エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.11
2009.06.22 更新
文:GDM編集部
Specifications 規格:Intel ATX12V V2.3 & SSI EPS 12V V2.91 外形寸法:W150x H86x L150mm Input Voltage:90-264V (Auto Range) Input Current:10A@115Vac, 5A@230Vac Input Frequency Range:47-65Hz PFC:Active PFC>0.9 Power Good Signal:100-500ms Hold Up Time:>17ms Efficiency: 85% Typically MTBF:100,000h Protection:OVP/UVP/OCP/OPP/OTP/SCP/OLP Output Capacity:600W Max. Output Capacity:720W Operation Temperature:0-40℃ (Nominal Input Voltage) Regulatory:NEMKO/TUV/CE/GOST/C-tick/ UL/FCC Fan:135mm ultra silent fan Certification:80PLUS |
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製品情報(CoolerMaster) 発売日:2008年12月12日 市場想定売価:税込20,000円前後 http://www.coolermaster.com/products/product.php?language=en&act= detail&tbcate=22&id=4199 |
今回の「エルミタ的速攻撮って出しレビュー -CoolerMaster編-」は、発売間もないPCケース「GLADIATOR 600」をベースに、レコメンドパーツとして「Silent Pro M600」(型番:RS-600-AMBA-D3-JP)を選んだ。
このモデルは2008年12月にリリースされた“Silent Pro”シリーズの600Wモデルで、高変換効率の証である「80PLUS」を取得し、さらに「NVIDIA SLI」の認証も受けている5年長期保証の電源ユニットだ。
ネーミングにもある通り、コンセプトは“静音”で、高変換効率の恩恵で熱が発生しにくく、搭載される自動可変135mmファンもむやみに高回転にならない。さらに内部にはアルミ製の大型ヒートシンクが筐体全面に配置され、CPUクーラーのような構造が功を奏している。
ATX12V Ver2.3準拠の「Silent Pro M600」は、シングル+12Vレール連続出力により40A、トータルアウトプット480Wもの高出力を生み出す。当然の事ながら構成パーツの安定稼働には重要な+12Vの高出力化はミドルクラスのみならず、ハイエンドクラスをもターゲットにしている事が解るだろう。また基板上に搭載されるコンデンサは日本製が採用されている事もアピールされている。
ちなみにこのモデルの価格は税込20,000円前後となっており、最近の容量単価に照らし合わせると決して求めやすい価格とは言えないだろう。ただし電源はPCシステム全体を司る重要な“動力源”であり、ここをおざなりにするとPCのパフォーマンスだけでなく安定した稼働は約束されない。どうしてもCPUやグラフィックカードが主役となってしまうが、電源ユニットは時にそれ以上に重要なパーツである事を忘れてはいけないのだ。
またこのモデルはモジュラーケーブル仕様が採用されている。これ自体は今やなんの変哲もない特徴のひとつになってしまったが、「Silent Pro M600」では従来多くモデルが採用する硬質なケーブルではなく、フラットタイプケーブル仕様となっている。
観音開きの凝ったパッケージには、静かな電源ユニットに留まる蝶のイラストがあしらわれた帯が巻かれた状態でシュリンクされている | モジュラーケーブル仕様の「Silent Pro M600」では、ATXメイン24ピンおよび4+4ピンは、電源ユニット直付けとなる |
実はこれが最大の特徴でもあり、ケース内構造がセパレートタイプになっているモデルでは、区切られた電源ユニットスペース、特に奥行きに余裕が無い場合が多く見受けられる。さらにレイアウト上その先にはHDDシャドウベイがあり、そこから伸びるケーブル類との干渉が問題になる事が多い。
フラットタイプケーブル仕様であれば、フレキシブルにケーブルの取り回し(メーカーではこれらをケーブルマネジメントと呼んでいる)が可能で、これまでのようにモジュラーケーブルがケース内で突っ張るという状態が解消されている。これは想像以上に使い勝手が良い。
このようにCoolerMasterでは以前にも「RealPowerシリーズ」等をリリースしてきた実績があるが、「Silent Proシリーズ」に進化し、内部構造だけでなく外部のケーブルに至るまで、改良が重ねられてきている点に注目して頂きたい。“使ってみなければ解らない”という説明は非常に辛いが、この電源ユニットはまさにその言葉が似合うモデルなのである。
モジュラーケーブルのコネクタ部。右側縦2口はPCIe 6+2ピン用、左側4口はSATA/4pinペリフェラル/FDD用のコネクタとなっている。また筐体には「80PLUS」認証のロゴマークが確認できる |
ファンは温度・負荷状況によって可変する最小騒音値16dBA、最大回転数約1000rpmの135mmの静音仕様。150x 150角サイズの筐体では最大口径となるファンが搭載されている | 135x 135x 25mmファンは、Yong Lin Tech社のスリーブベアリングモデル「DFS132512M」搭載されている。仕様はDC12V 2.4W |
「Silent Pro M600」の内部は、銅製ヒートシンクに一面アルミニウムヒートシンクで覆われている。広大な放熱面積を稼ぐことにより、135mm大口径ファンが最大限の冷却を実現。なお搭載コンデンサは日本製で、全てのコンポーネントが通常の電源ユニットに比べ低い事が解る。また排熱部はハニカム構造が採用され、通気性だけでなく強度も確保されている |
最近のパッケージは凝った作りのモノが多い。世間的には簡素化=ECOという流れの中で、やはり大枚をはたいて購入する、それも精密機器であるPCパーツではある程度の限界もあるだろう。「Silent Pro M600」は、決してチープではないブラックの化粧箱に収められており、一枚の厚手BOXは器用に織り込まれ、観音開きのようになっている。これを開く優越感の演出は、非常に洗練された印象を持つだろう。パッケージセンスを含め最近のCoolerMasterは非常にレベルが高くなっている。
ではここで、同梱品とモジュラーケーブル仕様をひとつずつチェックしていこう。
同梱のシリコン製電源ユニットブッシュは、ケースマウント時に使用。駆動振動をPC本体に伝わらないように配慮されている | 簡易的なユーザーマニュアル(画像左)、LIMITED WARRANTY(保証カード・画像中央)、SILENT PRO Mシリーズ共通のCDROM版マルチランゲージマニュアル(画像右) |
PCI-Express 6+2ピンケーブルは2本が同梱され、マルチグラフィック機能構築に対応している。ケーブル長は共通で、約450mm±10mm | |
SATA電源ケーブルは昨今のデバイス事情から合計9つのコネクタが用意されている。(1本につき3口x3本)なおコネクタ間隔は150mm±5mmとなる | |
4pinペリフェラルケーブル。1本は4pinコネクタ3口で構成され、1本は4pinコネクタ2口にFDDコネクタが1口となる。なおコネクタ間隔は150mm±5mmとなる | |
「Hyper TX3」同様、ここでもCoolerMasterの電源ユニット担当、プロダクトマネージャーであるWei Kuo氏に「Silent Pro M600」について尋ねてみる事にする。
Q2. CoolerMaster製電源ユニットが目ざずものは?
A. 私たちの考えは貫して特徴的なニューテクノロジーの推進と、独創的なアプリケーションの開発に注力しています。
また私たちCoolerMasterは、ユーザーに対し、我々の努力から生まれた“価値”を示すことができる製品をこれからも作り続けて行きたいと考えています。
Q3. 「Silent Pro M600」はどんなユーザーに使ってもらいたいと考えているか?
A. ゲーマーおよび静音電源を求めるHTPC向けのユーザーです。