エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.4
2009.04.09 更新
文:テクニカルライター Jo_kubota
今回用意したスペックは下記の通り。
CPUに対してビデオカードが9800 GTとややスペック不足だが、ゲーマー向けPCとしての戦闘力はそれなりにある。この構成で本当にキューブPCとして成立するのだろうか?という疑問は皆さんもお持ちだろう。
電源容量は冒頭で述べたように500Wあり、12Vが16A+16A+17Aの3系統となっている。例えばCore i7-965 Extreme EditionのTDPは130Wとなっており、これは言い換えると最大消費電力も130W以下ということを意味する。16Aというのは恐らく最大値と思われ、実用定格を80%と仮定すれば12V×16A×80%=153Wまで使える計算で、Core i7-965 Extreme Editionも十分ドライブできることが分かる。
GeForce 9800 GTの定格は、105Wなのでこれも問題なくクリアでき、HDDや光学ドライブの消費電力はそれほど大きくなく、最大でも30W以下なので500W電源なら余裕を持ってクリアできるというわけだ。
しかし、実際に動かしてみないと安定性を含めて分からないわけで、上記のパーツを組み込んでテストをしてみた。その結果は以下の通り。
CPU温度(3DMark Vantage) | |||
■ケースオープン | |||
アイドル | Performance | Extreme | |
CPU1 | 43 | 75 | 76 |
CPU2 | 43 | 74 | 75 |
CPU3 | 44 | 73 | 74 |
CPU4 | 40 | 71 | 71 |
■ケースクローズ | |||
アイドル | Performance | Extreme | |
CPU1 | 52 | 80 | 81 |
CPU2 | 52 | 79 | 80 |
CPU3 | 52 | 77 | 78 |
CPU4 | 48 | 76 | 77 |
GPU温度(3DMark Vantage) | |||
アイドル | Performance | Extreme | |
ケースオープン | 45 | 66 | 68 |
ケースクローズ | 51 | 78 | 79 |
消費電力(3DMark Vantage) | ||
アイドル | 3DMark Vantage | |
ケースオープン | 136 | 238 |
ケースクローズ | 139 | 246 |
3DMark Vantage スコア | |
Performance | 6406 |
Extreme | 2365 |
ケースオープンとはキャビネットを開けた状態。ケースクローズとはキャビネットを閉めた状態。そしてアイドルはOS起動後30分放置した状態。負荷には3DMark Vantageを使用し、消費電力とCPUおよびGPUの最高温度を計測している。なお室温は17℃。
さすがにキャビネットを閉じると温度は上昇するが、アイドル時の騒音は静かで、とてもCore i7が収まっているとは思えないほど。さすがに3DMark Vantageを走らすと途中からCPUクーラーのファン回転数が上昇し、騒音が耳につくようになるが、スペックを考えると十分妥協できる範囲の音だ。
なお今回ファン回転数はBIOSにて「Smart」(自動コントロール)を選らんでいるが、ユーザー自身でファン回転数を一定に設定することもできる。温度が気になるなら最初から若干ファンの回転数を上げておくとよいだろう。
当初、キューブPCにIntel X58 Expressなんてムチャな、と思っていたのだが、稼動させてみると何も問題なく動作したことに、拍子抜けした。さすがにCore i7-965 Extreme Editionを100%稼動するような状況だとCPU温度が温度なので、ファン回転数を上げるべきだろうが、アイドル時の温度を見る限り、Blu-ray鑑賞程度ならファン回転数を抑えても問題なさそうだ。また消費電力も80 PLUS Bronze認証電源を採用だけあって、かなり低めに収まっているのも特筆ものである。
SX58H7の実売価格は、59,800円と決して安価ではないものの、このサイズでCore i7が使える唯一の製品であることを考えると、決して高くはないだろう。
なお余談ではあるが、Windows 7βを試しに入れてみたが、問題なくインストールでき、Windows Vistaより快適に動いたことを付記しておきたい。
しかしこのサイズで筆者のメインPCより3倍は速く、筐体容積は1/4という現実に向き合うと何だか切なくなってしまう。というわけで、乗り換えるならSX58H7という選択肢もアリかなと思うこの頃である。