2024.06.03 12:06 更新
2024.06.03 配信
AMD(本社:アメリカ)は2024年6月3日、COMPUTEX TAIPEI 2024開幕に先立ち行われた基調講演にて、CEOのLisa Su氏よりZen 5アーキテクチャを採用する次世代CPU「Ryzen 9000」シリーズが発表された。
“Granite Ridge”の開発コード名で呼称されるSocket AM5プラットフォームのデスクトップ向けCPUで、16コア/32スレッド/最大5.7GHzの「Ryzen 9 9950X」を筆頭に4SKUをラインナップ。Zen 5アーキテクチャは最新世代の高性能CPUコアで構成されており、分岐予測精度やレイテンシの向上、より高いスループット、並列性能向上などにより、Zen 4からIPCが平均16%もアップしているという。
特に最上位モデルの「Ryzen 9 9950X」は、競合のIntel Core i9-14900Kとの比較でゲーミング性能は最大23%、クリエイティブ性能で最大56%上回るほか、GPU帯域幅は2倍、AI性能で最大20%高いパフォーマンスを発揮するとされる。Lisa Su氏からは“Fastest consumer CPU of the world”として紹介された。
チップセットはAMD X870/X870Eが用意され、各メーカーより多数の搭載モデルが登場する予定。PCI Express 5.0のグラフィックスカードおよびNVMe SSDに対応するほか、USB4に標準対応、より高クロックのAMD EXPOメモリをサポートする。
「Ryzen 9000」シリーズは、来月の7月にも発売が開始される予定。なお、Socket AM5プラットフォームのロードマップもアナウンスされ、2027年以降も同プラットフォームにて新しいRyzenプロセッサのリリースが予定されているという。
そして息の長いプラットフォーム展開を証明するように、Socket AM4対応の新CPUもリリースされた。新しく追加されるのは、16コア/32スレッド/最大4.8GHzの「Ryzen 9 5900XT」と8コア/16スレッド/最大4.8GHzの「Ryzen 7 5800XT」だ。
「Ryzen 9 5900XT」はRyzen 9 5950Xと同じコア数ながらクロックをやや抑えたSKUで、「Ryzen 7 5800XT」はRyzen 7 5800Xからクロックが向上。いずれも競合に比べて同等以上のパフォーマンスを発揮するとされる。発売は「Ryzen 9000」シリーズ同様に7月の予定だ。
AI搭載の新しいWindows PCであるCopilot+ PC向けとして、モバイルCPUの「Ryzen AI 300」シリーズも発表。新たなネーミングルールが採用され、12コア/24スレッドの「Ryzen AI 9 HX 370」と、10コア/20スレッド/最大5.0GHzの「Ryzen AI 9 365」をラインナップする。
Zen 5アーキテクチャのCPUと、最大16 Compute Unitで構成されるAMD RDNA 3.5世代のGPU、最大50TOPSの性能をもつAMD XDNA 2のAPUを搭載。モバイル向けCPUの中でも抜きん出たAI性能を備えており、ゲーミング性能やクリエイティブ性能でも競合を大きく上回るパフォーマンスを発揮するとされる。
「Ryzen AI 300」シリーズを搭載するCopilot+ PCは、ASUSやAcer、MSI、HP、Lenovoなど各メーカーより7月以降に発売される予定だ。
Zen 5アーキテクチャを採用するデータセンター向けCPUの「第5世代EPYC」も発表。最大で192コア/384スレッドで構成されるCPUで、会場ではIntel Xeon 8592+との比較デモの様子も紹介された。こちらは2024年下半期に投入される予定。
グラフィックス分野では、プロ向けグラフィックスカードの新モデル「Radeon PRO W7900 Dual Slot」が発表。以前詳細検証を行った「Radeon PRO W7900」の2スロット版にあたる。
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帯域864GB/sのGDDR6 ECC 48GBメモリを実装するなど基本性能はそのままに、従来の3スロットから2スロット仕様へとスリム化。マルチGPU構成のAIワークステーション構築などが想定されている。
市場想定売価は3,499ドル。最新の機械学習向けソフトウェアスイート「AMD ROCm 6.1 for Radeon」とともに、7月19日に発売予定とされる。
文: 編集部 絵踏 一
AMD: https://www.amd.com/