エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.6
2009.04.28 更新
文:テクニカルライター Jo_kubota
純粋にメモリの転送レートを比較したもの。CPUクロックがやや低いDDR3-1866だが、メモリ転送レートはさすがにズバ抜けていることが分かる。
続いてはメモリのレテンシ、つまり処理にかかる時間を見てみよう。DDR2-1066がDDR2-800よりもレテンシが高くなっているのは、メモリ設定(Cas Letencyなど)がDDR2-800よりも高くなり、なおかつクロックの伸びが20%程度しかないため、レテンシのペナルティを吸収できなかったためだ。DDR3-1866は他よりも圧倒的にレテンシが小さく、高速だ。
では実際にどのくらいのクロックが掛かるのかを数字で見てみると、Cas Letencyの値が最も高いDDR3-1866が他よりもクロックを消費していることが分かる。しかし、実際には1クロックの時間が短いため、DDR3-1866は他のメモリよりも結果的に高速なのだ。
次はL2キャッシュメモリを含めたメモリテストだ。ここでもDDR3-1866は最速を死守しているが、その差はそれほど大きくないことが見てとれる。しかしL2キャッシュメモリの影響を排除した次のグラフを見て欲しい。
グラフはCache&Memoryテストで、L2キャッシュ容量(6MB)を超える16MB以上のデータを抜き出し、メインメモリ容量に対しての転送レートを見てみると、DDR3-1866は順当とも思える結果を残している。そしてDDR3-1600が思ったより伸びていないことも見てとれるが、これは転送のタイミングが噛み合っていないためだ。もっともベンチマークは、かなり特異な例であり、実際のアプリケーションでどこまで差が出るかは、アプリケーションを走らせてみないと分からない。
というわけで、実際のアプリケーションでその差を見てみよう。
まずは、定番の3DMark06の総合スコアだが、残念ながらDDR3-1866では、ベースクロックが高すぎてCPUが追従できず、ベンチマークを完走することはできなかった。
DDR3-1600以下を見てみると、その差は微妙なところに留まった。というのも、3DMark06は、グラフィックスカードの影響が大きく、相対的にCPUやメモリの影響を受けにくいという側面があるため、メモリだけを速くしても3DMark06のスコアは上がらないのである。
最後は、ゾンビシューティングで大人気のLeft 4 Dead。Left 4 Deadで測定する場合、timedemoで計測する方法とplaydemoでFrapsを使って計測する方法があるが、timedemoは、GPUよりもCPUの影響を大きく受けるため、今回はtimedemoを使用している。
グラフは、シングルプレイのリプレイを保存し、それをtimedemoで実行してしている。意外にも、DDR3-1600がかなり健闘し、DDR2-800との差は実に18%。CPUクロックがやや向上しているとはいえ、この差はかなり大きい。一方、DDR3-1866がDDR3-1600に一歩及ばなかったのは、CPUクロック差(約0.2GHz)の影響だ。
TR3X3G1866C9DFは、3枚組だがCore 2 Duo対応マザーボードで使う場合、3枚挿して3GBとして使っても問題はない。2GBを超える1GB分はデュアルチャネルアクセスにならないため、若干のペナルティが発生するが、それよりも2GBよりもメモリ容量が多い“3GB”の方がメリットが大きい。よってCore i7を見据えて、DDR3×3枚組のメモリを購入する手もあるわけだ。
さて、XMP万歳!となる予定だったが、Core 2 Duo環境では制約が生じるため、DDR3-1866を生かすのは難しいという結果となった。しかしDDR3-1600であれば、CPUはごく僅かにオーバークロック状態となるが、ゲームなどでそのパフォーマンスを発揮することができる。Corsairでは、DDR3-1600の「TR3X3G1600C9」や「TWIN3X2048-1600C7DHXIN」などもあるため、Core 2シリーズ+DDR3環境を考えているなら検討してみてはいかがだろうか。
次回は、Core i7でのレポートをお届けしよう。Core 2環境ではベースクロックの制限に阻まれたが、Core i7ではこれがどのようにクリアされるのか、そしてどこまでパフォーマンスが伸びるのか、乞うご期待。