電源ユニットで台湾と日本の違いが明確に

• 編集部：
  次に電源はどうでしょう。
AcBel
日本のリテール市場ではユーエーシーが正規代理店として販売する台湾の大手電源メーカー。90%以上はOEM生産とされ、知らぬ内にAcBel社製電源を使っているというユーザーは計り知れない。またOEM出荷量は世界的シェアでもトップ10に入るほど
• Patrick
  ENERMAXとAcBelが人気です。
• 編集部：
  ENERMAXは日本市場でも一時TOPOWERに押されていた時代がありましたが、現在は人気がありますよ。
• Patrick
  TOPOWERは価格が高いのでENERMAXの方が人気です
• 編集部：
  そういえばAcBelはそれほど日本では人気というほどではありませんが。
• Patrick
  AcBelは永久保証なので人気です。
• 編集部：
  またそこが理由なんですね。確か名前は出せませんが、日本でも著名なメーカーの電源にAcBelが採用されていますね。
• Patrick
  はい。あるメーカーの話ですが、自社で電源を製造していない場合は、その時に買いやすいOEMメーカーの製品を選択しています。
• 編集部：
  たとえばA社の電源は、シリーズ別にOEM元がばらばらで、時には企画段階で売り込みがあったOEMメーカーの製品を選ぶ事もあると。
• Patrick
  私が知るメーカーではそうでした。売り込みは結構あるんです。「買ってください」と。もちろん品質もチェックしますが、最終的に安いメーカーを選ぶ事がありますね。
• 編集部：
  電源といえば、モジュラータイプの電源はどうですか？
• Patrick
  あまり売れていないかもしれません。価格が高いですからね。それにモジュラータイプの電源はユニット側の空きコネクタ部からの電気的ロスが激しいので、詳しいユーザーは好んで選びません。ただ欲しい人もいます。それはケーブルマネジメントが良好になるからですが、最終的に値段の問題があります。高いのです。
• 編集部：
  確かに日本でも発売された頃は賛否が分かれました。今でこそあまりそれを言う人はいなくなったように感じますね。そういえば少なくとも知る限り大手某2社が当時その理由から「うちは絶対にモジュラータイプの電源をリリースしない」と宣言していましたが、今では平気で主力製品として売っていますよ（笑）。
• Patrick
  ユーザーとブランチからのリクエストは強い。セールス担当がそれを耳にすると、プロダクト担当に発売をリクエストします。プロダクトマネージャーが技術的な問題で反対しても、市場と数字が気になるセールス担当は一緒になって製品化を迫ることになる。仕方なくリリースしている事はあると思います。
• 編集部：
  なかなか辛い所ですね。よく売れるワット数はどのあたりでしょうか。
• Patrick
  400～500Wクラスです。
• 編集部：
  それは低いですね。
• Patrick
  もちろんヘビーユーザーには1KWクラスのモデルを必要としますが、一般ユーザーは500Wクラスで十分だという事をよく分かっているのです。みんな頭がいいです（笑）。
• 編集部：
  エルミタでもレビューでライターがその部分を指摘し、反響が大きかった事がありますが。
• Patrick
  台湾のユーザーは自作をよく知っていますよ。ムダなお金は使わないです（笑）。
• 編集部：
  ある意味成熟しているということかなぁ。
• Patrick
  また面白いのが、電源は優先順位が低いんです。普通CPUやマザーボードくらいに電源は重要な構成部品ですよね。でも台湾ではCPU、マザーボード、グラフィックカード、メモリ、CPUクーラー、マウス、キーボード、そして電源という順番で自作を考えている所があります。
• 編集部：
  そんなに重要度が低いんですか？
• Patrick
  そういう所は実際にあります。その上台湾ではPCケースに電源が搭載されている事が多いので、改めて買うという考えが低いのかもしれません。
• 編集部：
  なるほど、言い方は悪いですが一昔前の日本の自作市場のようですね。電源はPCケースについてくるおまけという感覚が確かにありました。
• Patrick
  日本ほど電源の種類が豊富にある市場は他にないと思いますよ。少し話がそれますが台湾の家庭用コンセントは非常に不安定です。たとえば自分の家のコンセントに挿した場合は起動するけど、友人の家のコンセントでは起動しない。
• 編集部：
  以前、いわゆるハイエンドなXeonのDualシステムで同様のトラブルが日本でも報告されていました。最近あまり耳にしませんが、台湾ではよくある事なんですね。
• Patrick
  はい。