2019.06.27 10:28 更新
2019.06.27 取材
AMD(本社:アメリカ)は2019年6月25日(火)、第3世代RyzenおよびRadeon RX 5000シリーズに関するメディアブリーフィングを韓国・ソウルで開催した。2部構成で実施されたセッションの様子をリポートしよう。
本稿では「Radeon RX 5700 XT」実機の展示やベンチマークにフォーカスした事前記事に引き続き、ブリーフィングの詳細について言及していく。
ブリーフィングは2部構成で、前半がAMD Senior Director of Product ManagementのDavid McAfee氏による第3世代Ryzenのセッション、後半がAMD Radeon Technologies Group Product ManagerのSimon Ng氏によるRadeon RX 5000シリーズのセッションで実施された。
ここからは、2つのセッションの内容を大まかに解説していこう。
AMD Senior Director of Product ManagementのDavid McAfee氏 |
まず登壇したDavid氏は、「世界的なPCゲーミングの流行やストリーミング配信、コンテンツクリエイターの増加といったトレンドが、PCに高いパフォーマンスを要求している」と指摘。こうしたトレンドに対し、第3世代Ryzenの性能がユーザーの要求に適うものであるとコメントした。
PCゲーム市場とコンテンツクリエイトの盛り上がりで、ハイパフォーマンスなPCがトレンド化 | 第3世代Ryzenは、TSMCの7nmプロセスで製造されたCPUコア「Zen 2」を採用。7nmプロセスを採用した世界初のデスクトップ向けCPUでもある |
すでに発表されている通り、第3世代RyzenはTSMCの7nmプロセスで製造されたCPUコア「Zen 2」を採用する初の製品群だ。プロセスの微細化によりトランジスタの密度は2倍となり、消費電力を同等の性能比で半減させつつパフォーマンスを向上させることに成功。
それに伴い、SIMD演算ユニットを128bitから256bitに拡張したことで浮動小数点演算性能が2倍となり、IPCがZen/Zen+アーキテクチャ比で15%向上するといった大きな性能向上を果たしている。
ブロックのように複数のダイを基板上に並べるのが特徴の「チップレット・アーキテクチャ」。第3世代Ryzenでは、1つあるいは2つのCPUダイと1つのI/Oダイを組み合わせている |
もうひとつの大きな変更点は、CPUダイを分割して基板上に複数配置する「チップレット・アーキテクチャ」と呼ばれるデザインを採用したこと。第3世代Ryzenの場合、CPUダイとI/Oダイを分割し、第2世代のInfinity Fabricで相互に接続している。上位SKUの「Ryzen 9 3950X」や「Ryzen 9 3900X」は基板上にCPUダイを2つ搭載することで、16コア/32スレッドものメニーコア構成を実現しているわけだ。
以上のような概説のあとで第3世代の各SKUについての言及を始めたDavid氏だが、そこで明確にアピールされたのは、競合CPUベンダーであるIntelの第9世代Coreプロセッサに対する性能面での優位性だ。
第3世代RyzenのSKU一覧。右側は競合となる第9世代Intel CoreプロセッサのSKU一覧で、同価格帯のCPUに対しコア数で優位に立つことを示している |
SKUの紹介スライドには、多くの場面で第9世代Intel Coreプロセッサとのベンチマーク比較結果が掲載されており、499ドルの「Ryzen 9 3900X」であれば初出価格488ドルの「Core i9-9900K」、399ドルの「Ryzen 7 3800X」であれば374ドルの「Core i7-9700K」、といった形で、製品の価格帯を揃えての比較となっていた。
「Ryzen 9 3900X」と「Core i9-9900K」のベンチマーク比較。ゲームでは拮抗しているものの、コア数がものを言う3Dレンダリングや動画エンコードといった作業では圧勝している |
「Ryzen 7 3800X」と「Core i7-9700K」のベンチマーク比較。スレッドごとの性能で競合に水を開けられていた従来のRyzenはゲーム系ベンチマークでは不利になりがちだったが、これらの結果ではそれほどの差は見られない |
「Ryzen 5 3600X」と「Core i5-9600K」のベンチマーク比較。こちらも傾向はそれほど変わらないが、若干不利なゲームが多い印象 |
いずれの比較でもよく見えてくるのが、「グラフィックスカード搭載時のゲーム性能はほぼ拮抗、3Dレンダリングや動画エンコードでは第3世代Ryzenが競合に差をつける」という構図だ。