2020.08.22 09:00 更新
2020.08.22 取材
今週の秋葉原における最大のトピックといえば、突如発表された「ツクモ秋葉原駅前店の閉店」だろう。今年5月から親会社であるヤマダ電機の体制変更を理由に、ツクモ実店舗の再編が加速している。STAFFすら予想できないこの状況。いまツクモに何が起きているのか。
8月20日(木)、TSUKUMO公式サイトに突如「ツクモ秋葉原駅前店閉店のお知らせ」が掲載された。
ツクモ秋葉原駅前店(東京都千代田区外神田1-15-8)は、JR秋葉原駅に最も近い大型パソコン専門店として、今年1月11日(土)に華々しくオープンしたばかり。地上5階までの広大なフロアをPC関連で埋め尽くした店舗が、わずか約8ヶ月で閉店する自体に、誰もが驚きを隠せなかった。それはツクモSTAFFも例外ではなく、「発表当日に閉店を知った」という人がほとんど。今回の告知がいかに突然の出来事であったかを窺い知ることができる。
JR秋葉原駅に最も近いパソコン専門店のツクモ秋葉原駅前店。夜型のわれわれにとって22:00までの営業は、”営業している事が安心”だった |
現在のTSUKUMO(株式会社Project White)は株式会社ヤマダ電機(本社:群馬県高崎市)の連結子会社である事はご存じの通り。その経緯を紐解くと、2008年10月30日に九十九電機株式会社が東京地裁に民事再生手続開始の申し立てを行い、翌2009年1月31日には事業譲渡契約を締結。九十九電機株式会社はヤマダ電機全額出資会社「株式会社Project White」として再スタートをきった。つまり、ヤマダ電機なくして「ツクモ」ブランドの今日はない。一方で親会社の事情が変われば、必然的にその影響を受ける事は避けられない関係にある。
そして今回のツクモ秋葉原駅前店閉店は「株式会社ヤマダ電機の体制変更」が理由とされている。しかしTSUKUMO店舗の再編は、今回だけに留まらない。
記憶に新しいところでは、2016年5月「ヤマダ電機 LABI Amenity&TAX FREE 新橋銀座口店」跡に誕生した、大型パソコンショップ「ツクモデジタル.ライフ館」は、翌2017年12月に閉店。わずか3週間後の翌年2018年1月26日には「ツクモ新橋店」として復活したものの、2020年5月14日に発表された「オンライン・B2Bビジネス強化のための店舗統廃合」を理由に、2020年6月14日に閉店。2016年2月5日オープンした「ツクモ池袋店」も同じく2020年6月7日に閉店し、他にも「ツクモ吉祥寺店」は同5月17日、「ツクモ新宿西口店」は同5月24日、九州地区唯一の「ツクモ福岡店」は同6月30日にそれぞれ営業を終えている。
さらに秋葉原地区では、2020年5月15日には「ツクモDOS/Vパソコン館」「ツクモ12号店」が閉店(ツクモDOS/Vパソコン館」は業態を変更し再オープン)。これにより2020年8月22日現在、東京4店舗(うち1店舗は8月30日閉店)、大阪2店舗、名古屋2店舗、札幌1店舗の全9店舗になり、大きく営業が縮小されている。
加速する「体制変更」については、2020年5月14日付プレスリリースに詳しい。それによると、株式会社Project Whiteは「かねてより好調なWEB販売部門、法人営業部門およびオリジナルPC開発部門への人的リソース投入をさらに強化すべく、準備を進めている」事を強調。一方で新型コロナウイルスの影響もあり、”一部店舗の統廃合と人員配置転換”を予定よりも前倒しで行ったと説明している。
実際のところ自作PC業界に関しては、新型コロナウイルスによる影響はなく、軒並み売上を伸ばしている。緊急事態宣言下では、さすがに買い物客がまばらだった秋葉原界隈も、週末ともなれば騒動前の賑わいを取り戻した。受発注業務に忙しいパーツメーカーや代理店は、テレワークを続けながら対応に追われている。不謹慎ながら、新型コロナウイルス・バブルといった状況は、この先もしばらくは続くとみられている。
突如の閉店発表が寝耳に水だった、ツクモ秋葉原駅前店のとあるSTAFFは、「ヤマダ電機 LABI1日本総本店池袋へ行く事になった」と話す。アキバ地区に残る店舗への配置は無いそうだ。自作PCショップから一般家電量販店への移動は、転職に近い気分に違いない。
前倒しを行うほど、本当に店舗の統廃合を加速させる必要はあるのだろうか。ヤマダ電機の傘下になり、既に10年以上が経過している。ツクモは新たな転換期を迎えている。
文: エルミタージュ秋葉原編集部/取材:Tawashi
株式会社Project White: https://kaisya.tsukumo.co.jp/