2019.06.01 12:24 更新
2019.05.31 取材
今年もGrand Hyatt Taipeiのプライベートルームにて内覧会を開催したPhanteks(本社:オランダ)。必ず1台は新作(かつ大物)PCケースを用意する同社だが、今年は超ハイエンド向けのフルタワー「ENTHOO LUXE2」を持ち込んだ。
Phanteksのスーパーフルタワー「LUXE」と言えば、2014年8月に詳細検証をお届けしている。Phanteksエンスーシリーズ第3弾としてリリースされた大型筐体は、プロダクトマネージャーのBoon Tuoh Khor氏による自信作だった。
そして今回もまた、同氏が手掛けた2代目の新作をご紹介する事になる。「ENTHOO LUXE2」がそれだ。
Phanteks「ENTHOO LUXE2」 |
初代「ENTHOO LUXE」記事を見返すと、Khor氏がより精悍になった事はさておき、フロントパネルはよりシャープなデザインに進化。壁に掲げられたフライヤーを見ると、どうやら「ULTIMATE COOLING」「ULTIMATE WORKSTATION」「POWER OF 2 IN 1」の3つが「ENTHOO LUXE2」のキーワードになるらしい。
ひとつ目の「ULTIMATE COOLING」は、高い冷却能力をアピール。近頃の大型PCケースと言えば、DIY水冷の構築がベースに最適化されている。
120mmファンフル装備の状態。これぞ「ULTIMATE COOLING」 |
そしてラジエターを設置する場所は冷却ファン増設スペースである事から、冷却ファン搭載可能数も増え、おのずと高エアフローPCケースが完成というワケだ。「ENTHOO LUXE2」ではフロント4基、トップ3基、リア1基、サイド4基、ボトム3基の合計15基の120mmファンが搭載可能。フル搭載なら常時風が吹き荒れるPCが構築できる事になる。
もちろんフル水冷仕様も完全サポート。組み込みデモを見れば説明不要で、480mmサイズと360mmサイズの大型ラジエターによるデュアル水冷も構築できる。内部容積が大きいだけに、チューブの配管は長く複雑で、ポンプ能力もある程度必要になるが、圧巻のシステムができる事は間違い無い。
大容量の筐体内部にチューブが行き交う様は、まるで工場夜景。近年のPhanteksは水冷パーツも扱っており、これが同社の目指す最終型といったところだろう |
ふたつ目の「ULTIMATE WORKSTATION」は、同じく内部容積を生かした自慢のストレージの収納力。3.5インチHDDは最大で12台、2.5インチSSDは最大で11台も搭載できるという(一部ブラケットはオプション扱い)。さらに左側面の後方底面には、2台目の電源ユニットがマウント可能。デュアルPSUシステムで安定した電力供給を可能にする。
少々複雑なストレージ収納スペース。昨今は光るSSDも存在するため、右サイドパネルには小窓を用意。搭載したSSDをディスプレイする事ができる |
マザーボードトレイ背面の2.5インチSSDブラケットなど、Phanteks従来品と共通のパーツも見受けられる |
デュアルPSU環境にも対応。大規模システムには安定した電力供給が必須というワケだ |
そして最後は「POWER OF 2 IN 1」だ。実はフル水冷仕様の組み込みデモをよくみると、2台目の電源ユニット搭載スペースに、Mini-ITXマザーボードがマウントされていた。つまり独立したデュアルシステムが1台の筐体内で構築できるのだ。今年1月には「ENTHOO EVOLV X GLASS」を検証しているが、ここで利用したATXメイン出力を2系統備える「REVOLT X PSU」(型番:PH-P1200PS)を使えばいいだろう。「ENTHOO EVOLV X GLASS」同様、2つのシステムを搭載する事で、ストリーミング環境または、ホームサーバーの構築ができる。これがPhanteksの狙いだ。
フル水冷システムの一部に組み込まれていた、Mini-ITXマザーボード。170mm四方のマザーボードが搭載できるほどのスペースがこんなところに存在するあたり、スケールの大きさを改めて実感する |
このように3つの要素を1つにまとめた「ENTHOO LUXE2」は、アイデアとこれまで培ったノウハウがギッチリ詰め込まれている。ただしそれは決して窮屈ではなく、最適化された筐体内部の設計により、難なくこなしてしまうスマートさがあった。決して万人にお勧めするPCケースではないが、大いなる可能性を秘めた「ENTHOO LUXE2」には、常に自作PCの一歩先を見据えたPhanteksの心意気を感じた。
文: エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
Phanteks: http://www.phanteks.com/
株式会社アイティーシー: http://www.itc-web.jp/
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