2022.11.15 16:17 更新
2022.11.15 取材
かつては「自分たちにとって、それほど競合を意識せずに済んでいた」という一強時代を謳歌していたインテル。現在は市場で強力な競合と相対していることから、中長期を見据えた複数のプロジェクトに取り組んでいる。
インテル株式会社マーケティング本部長の上野晶子氏。一度インテルを離れたものの、3年前に復帰。セッション冒頭では、自宅から発掘されたという、以前在籍していた頃に携わっていた「Ultrabook」や「Centrino」の懐かしグッズを取り出して場を沸かせてくれた |
クリエイター向けには「インテル Blue Carpet Project」を展開。業界を代表するトップクリエイターにIntelプロセッサを搭載するWindows PCを提供して制作を後押しするとともに、制作過程やアプローチを公開することで、一般ユーザーもクリエイティブ分野に挑戦するきっかけになることを狙っている。
特にクリエイティブ分野ではAppleが競合として大きな存在になっているため、Windows環境でも最高峰の制作環境を構築できることをアピールしたいという考えだ。
また、ゲーミング市場に向けては「インテル Blue Community」を展開。コミュニティを通じてコンソールだけでなくPCを使ったゲーミング体験を周知させるため、プレイヤーだけでなくゲームメーカー、PCメーカーを巻き込んでの働きかけを続けてきたという。
かつては「コンソールが支配的だった日本市場に難しさを感じていた」としながら、ここ数年はPCゲーミング市場がコンソールに匹敵する規模に成長。インテル側としても非常に大きな手応えを感じているという。
そして年末商戦に向けてインテルがプッシュしているのは、ノートPC分野では「インテル Evo プラットフォーム」の定着だ。準拠していれば「ゲームもクリエイティブなこともできる」というメリットを強力にアピールすることで、「Evo」の指名買いをしてもらうまでに認知を高めていくことを狙っているという。
また、主にBTOショップを対象としたデスクトップPC向けとしては、自作市場でも高い評価を獲得している「第13世代Intel Coreプロセッサ」を主力として展開。「ゲームかクリエイションか、実現したい何かをかなえるための“選ぶ楽しさ”を用意したい」とのことで、インテルとしても仕掛けを考えている最中という。
なお自作市場においては、円安の影響もあり特に最新マザーボードの価格が高騰。「第13世代Intel Coreプロセッサ」ベースのマシンを組みにくい原因になっている。
この現状については「マザーボードの価格について強く口出しはできない」と前置きをしつつ、「高いけれども買いたいと思ってもらえるには、どうすればいいかよく考えている」「何のために組むのかという自作のモチベーションをもっと分かりやすく認知してもらったり、作っている過程のワクワク感をどう演出できるかについて、ボードメーカーとも話をしている」とのこと。「自作ユーザーをどうやって増やしていくかについても、実はいくつか秘策を考えている」とのコメントもあり、今後何かしらの施策が講じられるのかもしれない。
また、最新マザーボードの価格問題については、「第13世代Intel Coreプロセッサ」がIntel 600シリーズにも対応すること、その結果DDR5とDDR4メモリの両方が選べる点など、より広い選択肢を提供することも対策になっているという。実際Intel 600シリーズマザーボードは市場に多く流通していることから、第13世代ユーザーにも多く選択されているとのこと。
第12世代Intel Coreプロセッサとの併売が続いていることも、ユーザーにより多くの選択肢を提供したいという狙いがあってのこと。「選んでもらえる限りは、当面併売が続く見通し」だという。
その一方で、自作市場でも話題になっているディスクリートGPUについては「現状では新しくお話できる内容はない」とのこと。当面、国内向けには第13世代Coreプロセッサに注力していく予定のようだ。
今週末のアキバでは、「第13世代Intel Coreプロセッサ」拡販のためのタッチアンドトライイベントも開催される |
文: 編集部 絵踏 一
インテル株式会社: https://www.intel.co.jp/