心に組み上げて行く設計だが、オープンエアな状態だけに、そもそも熱がこもる心配は無い。
気になるスペックは、対応フォームファクタがE-ATX、ATX、MicroATXで、ケースタイプはフルターワーにカテゴライズ。拡張スロットは8本で、ドライブベイは2.5/3.5インチ共用シャドウベイが2段。冷却ファンはトップ部に120mmファン3基が搭載可能で、360mmサイズラジエターのサポートも確認できた。そして各有効スペースはグラフィックスカードが長さ340mm、CPUクーラーが高さ170mm、電源ユニットが長さ210mmまで。
ちなみに単なるコンセプトモデルに留まらず、なんと8月を目標に販売が予定されているという。想定売価は3,999ドル。こうなると”成虫”はどんな姿カタチになるのだろう。COMPUTEX TAIPEI 2020を楽しみに待ちたい。
文: エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
In Win Development: https://www.inwin-style.com/
COMPUTEX TAIPEI 2019 記事一覧: https://www.gdm.or.jp/computex2019/